このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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平成21年度利用状況分析
■各駅の利用状況
かなり時期遅れとはなったが、平成21(2009)年度の日暮里・舎人ライナーの利用状況を分析してみよう。
各駅の一日あたり乗降実績表
日暮里(第 1位)・西日暮里(第 2位)の乗降客数が、前年度と変わらず突出して多い。また、熊野前は乗降客数実数・伸び率とも順調だったものの、江北がそれ以上に躍進したため、僅差ながら第 6位に順位を下げた。
※元データの乗降客数単純合計と、表示された合計値は一致していない。即ち小数点以下が四捨五入されている。
よって、江北と熊野前の乗降客実数には全く差がない可能性がある。
路線中間のピークが西新井大師西にある、という状況は変わっていない。そのかわり、江北・谷在家・舎人の伸びが顕著で、この三駅では17.2〜22.0%も状況客数が伸びている。そのため、需要の尾根筋がなだらかになった観がある。
乗降客数の順位を上げたのは、江北(第6位→第5位)、高野(第11位→第10位)、赤土小学校前(第12位→第11位)の三駅。逆に順位を下げたのは、熊野前(第5位→第6位)と舎人公園(第10位→第12位)の二駅。前述したとおり、熊野前の利用状況は好調で、より好調だった江北に抜かれたにすぎないわけだから、実質的には舎人公園の「一人負け」に近い。
その舎人公園では、意外にも乗降客数が減少している。全線で唯一の特異現象といえる。舎人公園での動員力ある催事が減ったのだろうか。乗降客数減少幅が極端に大きいので、理由を的確に考察するのは難しい。
■利用は確かに伸びている
以上の公式データに明瞭に示されているとおり、日暮里・舎人ライナーの利用は確実に伸びている。全線で前年度比11.8%の伸びだから、驚異的と形容しても決して大袈裟ではない。筆者の一利用者の感覚としても、特に朝ラッシュの混雑は厳しさを増している、と実感できる。利用写像に対応するためか、江北では改札口の増設が行われている。
江北駅での改札口増設工事(東日本大震災直前に撮影・現在は完成)
これほどの利用者数増加は、いったいどこに由来するのか。日暮里・舎人ライナー開業以降、マンション・戸建の新築物件が数多く提供され、その結果として沿線の定住人口が増加しているという社会的背景がまずある。
それ以上に重要なのは、バスを含む競合路線からの転移が深度化したから、ということではないか。並行する里48はもとより、王40・王47からも利用者が転移していると筆者は推測している。また、国際興業バス・東武バスセントラル各系統からも転移しているのではないか。そのぶん、東武伊勢崎線・大師線の利用者もまた、連動して減少していることになる。
※日暮里での乗降客実数の伸びが最大であること、西日暮里・熊野前での乗降客伸び率が日暮里を上回っている事実からは、以下の需要構造を指摘できる。
乗降客実数の伸びに寄与しているのは、目的地が山手線東京側沿線(A)にある利用者。乗降客伸び率に寄与しているのは、目的地がメトロ千代田線(A)・山手線池袋側(B)・京浜東北線西日暮里以北(B)・都電荒川線沿線(B)にある利用者。
なお、Aは専ら東武伊勢崎線からの転移、Bは専ら王40・王47からの転移であろう。
足立区は全体に高齢化が進んでいる(政策的にも高齢者の定住を促進している)のだが、日暮里・舎人ライナー沿線では新築物件が続々と提供されており、さらに老朽化した都営団地の改築なども実施されつつある。高齢化という日本全体の趨勢を覆すまでには至らずとも、人口構造の新陳代謝が進んでいる気配がある。
少しずつ、しかし確実に、日暮里・舎人ライナーは沿線の貌を変えつつあるようだ。
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