このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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福井鉄道市内線夕方の状況
市役所前にて
左:田原町行急行(鉄道型) 中:田原町行普通(軌道型) 右:福井駅前行急行(軌道型) ……利用動向を反映しての運用(キャパ設定)か?
■実乗記
福井鉄道に関しては、今まで朝ラッシュの状況を実見する機会はあった。偶然ながら、平日夕方に時間が空いたので、市内線区間を実乗してみた。朝の状況からある程度は想定できたものの、なんとも興味深い利用者の動きがあったので、簡単に書き留めておく。
田原町18時15分発の武生新行普通列車に乗車。車内には40名の利用者。高校生と大学生でほぼ半数ずつ。近くに多くの学校を擁するだけのことはある。このほかに、勤め帰りの社会人が若干名というところ。名鉄から流れてきた880+881の席がほぼ全て埋まった状態で出発。福井鉄道における田原町の位置づけは、実はかなり重いのである。
裁判所前で 6名が乗車。全て勤め帰りの社会人のようだ。日中は存在意義すら疑われる停留所であるが、夕方には相応の利用がある様子。
裁判所前付近にて
市役所前−田原町間は、日中は「存続する意味があるのか?」と疑わしく思えるほど閑散としているが、朝夕には相応の利用者が存在する。
市役所前で大きな動きあり。36名が下車。どうやら接続する急行に乗り換えるらしい。ホーム上にはもともと急行を待っている利用者が多く、だいぶ賑やかになった。かわりに 3名が乗車してくる。車内に残るのは13名となり、ホーム上とは異なり一気に閑散とした雰囲気になった。また、乗り換えた利用者は急行停車駅が最寄駅になるわけで、その絶対数を考えれば、急行が停車しない小駅の存在意義に疑問符がついてくる。
列車はいわゆるヒゲ線に分岐していく。今までのわずか二区間で、道路混雑、特に右折車に阻害され、遅れが出ている。福井駅前では降車はなく、11名が乗車。18時30分に折り返し出発。
福井駅前付近にて
福井駅前への所謂「ヒゲ線」では単線区間の延長が長く、ごく短い複線区間を活用して列車交換するアクロバティックな運用も見られる。
再び市役所前に。一旦田原町方面ホームに入線、しかる後に折り返す。武生方面ホームにつけて客扱い。ここで 9名が乗車し、合計33名となる。急行が先発したばかりとはいえ、この列車から乗り換えた利用者数よりも少なく、少々さびしい状況ではある。
公園口では 1名が乗車。木田四ツ辻では乗車なし。筆者はここで下車して折り返した。
後続の二列車を遠目に見たところ、名鉄系連接車の席が埋まる程度の混み具合だった。30名そこそこの乗車、というところだろうか。
■コメント
福井鉄道を毎度見るたびに思わざるをえないのだが、路線の形態が単純な割には、なんとも複雑な運用である。もっとシンプルな運用ができないものか。また、福井駅前に列車を入れる意義がどれほどあるのか、少々疑わしく(そして悩ましく)感じざるをえない。福井鉄道の中心は、まぎれもなく市役所前である。福井駅前は「鶏肋」のようなもので、捨てるには惜しい味がある一方、どれほどの栄養(利用者数)があるものだろうか。
福井駅前にて
福井駅前への所謂「ヒゲ線」の存在が、福井鉄道の運用を複雑化している。かといって、利用者数は無視できないほど多く、匙加減が難しいところ。
福井鉄道は、現状では日中があまりにも閑散としているだけに、事実上朝夕のラッシュだけでもっている(社会的意義がある)路線だという印象が伴う。夕方は混雑が分散しているだけに、名鉄系連接車だけでも充分対応可能かもしれない。バス転換という選択肢も、決して難しいとはいえない。ただ、朝ラッシュの混む時間帯が集中しているだけに、まだまだ鉄道としての社会的意義を訴求することはできる。
それにしても、日中の超閑散状況をなんとかしないと、短期的にも中長期的にも厳しいものがあると思われる。福井鉄道に関しては、いずれまとまった記事を興したいと考えている。まだまだ先になりそうではあるけれど。
市役所前にて
福井鉄道では、朝ラッシュにはこのように混雑する。老朽化したとはいえ、大型(鉄道型)連接車の輸送力が存分に発揮される場面である。
※写真は全て平成20(2008)年の平日(主に朝)撮影
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※本稿はリンク先「交通総合フォーラム」とのシェアコンテンツです。
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