このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

和田岬線から気動車が消える

 

■平成13(2001)年 3月27日付交通新聞記事より(全文)■

「和田岬線電化をJR西日本申請」

「JR西日本は23日、山陽線兵庫−和田岬間(和田岬線、 2.7km)の電化計画について国土交通大臣に申請した。来月着工、7月完成予定。総工費約1億3千万円」

 

 

■コメント■

 非電化路線をそのまま存置するか、それとも電化するかは、なかなか微妙な課題である。ところが、JR東日本相模線の電化あたりを境にして、ある傾向が明瞭になりつつある。需要はもはや判断の重要な部分とはいえない。たとえ需要が少なくとも、周辺を電化路線で囲まれている場合、電化した方が列車運用面あるいは保守面で有利であるとされるようになった気配がある。

 このたびの和田岬線電化も、その傾向に沿うものであろう。和田岬線は通勤輸送に特化された路線で、毎日運転される列車はわずか 2往復しかない。平日運転の列車もその全てが朝夕に集中し、日中の運転は皆無である。和田岬線の輸送を担うにあたって、電化する必然性はほとんどない。

 その和田岬線を電化するという。この7月に開業する神戸市海岸線に刺激された部分もあるだろうが、電化路線に囲まれ孤立した非電化路線を維持することはかえってコスト高につくと判断された可能性も高い。同線を走るキハ35は老朽劣化著しい。朝夕数往復のみの運行といえども保守には相応の費用を要する。電化には初期投資を必要とするが、保守費用と比べ懸絶した水準でなければ、電化するだけの価値はある。

 これは発展というよりむしろ、防衛的投資といえる。電化した方が安くつくということは、電化が汎く普及した結果にほかならない。ともあれ、和田岬線から気動車が消える。キハ35の特性に相応する路線は、おそらくここが最後となるだろう。

 

■コメントⅡ■

 この夏のダイヤ改正では、和田岬線は電化されるとはいえ、ダイヤは従前からほとんど変わらない。神戸市海岸線への対抗を考えるならば、日中でも一定の頻度を保つダイヤが組まれたであろうが、そうではないというあたりに和田岬線の本質があるといえる。

 電化はもはや、積極投資とはいえまい。相模線や播但線、あるいは宮福線や豊肥線などの事例を見るにつけ、電化は鉄道の標準オプションであるとの観が強くなる。これからもいくつかの路線・区間で電化が進むであろう。おそらくそれは、「コストダウン」「標準化」を旗印として。

 

 

 

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