このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

【さ行】

■最後のドアを閉めろ!/山田ユギ/ビブロス・ビーボーイコミックス
 現在、ベスト・オブ山田ユギ作品。ひと言でいえば三角関係(注:全部男)のお話(笑)です。
 後輩・斉藤の結婚がきっかけで彼への思いに気づいた永井は、結婚式の夜ヤケ酒の末新婦の昔の恋人・本田に慰めて貰うハメに。しかし花嫁は式の翌日、昔の男と逃げてしまった!
 ユギさんの漫画は適度なギャグと脇キャラに至るまでのキャラの立ち具合が激烈にツボなのですが、本作はそのツボがクリティカルにヒット!!といった感じです(笑)
 グッとシリアスな展開や、ドキドキのエロシーンからスコーンと落とされるギャグがたまらなく面白いです。笑えます。永井さんと本田さんの会話のテンポも最高。そして例によって例の如く、永井さんの元カノ・涼子ちゃんがイカス(死語)んですよね〜。可愛くて図太くて健気。
 話としては三角関係続行のまま終わっていますが(っていうか、連載時あんなところで終わってちゃあ、さぞかし消化不良だったろうに……描き下ろし含めてこれだからな)物語の「引き」としては上手いと思います。う〜ん、でもまだ続き描こうと思えば描けそうなところが、つい期待してしまいますね(笑)ま、想像の余地が残ってる方が作品としては魅力があるのではないでしょうか。 
(9/23UP)



■ジェラールとジャック/よしながふみ/ビブロス・スーパービーボーイコミックス
 フランス革命を背後に敷いた大河メロドラマとも言える本作は、まさに王道な展開を見事に描ききっている。
 元貴族の下男と貴族階級に強烈なトラウマを持つ成り上がり平民の主人の逆転主従。濃密なエロスを匂わせながら、真っ向から「愛情」を描いた本作はひと言で言ってしまえばドラマティックなお伽噺。
 愛した妻に手酷く傷つけられた過去を持つジェラールと、愛されていたと信じていた父に娼館に売られたジャック。ふたりともこの時代、貴族階級にはびこった恋愛遊戯の犠牲者だ。そのふたりが、長い年月を経て、疑似親子の関係から後半、フランス革命を背景に愛を与え合う関係に発展していく過程がとてもドラマティックである。
 没落貴族が男娼に身をやつすところまではアリだとしても、最初の客であるジェラールが身受けしてジャックを自由にし、その後ジェラールのもとで下男として立派に働くだなんて展開は最初に述べた通りほどんどお伽噺である。それでも、ジェラールのもとで強く美しく育つジャックの姿、ジャックの無垢な愛情を受けて頑なに閉ざした心を開いていくジェラールの姿は読者に満たされた幸福な気持ちをもたらしてくれるだろう。だから、お伽噺でもちっとも構わないのだ。 
(9/23UP)



□スウィート・リベンジ/真瀬もと/


□スカーレット・ウィザード/茅田砂胡


■西洋骨董洋菓子店/よしながふみ


□セディ・エロルシリーズ/井上ほのか


□双星記/荻野目悠樹


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