このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

名古屋鉄道4線区の沿線自治体は存続に消極的

 

■平成12(2000)年11月 7日付交通新聞記事より■

「中部運輸局は二日、名古屋鉄道が廃止を届け出ている岐阜県内の四線区に関して、関係地方公共団体の意見聴取を・・・・・・実施した。参加した自治体は『廃止は極めて残念』としながらも、ほぼバスによる代替輸送に転換する方向に傾いている様子だ」

「赤字補填や第三セクター化などで鉄道として維持することについては多額の負担がかかるほか、将来的にも赤字額が拡大しそうなことから、各自治体ともほぼ断念し、バスによる代替輸送を検討していく方針」

「ただ、揖斐、谷汲稜線の関係自治体は『住民の利用実態や意向調査のアンケート結果が今月中旬にまとまるので、それを踏まえて検討したい』としている」

 

■コメント■

 先にも記したとおり、各線の廃止じたいはやむをえない。

 とはいえ、鉄道をバス転換しても、転換後のバスがさらに衰微していく確度は、かなり高いといわざるをえない。沿線自治体は、名古屋鉄道の内部補助によって受益していた。転換後のバスが路線単独での採算を得なければならないならば、危うい。

 赤字補填により名鉄に数年間営業を継続してもらい、その間に将来の方策を構築するという選択肢はなかったか。現状では将来展望はどこにも示されていない。財政事情は制約条件の一部にすぎず、将来の方向性を全て規定するものではない。

 それぞれの自治体に必要な公共交通機関とはいかなるものか、それは各自治体の体力で維持可能なものなのか、あるいは公共交通機関などもはや必要ないのか、そういった議論こそ必要な局面だと思うのだが。

 名鉄は、4線区の廃止を届け出た。バス転換が営業継続の条件という事前協議もあったようだ。しかし、そのバスとて、いつまでも営業を続ける保証はない。そのような実態を踏まえての決断が下されているのだろうか。時間と金に追われての決断は、本質的な決断を先送りし、しかも状況のさらなる悪化を招くのではないかと懸念する。

 

 

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