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STORY.1

その昔、世界は荒れていた。 人間の欲望によって荒れていた。 独占欲、破壊欲… 自然は次々と壊されていく。 草木は枯れ、森の生物たちは死に絶えていく。 人間達も倒れていく。 生きているのは欲望を思うがままに操る悪魔だけ。 ああ、このまま死んでいくのか… そんなとき、魔王が立ち上がった。 自然の主、魔王が… 魔王は悪魔を次々と殺していった。 悪魔たちは神に祈った。 わたしたちは罪を犯しました それは一生かかっても直せない罪です わたしたちはどうなってもかまいません どうか、他の者達が幸せに暮らせるようにして下さい わたしたちはどうなってもかまいません この言葉に神は感動し、魔王を封印してしまった。 しかも、神は悪魔を生かしてしまった。 生物たちは皆こう呟いた。 なんと愚かな 神は知らないのです 悪魔の本当の姿を… それから自然は元の美しい姿に戻った 今まで何事もなかったかのように… 1
ここはとある山奥の村。 ここにロイエという剣も使えて魔法もそれなりに唱えれるというすばらしい少年がいた。 また、メーサという武術に優れどんな敵でも怖くないという少女がいた。 二人は恋人…じゃなく幼馴染の友達である。 (両想いなのだが友達という事にしている) いつものようにおじいさんは芝刈りに…?じゃなくて、ロイエは山に木の実や薬草などを取りに行った。 やはりいつものようにメーサもついて行った。空気がおいしいなどと言いながら、歩いていた。その時轟音が聞こえた。 ニアファー城が燃えている! ニアファー城とはロイエ達の村から少し離れたところにある。 二人はニアファー城に向かった。 突然の出来事のためロイエ達の装備はごく普通の布の服であった。 持っていた剣は父の形見の青銅の剣。 これでどうやってあの魔物と戦うのだ 二人はそう思ったが、体はもうニアファー城についていた。 ひどい! 城は壊滅状態だった。 魔物はまだいた 空、道、城内… ロイエ達は驚愕した。 そこにいた魔物達は今まで森で戦ってきたようなラビやコウモリなどとは比べ物にならないような魔物達がいたからである。 ロイエ達が今まで戦い(というか殆ど捕らえていたという感覚かな)食べて来たモンスターはLV1、2のものだった。 しかしここにいる魔物をLVでいうと10をはるかに超えている。 こんなもん勝てるか! 二人がそう思ったそのとき ファイア拳! びしっ!ばしっ!ゴオオ!ぐあぁぁぁ! 魔物四匹を一瞬で倒した。 すげー そのものは二人のところに寄って来た。 女だった。 「あなたは剣を持っているのになぜ戦わないの…?」 「お、俺はまだ未熟だから…」 ロイエは震えながら言った。 「そう…いいわね、未熟だからって戦わないでいい人は…」 その女は表情は少しも変わらなかったが、ロイエにはどこか非情な感覚が感じられた。 「どうしてあなたは戦っているの?」 どう反応していいか迷っているロイエの横からメーサが言った。 するとその女は微笑し遠くを見ながら言った。 「自分のため…かな」 その女はそう言うと振り向いて魔物のもとに行った。 「待って!」 ロイエの言葉にその女は驚いたように振り向いた。 「俺も戦う!」 「勝手にすれば…」 「あ、あの俺ロイエ。こいつはメーサ。きみは?」 「ミナ…」 三人は魔物達のいるほうに行った。 魔物は主にLV12のブラックナイトとLV15のガーゴイル、それとLV8の魔道士。 ロイエとメーサがまともに戦えるのは魔道士のみ。 二人ともあとはミナに任せるつもりである。 目の前にいるのは魔道士3匹とガーゴイル2匹。 まずミナがガーゴイルに向かって行った。 負けじとロイエとメーサも魔道士に向かって行った。 死闘の末、魔道士3匹を倒した。 ミナは?! かなり前にガーゴイルを倒していたらしい。 今はブラックナイトのほうへ向かっている。 「お、俺達が魔道士をやっとの事で倒したというのに…それより強いガーゴイルをあっという間に一人で倒したのか… ひえ〜」 二人とも複雑な思いを胸にしながらブラックナイトのほうへ向かって行った。 三人はブラックナイトと戦っていると(そのうちロイエは殆ど逃げているだけだけど…)西の空が暗闇に包まれてきた。 「なんだ!?」 「魔王軍の精鋭部隊が来たんや」 「君は?」 「わいか?わいはギフいうもんや このニアファー城の警備やってまんねん 夜賂死苦」 「それはいいとして、精鋭部隊って?」 「魔王軍にはな、直属の部下がいて、その部下の下にまた部下がいるんや それでその下の部下いうんが精鋭部隊なんや その部隊は 魔王最強軍 魔王速闘軍 魔王壊震軍 魔王瞬殺軍 魔王死術軍 魔王魔術軍 魔王奇術軍 魔王空槍軍 魔王竜騎士軍 魔王獣人軍 魔王霊死軍 の十二部隊でできているんや それらは皆今まで戦ってきたガーゴイルなんか目じゃねぇ」 「あ、あのガーゴイルが目じゃない!?そんなにすごいの?」 そうこうしているうちにその軍団が現れた。 ロイエやメーサ、ミナまでも体に戦慄が走った。 どうしよう、勝てるわけないよ 「うむ、あれは竜騎士軍だな いっちょ、わいがやってみっか」 ギフは軍団の中に突っ込んで行った。 ああ、ありゃ死ぬな しかし、死ぬどころかどんどん倒して行く。 そして、最後の一匹を倒した。 倒された軍団の首が飛んできた。 それを見たときロイエとメーサに恐怖が体中を襲った。 人間じゃないか! そう、魔王は人間を使って人間に復讐をしているのである。 しかし、ロイエ達はそんなことは知るはずもない。 理解っているのは平和の世界にするためこの人間と戦わなければならない。 ロイエは困惑していた。 俺は本当に戦うべきなのか 魔王を倒したら本当に平和になるのだろうか ロイエは魔王は人間を奴隷にするために人間の世界を侵略していると思っていた。 子供のときにそう聞かされていたからである。 勿論、メーサもそうである。 ギフもそう聞かされていたが異変には気づいていた。 なぜかは理解らないがミナが関係しているということである。 実はこの二人は前々から知っていたようだ。 魔王は悪い奴じゃない ロイエはそう考え始めてきた。 ニアファー城の夜。 王に呼ばれて四人は城の応接間に行った。 そこは非常に広く吹き抜けとなっていた。 王の周りには侍女がいてその横にずらっと兵士がいた。 「よくぞ魔物を追っ払ってくれた」 王は病人のような声で言った 王は立派な体系で、髪は紫、髭は白く胸の辺りまであった。 頭には見るからに重そうな飾りのたくさんついている冠を被っていた。 服は派手な服を着、その上からマントをつけ、下にはジャージ(!)をはいていた。 靴はバッシュのようであり、首には骨のついたネックレスを、手には刃のついた腕輪をしていて、腰には一様剣らしきものを付けていた。 顔は美形系だったが、口紅をつけていたし、アイシャドウもつけていた。 異様だった。 「褒美と言っても何も出来んが…」 「結構です。褒美のために戦ったわけではありませんから」 「すまんな。あ、今日はゆっくりしていってくれ。 部屋は用意しといてやったから」 「ありがとうございます」 ロイエ達は部屋に連れて来られた。 部屋は二つ。ロイエとギフの部屋とメーサとミナの部屋。 四人はそれぞれの部屋に入った。 「今日の精鋭部隊…」 「ん、なんや?」 「今日の精鋭部隊、なんで人間だったんだ?」 「ああ、あれか 正直に言うと人間じゃないんやけどな 耳が尖がっていたやろ だいたい魔王いうやつも人間みたいなもんらしいで」 「なんで人間と戦わなければならないのだろう…」 「だから人間ちゃう言うたやろ 人間思て戦うさけ、そんなふうに考えてしまうんや 戦うときは何も考えんと戦うこっちゃ」 「でも…」 「まあ、おまえの気持ちも分らなんでもないがな お前の横にミナいうやつおったやろ? あの妙に暗い奴 あいつの村がな十年前何者かに襲われたんや 最初わいは魔物が襲って来たんかと思たわ それがちゃうかってん フィアレス城の王が汚らわしい村や言うて百万の兵で村を襲撃したんや 襲撃した後、わいはその村に行ってみたんやけど、 そらもうひどいもんやったで もう、死体の山、山、山、やったで そのときからもう誰が魔王なんかわからんようになってもうたわ」 「ミナはどうしてたの?」 「あいつはな、死体の山の上に立っとったんや 涙も流さず、ただじっとしとるだけ 昔は結構明るい奴やったらしいねんけどな それ以来どんなこと言っても表情一つ変えんようになってしもた」 「ふうん」 二人はしばらく何もしゃべらなかった。 外は風でゴーゴーうなっていた。 「あの人間と戦っていいのだろうか… なんだか俺達のほうが間違っているような気がする」 「そうかもしれないんが、戦わなわい達が死ぬんや 今は何も考えんと戦いに勝つ事だけ考えりゃええんや もう寝るで」 「そうだね…」 2 空は青く雲一つない。 小鳥達がけたたましく鳴いている。 ロイエ達はミナがいい武器の売っているところがあると言っていたのでそこに向かっていた。 そこはレビンの村。 山に囲まれていて、まず魔物は襲って来ない。 また山の隙間から入ってくる山風により風がやむことがなく、それを利用して風力発電もある(もっともここの住民は風力役得生産機という名で呼んでいるが)。 川も流れており、水田もある。 レビンの米といったら有名でとてもおいしいと評判である。 川は山の奥から流れているのでとても澄んでいて鉄分やミネラルを多く含んでいる。 土壌も肥えているのでレビンの米はカルシウムやビタミンなど栄養素がたくさん含まれている。 またここでは織物業が盛んでレビン織といったら知らない人はいないくらい。 ところでなぜこのようなところにいい武器があるかというとリパルス城の王から誰にも知られずに大量に武器を作るようなところと言う事でここが選ばれたからである。 鉄や青銅などの材料はリパルスから持って来てここで作られてまたリパルスに持って行く。 リパルスは激戦区なのでここにいい武器があるというわけ。 しかもここでは戦いはないに等しいので非常に安く買える。 「おっちゃん、なんかええ武器あるけ」 「おう、お薦めはなんといってもダイアの剣!! 攻撃力112とずば抜けた強さ! そっちの譲ちゃん達にはこのメタルクロウ! 攻撃力95とちょっと劣るがしかーーーしこの爪 には能力を上げる魔法がかかっている 更に攻撃すれば相手が眠るときがあるっつう優れもんだぁー!」 「おおおお!」 「さあ、買うか?どうだ」 「どうしようかなー」 ミナはその人の話を全然聞かずにある商品を探していた。 「おじさんこれ…」 「おう、いらっしゃい レザークロウだな、120ペソだ」 ミナは手持ちの金を渡した。 「まいど!」 ミナはレザークロウを貰うと外に出た。 「あの女の子、君達の連れかい?」 「そうだけど…」 「変わったもん買って行きおったわ レザークロウいうんはな革でできた爪なんや」 「革!?」 「あの武器はな、よっぽど強いやつか、あるいは特殊能力のあるやつが 買うもんや めっちゃ強い奴は鉄だとすぐに傷んでしまう 革だと傷みは少ないので長持ちできるし殺傷力も結構ある 特殊能力、例えば魔法拳の使えるやつは鉄なんか使ったら 燃え尽きてしまうからな その点、革は燃えにくく凍りにくいのでそういうやつには 革はお薦めなんだが… しかし魔法拳なんか使えるやつ、この世に数えるぐらいしかおらんぞ」 でも、確か使っていたような… 三人は買い物を終えて外に出た。 ミナはとうに買い物を終えて外で訓練をしていた。 ロイエにはその姿がすごく眩しかった。 ロイエ達は暫くここに滞在する事にした。 ミナとメーサは訓練をすると言って山に出掛けた。 「さて俺達はどうするかな」 「この村をちょっと見て廻ろうや 結構いろんなもんあるで」 二人が歩いていると所々で風車が目に入る。 それは風力発電のためのものだが、二人にはただの飾りにしか見えなかった。 風車の音に紛れて、人の声がする。 見ると田植えをしている女の人が何やら歌を歌っているようだ。 「いい歌ですね」 「エイベスさんが作ってくれたんです。」 「エイベス?」 「ええ、あの丘の上に住んでいる方です。」 そこには赤い煉瓦の煙突のついている屋敷があった。 近くに来てみると屋敷の立派さが際立って見えた。 門の高さは5メートルぐらいで門には3メートルぐらいの二体の伐折蘿像がある。 門から玄関まで20メートル程度あり通りはきちんと清掃されている。 屋敷はまるでお城のように大きくとてもここで一人暮らしをしているとは思えないほどだった。 「お邪魔します」 「おい、ええんかい、勝手にあがって」 中庭には池があり数匹の鯉と何やら訳の分らぬ物体が泳いでいる。 庭の砂は普通の砂のところもあるが白砂を使い庭を美しく見せている。 また立派な木々が生えていて風情がある。 「誰だ!」 玄関に目が悪魔のように鋭く金髪で魔法使いのような格好をしている人が立っていた。 「ここがこのエイベス様の屋敷と知っての狼藉か」 「…っつうことはおめえがエイベスか」 「いかにもレビンの魔道士エイベスだが」 金持ちの魔道士って感じじゃねえな どちらかというと魔王って感じだね 「ん?なんか言ったか?!」 「いえ別に…」 「ところでおまえらここのもんじゃないみたいだが、 この村に何しに来たんだ?」 「ちょっと武器を買いに」 「はっはっは、ここらはいい武器があるだろう ところで魔物の様子はどうだ?」 「毎日のように襲ってきてもういややわ」 「ほお」 「近頃は地方にも襲撃が行っているみたいでな あの田舎城で有名なニアファー城にもついに先日 襲撃があったんや」 「じゃあ、ここもそろそろやばいかもな」 その時! キシャアアアアアアアアアーーーーーーー!! ドオオオオオオオオオオンンンンンンンンンン ものすごい轟音と魔物の鳴き声が鳴り響いた。 「な、なんや!」 「来た!」 村の風車が次々と壊されてその近くで魔物が暴れている。 いや、人間がと言ったほうがいいか。 「あれは竜騎士軍と空槍軍やな よっしゃ、いっちょ暴れたるか」 「私も行こう」 ロイエは戸惑っていた。 「お前は行かないのか?」 「だって相手は人間だよ、戦えるわけないじゃないか 人殺しにはなりたくない」 「まあ、お前の勝手だが、殺らなきゃお前が死ぬぞ」 「いいよ、人殺しよりましだもん」 「そうか…」 二人は村の風車のほうへ向かった。 ロイエはしばらくそのままの状態で立っていた。 「どうしてこんなことになっちゃったんだろう」 ロイエはふっと東の山を見た。 ! そこでメーサとミナが魔王軍と戦っていた。 ロイエは急いでその山に向かった。 「くっ、やっぱり二人では分が悪いわね しかし、いきなり襲ってくるとは思わなかったわ」 「…あたしが槍を持った奴をやるからメーサさんは 竜に乗った奴をお願い」 「OK!」 最初に攻撃を仕掛けたのはメーサだった。 「でやっ」 ドカボカバキドカ 「へっ、ちょろいもんよ」 その時突然メーサの背後に覆面姿の魔道士が現れた。 「メーサさん、後ろ!」 「えっ?!きゃあ!」 メーサは殴られ倒れた。 「ふっ、人間の分際で我らに刃向かうからこうなるのだ」 ロイエ到着 「貴様ああああああ!」 「おっと、少しでも動くとこの娘の命はないぞ」 「くっ」 「はっはっはっは、…ん?そ、その青銅の剣は… ま、まさか!?」 「これは父さんの形見だ」 「そうか…くっくっくっく、こいつはいい あいつに子孫がいたとは いい事を思いついた この娘を人質としてもらっておこう 返してほしくば、自力で魔王城まで来るのだな ではアディオスアミーゴ、『徳』の心を持つものよ」 「待てえええええ!」 魔道士は消えて行った。 「くっ、メ、メーサが くそおおおお メーーーーサああああああ」 二時間後 「そうか、そないなことがあったんか」 「…ごめんなさい、わたしのせいで」 「ミナのせいじゃないよ」 「で、どうするんだ?」 「もちろん行くよ 魔王城へ」 「よっしゃ、わいも行くで」 「わたしも…」 「おれも行くぜ」 かくして四人は魔王城へ向かった。 だがこの時四人はこれから起こることを予想だにしなかった。

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