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「2000年総選挙」雑感  〜KTGが世の中を切る!〜

 この1ヶ月、この国は選挙、選挙でにぎやかな期間を過ごした。
 6月25日の深夜、私は何かが起こることを期待しながらテレビの前に座った。
しかし、実際には何も起こらなかった。
「この国は何かおかしい」とか「何かを変えなければ21世紀に生き残る国家にはならない」などと誰もが気軽に口にした。
しかし、国民が選択したのは典型的な20世紀形の国体であった。
 選挙の結果を踏まえて思うことを思いつくままに記録として残しておくことにしよう。

①「どこが勝ったのかわからない」???
 明けて26日のマスコミ報道は一様に「どこの党が勝ったのか、一概にはわからない」。
こういう報道スタンスであった。しかし、数字は如実に表している。
自民は「責任ライン」をクリアしており、自公保3党で絶対安定多数をもクリアしてしまっている以上、連立与党の大勝利というほかあるまい。

②低投票率
 今回の投票率もやっぱり低かった。
62%程度という、いかにもお寒い話である。
言い換えてみれば、残りの4割近い連中は何も考えていないということだろう。
きわめて従順な国民である。
総理大臣に「寝ていろ!」といわれて、素直に4割が寝ているのだから。
ただし、鹿児島県では浸水の被害が出たようで、被災された方まで同列に扱うつもりはないので、念のため。

③国民は何を選んだか その1−「都市対田舎」の構図−
 細かく見ると都市部では野党躍進、田舎では自民盤石という構図であった。
田舎ではいまだに「公共事業」という美辞麗句に飾られた利益誘導にさそわれて投票行動をとるというわけなのだろう。
見識の狭小さを問われざるを得ないだろう。

④国民は何を選んだか その2−「地縁・血縁の縛り」−
 ある女性(26歳・独身)と話したときに、彼女がこんなことを言っていた。
「もし、だれかに『○○さんを頼む』といわれたら、そこに投票するだろうね」
なるほど、とも思うが、投票行動というのは本来個々人の判断に委ねられるものであり、当然のことながら実際の施策という形でわれわれが責任を負うことになる。
主体的な行動でないとその責任がとりにくいと思うのだが・・・。

⑤国民は何を選んだか その3−同情・世襲・弔い合戦−
 選挙前に小渕前首相、梶山元官房長官、竹下元首相とたて続けに要職を歴任した政治家が
この世を去った。
これらの選挙区ではほぼ例外なく故人の親族が立候補し、ことごとく当選を果たした。
ある選挙区では亡くなる前に引退を表明したために親族が立候補し、対立候補と大接戦を演じているという情勢分析が出されたが、死亡を期に一気に逃げ切ったというところまで出る始末。
この他にも公認争いを演じた末に敗れ、無所属で立候補した候補が当選したりといったことが起こった。
某党首が開票速報番組の中継インタビューで「日本人は判官びいき」と発言していたのが印象的である。
政治の世界の判官びいきが必要なのかどうか・・・。

⑥私は何を基準に選んだか
 他人事のように書いてきたが、最後の私の投票行動について書いておこう。
 国・地方を合わせた借金(国・公債の発行残高)は645兆円という。
ちょっと乱暴だが、これを所得税などの国税で全部償還するとするとどうなるか・・・。
平成10年度の国税収入は大雑把に60兆円である(同年度決算から)。
単純に公共事業や社会保障などへの支出(歳出)を完全になくして、税収のすべてを償還に当てたとして11年以上かかる(なぜ「11年以上」なのかというと、これは当然有利子債務であるから、金利が上乗せされ)。
もし、個人が年収の10倍以上の債務を抱え込んだら、まず間違いなく自己破産するしかないのだが、国家は大丈夫なものらしい。
別の見方で1999年度の国内総生産(GDP)は、実質で482兆円(経済企画庁公表資料から)。
すべての国民がまったく飲まず食わずで働きまくって1年半かかる金額になる。
 また、年金の問題も大変である。
前国会(通常国会)で可決された年金改革法からの試算によれば、20歳台の人々は年金保険料の総支払額よりも受給総額が少なくなるという。
しかも、受給水準を現在のままで固定した場合、早晩社会保障費用の徴収率を収入の50%以上に引き上げなければ、公的年金会計が破綻するという。
 さて、今回の選挙。一般に「財政構造改革」という言葉でくくられているのだが、これに
具体的に触れた政党・候補者はいなかったように思う。そんな中でもおぼろげながらに、
近い将来、国民の負担増をしなければならないということを公に述べていた政党や候補者を
選んだつもりだ。少なくとも、公共事業追加や消費税率の据え置き・廃止などといった
口当たりのいいことを並べた政党・候補者には投票していないことは間違いない。

 「21世紀初頭の日本の進路を選ぶ選挙」という触れ込みの割にはあまりピリッとした結果が出たとは思えないのだが、この結果はこの国民の総意である。
この結果は我々自身が甘受しなければならないことを覚悟しながらペンを置く。

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