このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





東武東上線脱線事故の代替輸送





■平成28(2016)年 5月18日東武鉄道「重要なお知らせ」

東武鉄道「重要なお知らせ」
東武鉄道「重要なお知らせ」——本日の東上線の今後の運転計画について
平成28(2016)年 5月18日東武鉄道HPのハードコピー






■コメント

 平成28(2016)年 5月18日、東武鉄道東上線中板橋駅付近において脱線事故が発生した。死傷者が出なかったのは幸いというべきだが、中間車のみが脱線するという状況は尋常でなく、発生原因がおおいに気になるところだ。ただし、本稿では敢えてその点を論じない。

 この事故により、利用者18万人に影響があったという(NHKニュースによる)。事故発生が正午過ぎで、終日運休が続いたことから、18万人という数字じたいに不思議はない。むしろ過小な数字のように思える。

 上に掲げた「重要なお知らせ」に記されているとおり、東京メトロとの直通運転は維持されていた様子である。実際にはダイヤが乱れた(※東京メトロHPには当日の有楽町線・副都心線の遅延証明書が掲載されている)ようだが、有楽町線・副都心線(池袋−和光市間)は東武鉄道東上線とは独立した線路であり、運行が確保されたことは間違いない。

 それでも代替輸送は混乱した、と報道されている。池袋駅でバス(国際興業バスの路線バス)を待つ長蛇の列が、複数のニュースで報道されていた。確かに、長蛇の列ではある。しかしながら、釈然としないものを感じざるをえない。行列はおよそ数百人のオーダー。平常時をはるかに超えるとしても、母集団18万人を正とすれば、バスによる代替輸送全数を積み上げたところで数%という線にとどまるのではないか。

 東武東上線は、東京メトロ有楽町線・副都心線と最大で 2km程度の離れで並行しており、都営三田線からもそう遠く離れてはいない。徒歩を嫌ってバスを選択する利用者の心理は理解できるが、18万人利用者の相当部分は代替経路に有楽町線・副都心線・三田線を選択したはずなのだ。

 東武東上線ほどの輸送量があり、半日以上運休となれば、「輸送の混乱」と報じられるのはいちおう、当然である。さりながら、本件に関しては、安易なステレオタイプの断面を切り取られている可能性もある。さらに穿った見方を採れば、駅構内混雑の映像を撮れなかったがゆえ、公道上から撮影できるバス待ち行列を撮ったのではないか、という疑念まで浮かんでしまう。

 2〜3kmの徒歩移動は決して楽ではない。東武東上線都内区間沿線は、道がわかりやすい地理ではない。それゆえにバスに利用者が集中し、大混雑した。……という理路が見える報道であれば信じるに値するのだが。真相がどうであれ、今となっては確証が得られない点、実に惜しまれてならない。





元に戻る





このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください