このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
パクリはどこまで許される?
■みちのくプロレス
暑い日が続いておりますが、たまには肩肘を張らず、よく冷えた香茶でも喫しながら、ゆるりとくつろいでみましょう。
まず下記の画像を御覧あれ。言葉で説明しては面白味もなにもないので、とにかくまず御一見ください。
※公式サイトはデータがかなり古いため、割引券をスキャンした。なお、開催日時場所などの情報はトリミングした。
■「はやて」と「こまち」!?
小さくて見にくいかもしれないが、画面中央部の二人組に注目を。
「はやて」はともかくとして、よもや「こまち」の銘を頂くとは、みちのくプロレスも侮りがたい(たぶん男性レスラーのようだからなおさら侮りがたい)。しかもオリジナルの雰囲気がよく出ている。この二人はどのような闘いを繰り広げるのだろうか。興味深いところだ。
極めて個人的には「カレーマン」や「つぼ原人」がいったいどのように闘うか興味津々であるが、これはちょっと余談にすぎるか。
例えば「オール阪神・巨人」がセーフで、「高知東急」がアウト、という経緯を見てもわかるように、先行している著名を頂く行為=模倣(いわゆるパクリ)は、広く受容されたり強く反発されたり、反応は両極端のようだ。さて、この「はやて」「こまち」コンビはどうだろうか。
私は街中でこのポスターを見かけて思わず立ち止まり、「これは面白い!」と口走ってしまった。さらには「たぶん正義のタッグで、悪役をスマートにやっつけるんだろうな」とも連想した(というよりは新幹線の銘を頂いている以上はそうに違いないと決めつけていた)のであった。
■優れたデザインの継承と模倣の境界
で、本題はここから。
鉄道車両では、実は昔から、パクリとしか評せない模倣的なデザインを採ることが多い。
「パノラマカー」≒伊「セッテベロ」
このあたりはまだ、形態としての模倣であるから類似性がうかがえるのはやむをえないとして、問題はここ最近である。近年では、あまりにも模倣的なデザインが出回っている傾向が強すぎないか。
「旧つばめ」≒仏TGV「アトランティック」
「白いかもめ」≒「新つばめ」≒独「ICEⅢ」
「新アーバンライナー」≒英「ユーロスター」
空力特性に多大な制約を受け、デザインが類似するはずの超高速列車においてさえも、会社別には類似性を認めにくい。このことを考えれば、国を超えた上記の類似性は異様でさえある。
鉄道車両には設計上の制約条件が多い。そのため、優れたデザインが模倣されていくという過程そのものは、否定すべきではない。例えば、
157系→「初代スカイライナー」→ 117系→E257系
などは優れた外形の継承といえよう。しかし、他で成功したデザインの印象をそのまま借用としか思えない例には、好感を持てない。「旧つばめ」の登場時には強いインパクトを感じ好ましく思ったものだが、実は「アトランティック」の模倣でしかないと気づいた瞬間、ガッカリしたものだ。「白いかもめ」はさらに露骨な模倣であり、ここまでくるとあきれるしかない。
「アーバンライナー」は明瞭にヨーロッパスタイルであるが、原型を特定できないほど洗練された素晴らしいデザインである。ところが「新アーバンライナー」は、細部や塗色に至るまで「ユーロライナー」の借用にしか見えず、まさにパクリの「模倣犯」である。
看板列車には、その会社の意志や個性を表現してもらいたいものだ。それが模倣というならば、あまりにも悲しいではないか。
パクリ=模倣はどこまで許されるのか、読者諸賢は如何思われますか?
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