このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





━━ 日暮里・舎人ライナー各駅寸描 ━━


0.概説





■各駅ともコンパクト

 日暮里・舎人ライナーは各駅ともコンパクトに設計されている。車両基地への入出庫がある舎人公園(二面三線)を除き、全駅が一面二線の島式ホーム。ホームから改札口までのエスカレーターが上下方向とも設置されているのは西日暮里のみ。よって各駅とも個性も特徴もなく、特にホームの形状など、写真を一瞥しただけではどの駅かを特定するのも難しいほどだ。

西新井大師西
西新井大師西駅ホーム


 おそらく日暮里・舎人ライナーの各駅は、レギュレーション上の最小スペックから設計を固めたのであろう。ホーム(一般部・柱や階段等による狭隘部)と階段には最小幅員が定められている。これらを突き合わせて、駅容積を最小化する設計がなされたのではないか。裏返してみれば、最小スペックでさばける程度の需要しか見込まれていない、という背景も透けて見えてくる。

江北
江北駅改札口付近


 それゆえ、各駅のつくりは立体パズルを組み合わせたような格好だ。バリアフリー対応として必須設備のエレベーターはホーム中央に据えられた。これを制約条件として、階段は折り返して、エスカレーターは中間に踊り場を設けた二段構成にして、エレベーターの空間をそれぞれ回避した。

江北
江北駅の昇降設備


 設計としてはいちおう成立していても、なんとも窮屈な印象を与える構造ではないか。エレベーターの扉付近などは際立って天井が低く、圧迫感が伴う。

江北
江北駅のエスカレーター踊り場


 極めつけはエスカレーターの踊り場だ。異様としか形容のしようのない空間で、必要に迫られたやむなき設計だと理解できても、良い印象を与えない造作だ。たとえ明るい空間でなくとも、エスカレーターが一気通貫で抜けていれば、空気が淀むことはない。しかし、このような暗い踊り場には悪い「気」が沈殿しかねない。

 これはコストダウンを追求しすぎた弊害といえよう。エレベーターをホーム端部に設置すれば、いま少し余裕ある空間を構成できたはずなのに。かくして日暮里・舎人ライナーの利用者は、窮屈な空間をとこしえに味わう羽目にあいなった。





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