このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

† WILD ADAPTER †

『chara』連載中/徳間書店/1巻発売中


  ——この街のようなひとだ と思った


——1995年。
 久保田誠人は横浜を縄張りにするやくざ〈出雲会〉の年少組幹部に迎えられる。
 金にもクスリにも女にも——人間にすら興味のない久保田は飄々として、時折残酷なまでの凶暴性を見せたりもする混沌とした都会そのもののような姿をしていた。
 謎のドラッグ『W.A』との出逢いが、そして出雲会を退会した久保田の前に現れた時任との出逢いが久保田の行く先に嵐を引き起こしていく。

 邦画テイストを狙ったというこの作品は、殺伐とした人工物で埋め尽くされた都会の風景そのものを切り出したような切なさを持っている。
 久保田という男のからっぽの冷え切った魂が、飢えを満たし熱を持っていく様は、高村薫氏の小説にも似た雰囲気があるのではないかと思う。切なくて、息苦しくて、でも目が離せない——「いつか死ぬ日の僕らのために」彼らがどう足掻いていくのか、それを見届けたい。

 

久保田と時任が活躍するまったく別の漫画、『私立荒磯高等学校生徒会執行部』(Caraコミックス/徳間書店/全2巻)も必読!こちらは完全な学園コメディです。


《キャラクタ・ファイル》
・久保田誠人
 昭和54年8月24日生まれ、O型。
 おそらく、何事にも、自分が生きていることにすら「興味がない」人物。勝負事に執着するのも、生きているものと向かいあっていないと自分が生きているかどうかさえわからなくなるから——らしい。ちなみに麻雀(イカサマあり)、格闘ゲームなんかはめっぽう強い。
 さる大物のご落胤らしいが、認知はされていない。

・時任稔
 現時点では眠り姫…じゃない、王子(笑)。

・小宮信夫
 出雲会年少組の副長。父は中学生のとき他界。母はそれ以来風俗界に入る。酒とヤクに溺れる母のためにクスリを都合してやっているが、それが母親のためにならないと自覚もしている。
 久保田に惹かれ、懐いていたわんこっぽくて可愛かったのになぁ……。

・葛西
 久保田の伯父で、刑事。ハスに構えたおっさん。謎のドラッグ『W.A』を追っている。

・真田
 出雲会の幹部。アヤシイ雰囲気たっぷりの喰えなそーなおっさん。煙草はヴァニラ香の強い「アークロイヤル」という銘柄を愛用。愛犬の黒犬にも「アーク」と名付けている。…ホモ?

・コウ(漢字変換できず)
 推定中国人。中華街の片隅で薬屋兼雑貨屋を営む。雑貨の方は相当ヤバいもの(拳銃など)も扱っている模様。長髪に丸いメガネ、チャイナ服もステキな掴み所のなさそーな危険な匂いのするお兄さん。めちゃ好みv(←ヲイ…)



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