このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





マスコミ不信





■新聞あてクイズ


ミャンマー、中国離れ  鉄道・ダムを凍結


 中国の影響力が増す東南アジアで、親中派だったミャンマーが「中国離れ」を加速させている。中国からインド洋へ抜ける鉄道計画を白紙に戻し、東南アジア諸国連合(ASEAN) では対中牽制の声明をまとめた。中国は引き止めに躍起だが、「アジア重視」を掲げて中国に対抗する米国は、ミャンマーの「脱中国依存」を歓迎する。
 (以下略)









■コメント

 冒頭からクイズである。上記に引用した記事は、どの新聞社が提供したものだろうか。

 産経新聞、と答えた方が多いのではなかろうか。筆者も見出しを一読して「これは産経らしい煽りだなあ」と思ったほどだ。中国への露骨な警戒感、中国から離れようとしつつあるミャンマーの姿勢を支持する筆致、いかにも産経新聞らしい味わいといえよう。

 ……ところが残念ながら不正解なのである。正解はなんと、朝日新聞平成26(2014)年 8月20日付記事だったりする。それを知って、筆者は暗然とする気分を抑えがたかった。

 いささか古い時点の記事を引用したのには理由がある。記事の日付を見て、読者諸賢は何事かを想起しはしまいか? そう、時あたかも所謂「慰安婦問題」記事の取消をめぐり、社会的大問題を惹起した直後の時期にあたるのである。

 朝日新聞の当事者は「君子豹変」のつもりでいたかもしれない。四方からの厳しい批判・非難を浴び、打開策はないかと掲げてみた観測気球であるのかもしれない。とはいえ、従前からの報道姿勢とはまったく平仄が合わず、変節したとしか解釈しようがない。中国を警戒する読者層への迎合と読むこともできる。——無節操な、今更遅い、と筆者は不快感を覚えた。

 筆者の暗然と不快は、実は朝日新聞にのみとどまるものではない。朝日の対極にあるかに見える産経新聞にも似たような傾向はある。右だろうが左だろうが、正反対を進んだ先は地球の反対側。そこで合流してしまうのだ。自説に都合の良い材料を集め、強弁するかの如く論を組み立てる「御都合主義」はどの新聞にも見られる現象だ。

 長年堅持していた持説——偏向でもあるが——を反省なく覆せる軽々しさが、マスコミにはある。その典型的な一例を朝日新聞が示してくれた。そのマスコミが提供する記事にどの程度信頼を置けばいいのか。暗然と不快の根はここにある。





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