このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





━━ 日暮里・舎人ライナー開業シリーズ そのⅧ ━━


各駅見学会





■開業へのカウントダウン

 開業を10日後に控えた平成20年 3月20日(春分の日)、日暮里・舎人ライナー足立区内各駅において、見学会が開催された。筆者は、息子とその友人及び娘を連れて、自宅から最も近い江北駅にアクセスしてみた。

 当日は冬に逆戻りしたような陽気、しかも荒天に祟られてしまった。開始時刻より相当早く現地に到着して並んでいたところ、娘は寒さに耐えかね早々に戦意喪失(苦笑)。妻に迎えにきてもらい、自宅送還する羽目となった。

 「あだち広報」には「希望者が多い場合は入場規制を行う場合があります」と記されてはいた。実際のところはといえば、当日の寒さは拷問もので、出足は明らかに鈍かった。それでも待つうちに列が伸びてきた。シャッターが開いて駅構内に誘導された時点では、50名以上 100名に届くかどうか、という賑やかさになってきた。

江北駅
江北駅でのテープカット(平成20(2008)年 3月20日撮影)


 意外だったのはイベントが仕掛けられていたこと。足立区と住民代表から挨拶があり、テープカットまで行われた。厳しい寒空の許、いささかながら雰囲気が華やいだのは救いであった。もっとも、駅構内の写真は、開業後にじっくり撮ればいいと考えていたので、カメラがなく携帯電話での撮影となったのは失敗だった。





■簡素すぎるつくりと寒々しい動員実績

 駅構内に入ると、記念品として絵葉書が配られた。それを仕舞いつつホームまで上がる過程で、駅構造が最も簡単なものであることに気づいた。上りエスカレーターは一気通貫ではなく、クランク状の配置で、中間で乗り換える構造となっている。これはおそらく、エレベーターを設置する空間を捻出する工夫であろう。さらにいえば、エスカレーターは上りのみ、階段との併設もない。階段は島式ホーム反対側に設けられている。ホームからコンコースに下る通路は唯一この階段のみであって、バリアフリー対応はエレベーターに集約している格好だ。

 これは考えられうる最小スペックの駅構造といえる。どの程度の利用者数が想定されているのか、容易に想像できてしまう。というよりも、この駅構造は利用者数から決まっているのではなく、レギュレーション上の下限値(※通路や階段には最小幅員が存在する)を適用した結果に違いあるまい。

江北駅
江北駅に飾られたくす玉(平成20(2008)年 3月20日撮影)


 時間がかなり押してきたので、友人を家まで送り届け、父子二人で再出撃(笑)。駅間が近いので、高野・扇大橋まで遠征してみた。時刻は11時になっており、見学会開始から一時間ほど経っている。それでも両駅とも記念絵葉書を貰えてしまった。各駅先着 200名限定だというのに、である。江北では一番乗りになったからわかるが、高野・扇大橋では見学者の絶対数が少ないようだ。

 いくら天気が悪いといっても寂しすぎる状況で、開業後が今から心配になってしまう。続々と発着する試運転列車が、当然ながら全て空車であるため、寂寥感すら漂ってしまうのはなにごとか、とも思える。念のためにいえば、 3月23日に開催された試乗会では定員の十倍以上の応募があったらしい。試乗会はNHKニュース(ただし地域ローカル)でも賑々しく報じられており、住民の興味が薄いわけでは決してない。見学会の寂しさは悪天による特異現象で、開業後には相応の利用がつく、と信じたいところだ。  





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