このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





十一枚の切符(カード)【AFC U-23選手権2016(リオ五輪最終予選)に向けて】





■成田空港にて

 平成26(2014)年10月19日(日曜日)の朝、筆者らは成田空港にいた。訪日する来客の到着を待っていたのである。成田空港の朝 7時台は、各地からの夜行便が頻繁に到着する。我々が待つ客はまだ来ないものの、数多くの人々が目の前を通り過ぎていく。

 そこに、まるで異質な集団が到着したことに気づいた。高校生くらいの男子の集団だ。服装や大荷物の様子から、スポーツ選手であることがうかがえた。この時期、海外に行くような集団といえば……。

 連想をめぐらせて、「あっ!」と大声を出しかけてしまった。彼らの正体は、前日すでに報道されていた。AFC・U-19選手権(於ネピドー)に参加していたサッカー日本代表チームの面々ではないか。前前日の準々決勝北朝鮮戦において90分で決着がつかず、延長からPK戦までもつれこんだ末に敗れ、U-20W杯出場権を逃して帰ってきたわけだ。

  【参考】 U−19敗退、瀬戸際で弱い若き日本選手 今こそ抜本的な改革の舵を切るとき (川端暁彦)

 それにしても、なんと味気ない帰国の途であろうか。ネピドーでの試合開始は15時半。延長戦・PK戦が決着したのは19時近いと思われる。その日はネピドーに泊まるしかなく、翌日ヤンゴンまでの陸路移動に要する時間はおよそ半日、そのまま夜行便に搭乗して帰国したと思われる。移動移動移動の連続で、身が休まる暇もなかっただろう。

 更に味気ないのは、サッカー協会関係者とおぼしき数名を除き、出迎えがなかったこと。マスメディアの取材があるわけでもなく(※)、観衆が歓声をあげて手を振る光景など影も形もなかった。罵声すら飛ばないというのは、無関心のあらわれといえよう。世間の目は敗者に冷淡、ということなのか。空港で歓喜の声に包まれる出迎えの風景は、異世界のイリュージョンに思えてくる。

 筆者は半ば確信せざるをえなかった。この冷淡・無関心は決してこの世代を強くさせはしないと(*)。あれから一年強経った今、この世代はリオ五輪出場に向けて厳しい戦いに直面している。

※:彼らを継続して追っているのは、参考記事の川端氏のほかはそう多くはない。
*:その意味で、ラグビー日本代表は実に立派だ。だからといって、筆者は「にわか」になる道は選ばない。
  今まで興味も関心もさらさらなかったわけで、W杯での大活躍を見たのちに転向するというのは、あまりにも無節操というものだ。





■U-23選手権2016(リオ五輪最終予選)

 なにしろ予選はあの北朝鮮と同組。決勝トーナメントに進出しても、最終的な出場権は僅か三チームにしか与えられない。男子サッカーは五輪に五大会連続で出場しているとはいえ楽観は全くできない。Jリーグで大活躍した浅野拓磨や遠藤航、海外雄飛を果たした南野・久保がいてすら、である。故障者が頻発しており、二十三枚の中から十一枚の切符を選ぶべき手倉森監督は相当苦心していると見受ける。

 しかも、最終予選の場はカタール国ドーハだ。日本から見ればアウエーの地。いったい何人の方々が応援に駆けつけられるものか。不安は尽きないが、いまは彼らの健闘・奮闘を祈るばかりである。

 がんばれ、日本。筆者は陰ながら、U-23日本代表チームを応援する。





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