このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

”さつまのかみ”はいけません


JR西日本のワンマン列車の運賃の取りこぼしが一時期問題となっていました。 ワンマン列車というのは、車掌の人件費削減などの名目で、列車に運賃箱を 取り付け、運転士一人だけが乗務している列車のことです。各地の第3セクター 鉄道がこの方式を取り入れ、収支改善に大きな成果をあげたことから、JRでも 導入が始まりました。
乗り降りの仕方はバスと同じで、後ろのドアから乗って整理券を取り、 運転士横にある運賃箱に運賃を入れ、一番前のドアで、降りるというもので、 全国でだいたいこのような方式を取っています。 ところが残念なことに、後ろのドアから降りてしまう輩が少なからずおり、 運賃を払わずに駅を出てしまうことがありました。これを運賃の”とりこぼし”と いいますが、これと車掌の人件費を天秤にかけて導入を決定しているようです。
JR各社では、駅の出口を運転室に近いほうにしたり、運転士が降りて 運賃を回収したり、と努力をしているわけですが、どういうわけかJR某社では 列車をダイヤどおり走らせることを優先し、後ろのドアから下車しても見過ごす 運転士が増えてきました。

重富が新年早々、紀勢本線に乗った際に暇つぶしに調べてみたそうです。

調査の動機
乗った列車は、新年早々の名古屋地区の大雪で遅れをだし、ついに新宮で 運転を打ち切って折り返し南紀??号となった南紀?号の乗客が相当数混じった 列車だったのですが、最初の停車駅の三輪崎で目の前で降りていってしまう客がおり、 その次の紀伊佐野では、明らかに大挙して後ろの扉から降りていってしまう客が あり、目で追ったところ、そのまま駅の外に出ているようだと分かりました。 これは実際の取りこぼしをカウントしたほうがよいだろう、と思い、紙と鉛筆を 出して、集計を始めました。

調査方法:列車の1両目に乗り込み、駅ごとに降りる客をカウントする。

*さつまのかみ・・平薩摩守忠度(清盛の弟)から。”忠度”と”ただ乗り”をひっかけている。国鉄時代の隠語、らしい。

駅名後部扉降車人員数総降車人員数駅名後部扉降車人員数総降車人員数
新宮--紀伊有田
三輪崎2?田並
紀伊佐野10?田子
宇久井和深
那智江住
紀伊天満10見老津
紀伊勝浦--周参見
湯川紀伊日置
太地10椿
下里10紀伊富田
紀伊浦神白浜--
紀伊田原朝来
古座10紀伊新庄
紀伊姫紀伊田辺--
串本--総計3979
-の駅は、有人駅で、駅で改札。?ははっきりとした数値ではない。
総計は、両方の集計をはじめた紀伊天満からの合計値。
相当な人数が後ろの扉から下車していることがわかります。 年齢層としては10代後半から20代前半と思われる人々が多かったですが、 中には中年層もみられました。男女比率としてはほぼ半々です。

後ろから降りていった人々の中には、明らかに切符を握り締めている人も見られましたし、 座席で定期券を広げているのが目に入ったこともあります。
しかしながら、前の扉から下車するように案内されている以上、きちんと乗務員の チェックを受けるのがルールではないでしょうか?また、乗務員も、この日は 便乗?と思われる運転士と二人で乗っておりまして、便乗の運転士が運賃箱を見ておりました。 この運転士がしっかりと声をかけたり、切符を受け取りに行く、といったことを すればきっちりと回収できたのではないか、といったことも考えられました。

ヨーロッパのように、切符をしっかりと購入する、もし持っていなかったら 何倍もの割増運賃を払う、という意識は徹底しているわけではありません。 しかし、無人駅でも随所で券売機も見られるようになりましたし、 二人乗務なら一人が機動改札となることも可能でしょう。

乗客がマナーを守ると同時に、鉄道会社も、”きっちりとサービスの代金を 受け取る”という企業意識をもつことが重要だと思いました。

利用者のみなさん、電車はただじゃありません。
切符はただしく買いましょう。


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