このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





━━ 日暮里・舎人ライナー各駅寸描 ━━


ⅩⅠ.舎人公園





■唯一の拠点駅

 舎人公園は、日暮里・舎人ライナーで最大の拠点駅である。二面三線という大きな器は、ターミナルの日暮里をも凌いでいる。直近に車両基地を控え、列車の出入りがあるため、駅構造は宏壮なものとなったのだ。

舎人公園
開業初日早朝の舎人公園駅全景


 ただし、駅の立地が恵まれているとはいえない。巨大な公園の真ん中に駅があることは、駅至近に人口の薄さをも意味する。舎人公園には陸上競技場やテニスコートも設けられており、区民の憩いの場としての位置づけは確かに重要である。さりながら、集客力があるほど知名度が高い公園かと問われれば、そうとはいえない点が厳しい。

舎人公園
舎人公園駅遠景


 足立区に近いところだけでも、上野恩賜公園・小石川後楽園・水元公園など高名な公園はいくつもある。舎人公園まで遊びに行く、という目的の利用者がどれだけいるか、疑問なしとはいえない。むしろ、足立流通センターに通勤する利用者の最寄駅、と見なした方が実態に近そうだ。

舎人公園
舎人公園駅遠景


 車両基地の立地に関する制約、日暮里・舎人ライナー全線の拠点機能などといった条件からつくられた駅、ということは傍目からでも理解できる。その一方で、環七以北の住民には「環七以南での駅間は短いが以北では長い」という不満がある様子。この不満は正確な認識に基づいているとはいえないものの、「舎人公園は住民から見れば遠い駅」であることは否定のしようがなく、この事実が不満を助長している可能性はある。

 駅の持つ機能と役割について、なかなか含蓄に富んだ示唆を与える事例といえよう。





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