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近年における典型的な事故・・・・・・京福電鉄越前本線
■平成13(2001)年 6月25日付読売新聞記事より■
24日午後 6時 8分ごろ、福井県勝山市鹿谷町保田の京福電鉄越前本線・保田出村1号踏切付近で、勝山発福井行き上り普通電車=上川床誠運転士(22)=と福井発勝山行き下り急行電車=明石光文運転士(36)=が正面衝突し、1両編成の両車両とも前部がめり込み大破した。
■コメント■
京福電鉄では昨年12月にも正面衝突事故があったばかりなので、「またか」と受け止める向きも多いであろう。とはいえ、前回の事故と今回の事故とでは、原因の質が全く異なるものと考えられる。今回の事故は、経営状況が良好な鉄道でも起こりえる点に特色があり、実際のところここ10年ほどの間に発生した鉄道事故の典型ともいえる。
平成 3(1991)年の関東鉄道常総線取手事故以来、島原鉄道及び弘南鉄道の正面衝突事故、JR東日本の大月事故、それぞれ主たる原因者は若手の運転士であった。今回の事故もおそらくそうであろう。
今回の事故では、運転士の経験の少なさよりもむしろ「鉄道的常識」の欠如が気になる。報道が正しければ、この運転士は発坂駅を早発している。これはダイヤグラムの基本原則を無視する行為である。早着は許されても早発はありえない−−ダイヤグラムのこの基本原則が、どれほど認識されていたのか。事故を起こしたことも重大な問題だが、仮に事故を回避していたとしても、定刻を待たずに出発したという問題は残るのである。
注意しなければならないのは、今回の事故は京福だから起きたと決めつけられる内容ではなく、他の全ての鉄道で起こりえる、という点である。ベテラン世代の就業意識が若い世代に継承されていないという、普遍的な問題が根本に潜んでいる可能性が指摘されてしかるべきであろう。しかし、かような分析は今のところされていない。
勿論、事故を起こした京福の責任は厳しく追及されなければならない。しかし、ただ単に責任を追及するだけにとどまらず、事故の背後にひそむ問題を顧みることもまた、必要かつ重要であろう。
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