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エリア特急くろべ発進









■平成28(2016)年 3月26日ダイヤ改正

 平成28(2016)年 3月26日は全国規模でのダイヤ改正日。北海道新幹線開業の日として史書に記されることになるはずであるが、富山県下でも地味ながら興味深いダイヤ改正があった。富山地方鉄道が電鉄黒部−新黒部−宇奈月温泉間に「エリア特急くろべ」を新設するのだという(平日上下 2本ずつ/土休日上り 1本下り 4本)。

 富山地方鉄道本線の末端区間、全て乗り通したところで16.1km、所要時間わずか約20分の有料特急とは、全国で最も短いのではなかろうか。もっとも、 100円に抑えられた特急料金よりもむしろ、運賃がはるかに高く感じられるところだが(電鉄黒部−宇奈月温泉間 730円/新黒部−宇奈月温泉間 630円/いずれも個券購入の場合)。

エリア特急くろべ20号
エリア特急くろべ20号(新黒部にて)
平成28(2016)年撮影


 さりながら、富山地方鉄道のこの着想は面白い。富山を起点とするネットワークに拘泥せず、現に需要がある(ありそうな)区間にピンポイントでテコ入れする柔軟さは評価に値するのではないか。北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅開業により、同駅に降り立つ観光客はそれなりに存在する。「かがやき」利用者を狙って富山で網を張るよりも、「はくたか」利用者を地道に拾う作戦はなかなか合理的だ。

 新黒部−宇奈月温泉間には他の有料特急(うなづき・アルペン)が運行されているものの、今まで午前中に下り(新黒部→宇奈月温泉)有料特急の設定がなかった。「くろべ」はこの穴を埋め、かつ新幹線「はくたか」からの接続を図るものである。

 筆者が土曜日に実見したところ、利用者数は決して多くはないものの、「くろべ」以外の普通列車を含め、各列車に数名の乗車が見られた。富山地方鉄道でも新黒部駅に駅員を臨時配置し、観光ハイシーズンの繁忙に備える構えを示している。

エリア特急くろべ27号
エリア特急くろべ27号(荻生にて)
平成28(2016)年撮影


 ただし、車両に「特別感」がないのはいささか苦しいところ。この日は元京阪 10040に富山地方鉄道オリジナル 14768(車号判読困難)を組み合わせた 2両編成。最も状態の良い車両を持ってきたと推察できる一方、特急料金を取る以上はいま少し演出がほしい。

 ともあれ、富山地方鉄道が興味深い一手を布いたことは間違いなく、今後の成功・発展を見守っていきたい。

エリア特急くろべ20号
エリア特急くろべ20号(新黒部にて)
平成28(2016)年撮影










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