このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





魔魅魍魎の誘い





■交通新聞平成25(2013)年11月12日付記事より


経常、純利益が過去最高
   JR北海道が第2四半期決算


 JR北海道は 8日、2014年(平成26年) 3月期第2四半期連結決算を発表した。特急車両の出火トラブルに伴う運休などで鉄道運輸収入は2期ぶりに減少したものの、北海道新幹線工事関連の増加などで売上高は過去最高だった前年同期をさらに上回り、経営安定基金の運用益増もあって経常利益、四半期純利益ともに過去最高を記録。2期連続の増収増益となった。
 (以下略)





■交通新聞平成26(2014)年 5月13日付記事より


JR4社が14年3月期決算
   新幹線工事関連伸び増収──JR北海道


 JR北海道は 9日、2014年(平成26年) 3月期連結決算を発表した。鉄道運輸収入は大きく落ち込み過去2番目の少なさだったが、北海道新幹線工事関連の売り上げが大きく伸びたのに加え、経営安定基金運用益の大幅増などから、売上高、経常利益、当期純利益とも連結発表以来過去最高となり、2期連続の増収増益となった。
 (以下略)





■コメント

 JR北海道は非上場会社のため、決算の発表は半期毎ということらしく、第3四半期の数字はわからなかったが、おそらくは似たような数字なのであろう。率直にいって、半年前の記事にはおおいに驚き、いま改めて続報に触れ、JR北海道の病状ますます悪化するばかりではないかと危惧している。

 昨年度の同社一連の不祥事は一過性のものとは考えがたい。経営陣から職員、協力会社まで含め、企業体質のおかしさが一時に顕在化したと理解すべきであろう。かような会社存亡の危機にあたっては、減収減益を以て、場合によっては損失発生という激痛を以て、ことの因果関係を切実に体感されるべきではあるまいか。ほんらいは。

 然るに何ぞや。「過去最高の売上高・経常利益・純利益」とは不可思議千万ではないか。前年度に対し、鉄道部門の経常利益が 3.8倍、当期純利益が 4.5倍に達したとは、尋常でないにもほどがある。問題事象が白日のもとに晒され、不祥事件が連続して起こっているのに、何故過去最大の利益が出るのか。悪事が露見した結果、良い数字が出る理不尽を、如何に理解すればよいのか。

 こんな数字は幸運でもなんでもない。不幸中の幸いですらない。むしろ、異界の窓から悪鬼羅刹や魔魅魍魎の類が誘っていると考えるべきであろう。

 悪事が露見し、良い数字が出る。この因果律の矛盾は、危機意識を鈍らせ、当事者意識を奪うに違いない。視野や思考を幻惑し、堕落を誘発し、更正意識を萎えさせる麻薬にも似ている。こんな環境に置かれた人間はボンクラ──「凡晦」なる字をあててもよさそうだ──になりがちである。危険な兆候、といわざるをえない。

 JR北海道を「赤字体質」の会社と呼ぶのは決して適切ではない。むしろ、経営手腕の当否と数字が関連していないという意味において、「不健全・不健康な財務体質」の会社とみなすべきか。すなわち、先に指摘した「 当事者意識の著しい欠如 」とは、「不健全・不健康な財務体質」から導かれる必然の結果であるかもしれない。引用記事に触れた際、筆者が真っ先に思ったのは「道理でJR北海道には当事者意識がないはずだ」ということであった。JR北海道の先行きがいよいよ危ぶまれてならない。





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