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新幹線でスキーに行ってみる〜〜ガーラ湯沢15年ぶり体験記

 

 

 

 長男(6歳)にスキーを覚えさせることは数年越しの懸案であり、たまたま日程の調整もついたことから、この三連休の中日に挑戦することにした。正直なところ、マイカーで行った方がゲレンデの選択肢は多かったはずだ。しかし、マイカーで行った場合、帰路で居眠り運転をしない自信がまるでなかった。そこで、公共交通だけで乗りこめるゲレンデということで、ガーラ湯沢を選んだのであった。

 

 

■往路

 往路は湘南新宿ラインに乗り大宮まで。赤羽から浦和・さいたま新都心も通過するから速い。先頭車に乗ると、長男はガラス越しにまじまじと観察、「この電車 120km/hも出ているよ!」と感心していた。JR在来線のこの高速性は強い武器で、私鉄ならば有料特急クラスだ。

 大宮からMaxたにがわに乗車。席の埋まりは9割ほどだ。さすがに新幹線の高速度は快適だ。二階席なので眺望もすぐれており、長男はすっかり喜んでいる。各駅に停車していくも、熊谷・本庄早稲田では動きなし。ただし、本庄早稲田は駅前の駐車場があらかた埋まっており、上りホームには多数の利用者が列車を待っていたから、この先さらに成長しそうな予感を覚えた。

Maxたにがわ(大宮にて)

 高崎で車内は大きく動き、4割ほどに減ってしまった。やはり上越新幹線は大宮−高崎間が最混雑断面で、ここの流動の太さで支えている印象が強い。

 車内が空いたところを見計らって、弁当を食べる。飲食が自在にできるというのも列車の魅力の一つで、ドライバーを務めることが多い私にとってはありがたい。ハンドル片手に飲食できないわけではないにせよ、そんな切羽詰まったやり方よりも、ゆったり車窓を見ながらの食事をとった方が快適だ。アルコールを呑めるというのもポイント。

 意外、と表現するのは適切を欠くかもしれないが、上毛高原でも相当な降車があって、車内は定員の3割くらいに減り、めっきりさびしくなった。越後湯沢でも1割ほどが抜け、2割程度の乗車で終点ガーラ湯沢に到着した。

 この時点で既に13時近くだった。

Maxのロゴ(ガーラ湯沢にて)

 

 

■あいかわらずの状況

 空身で行ったのでレンタルに並んだところ、行列は長いし、ブーツ調整に時間がかかるしで、見た瞬間「これは1時間待ちだな」と覚悟を決めざるをえない状態だった。

 実はガーラ湯沢には、オープン直後の平成 2年正月にも行った経験があるのだが、その当時にも、
  スキーレンタル
  チケット購入
  ゴンドラ&リフトで頂上に行く
 の各段階で、きっちり1時間ずつかかった苦い思い出がある。当時と比べ客足は落ちていると聞いていたから、待っても10分待ちくらいかなと読んでいたのだが、あいかわらずの状況にあきれてしまった。この種のボトルネックを改善する意欲がないのか、あるいは手際が悪いのか。アルバイトの主任級が、手の空いているメンバーに怒声を飛ばしていたところ(※)を見ると、後者である可能性もあるが……。

  ※この一件を間近に見たことと、別の不愉快な出来事があったおかげで、待ち時間の心証がたいへん悪くなった。

 我々の後ろにほとんど列が出来ず、受け取りが済む頃には返却窓口がセットされていたから、要は昼休みの渋滞をさばききれず残っていたというところ。次回からは14時頃到着の方がストレスがないと感じた(どのみち何時間も滑る体力はないのだから)。

 着替えてゴンドラで一気に上がった時には、既に14時半に近くなっていた。

上りゴンドラにて(この時はまだ笑顔)

 

 

■猛特訓(私事)

 ここからは私事ながら、猛特訓の始まり。とにかく歩けるようにさせないと始まらないので、怒鳴りながら厳しく指導したものだから、長男は一時涙ぐんだほど。しかし、ようやくコツを覚えたのか、逆八の字で坂を上れるようになったのを見た時には、うれしくてこちらも涙が出てきた(親バカ失礼)。

坂登りをマスター(笑顔がすっかり消えている)

 今度は滑りだが、プルークボーゲンのコツがどうしてもわからない。いっそと割り切り、リフトで上がって(16時頃)、緩斜面を降りてくることにした。

 一度降りたところ、かなり転びはしたけれど、感じはつかめてきたようだ。もう夕暮れで、先ほど乗ったリフトが止まっていたので、さらに上にあがるリフトで挑むことにした(16時45分頃)。幅員の狭い通路には閉口したものの、そこを抜けてからは順調で(何度も転びはしたが)、プルークボーゲンでスピードが出すぎて、カーブして減速し、綺麗に止まったのを見た時には、偶然うまくいっただけにすぎないのかもしれないが、またまたうれしくて涙がこぼれてきた(重ねて親バカ失礼)。

 この二本を降りきって、完全に日没、ナイターまでやる気力はなく、ゴンドラで降りてきた(17時半すぎ)。

二本目の途中にて(疲れと寒さで余裕がない表情)

 

 

■下りゴンドラは渋滞のもと

 ゲレンデとしてのガーラ湯沢の特徴は、ゴンドラで上がっても滑って降りられない、という設計にある。そのため、ゴンドラで降りてこざるをえない。その際にまた大渋滞するわけで、たいへん心証が悪い。

 一本目のリフト待ちの時、ゴンドラ待ちには30分以上は待つ行列ができており、これに並ぶのはしんどいと感じた。実際、うんざり・げんなりする声があちこちから耳に届いてきた。二本滑っただけでほぼ1時間半になったから、その間に列は短くなり、いやな目に遭わずにすんだものの、一般的な時間帯で行動する人々にとっては、無意味で苦痛なだけの待ち時間を過ごしたことになる。

 

 

■アフター・スキー

 着替えてレンタルスキーを返し、ここでも20分ほど待ってから19時すぎに「ガーラの湯」に入った。全身が綿のように疲れていた(転んだ長男を抱き起こすのが重労働)から、温泉があるというのはありがたい限りだ。ただし、料金はかなり高く、湯船・浴室が手狭で、しかも熱めの湯というのは不満が残る。

 熱かったので長湯もできず(既にビールを呑んでいたせいもあるが)、20分少々で温泉を出た。どのみち最終の臨たにがわが20時06分発なので、これに並ばなければならない。改札前の行列は前に 100人ほど、自由席は4号車 400席弱だから、余裕を持って座ることができた。

 ガーラ湯沢出発時は定員の7割ほど、越後湯沢でさらに乗って9割ほどになった。上毛高原は通過、高崎では自由席に乗車が集中し、デッキに立客が出た。本庄早稲田・熊谷は通過、大宮では3割ほどが降り、車内はなんとなくけだるい感じになり、終点上野に到着した。

たにがわ車内にて(ようやく人心地ついて余裕回復)

 

 

■まとめ

 公共交通で行くスキー、というのも久々の経験だったが、新幹線がゲレンデ直結というのは利便性が高く、セールスポイントになると感じた。その一方、ゲレンデ内にはボトルネックが多すぎ、利用者にストレスを与えがちという印象を「改めて」感じたことも指摘しなければなるまい。特にレンタルで1時間待ち(しかも午後にである)、下りゴンドラで30分待ちというのは論外だ。連休で人出が多かったこともあるにせよ、利用者にとっては自分の経験(主観)が全てだから、他の魅力あるゲレンデを選択する可能性がある。

 15年前にきた時は友人と一緒だったが、「こんなに待たせるゲレンデにはもう来ない」と息巻いていた。この友人が今日も一緒だったらどういう感想を持つか、興味あるところだ。自分自身の感想としては、一日券では待ち時間が長すぎて大損、サンセット券(15時以降からの割引)で滑ればちょうど「値ごろな」ゲレンデだと感じた。

 ゲレンデ構成はまずまずで、長男のような超初心者が滑れる緩斜面もあれば、それなり難度が高い斜面もある。新幹線直結によるアクセス利便性などは、他のゲレンデではありえない魅力だ。これを大きく減殺しているのがボトルネックの介在で、これを改善しない限り、スキー人口減少がいわれるなか、さらなる発展どころか現状維持も見込めまい。

 この15年間なにを学んできたのかと指摘したくなるほど状況が変わっていない一方で、幾つものゲレンデが閉鎖されている情勢でしぶとく生き残っており、本日も盛況だったのは新幹線アクセスの効能といえるだろう。願わくばこの効能に依存することなく、さらに魅力あるゲレンデに育ってほしいものだ。

臨たにがわ(上野にて)

 

 

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※本稿はリンク先「交通総合フォーラム」とのシェアコンテンツです。

 

 

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