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『カラスの思惑〜ヒトに一番近い鳥・・・その構造を検証する〜』 (佐々木洋著:㈱広美 出版事業部) |
著者は、東京都江戸川区北小石川出身の、一時期東京都鳥獣保護員も経験した事があり、現在プロのナチュラリストとして活躍中という佐々木洋という人物である。私より1つ歳上の人物である。子供の頃は昆虫採集などに夢中になったという昆虫・動物オタクらしい。 といっても、私自身いろいろな面でオタク的性格があるので、ほんとうはオタクという言い方は好きではない。好奇心があるものにのめりこみやすいタイプなのだろう。自分とよく似ている気がし、逆に好感が持てた。 著者は鳥獣保護員であったころ、カラスの巣をおろす仕事を何度もするうちに、どうやら賢いカラスの魅力にひかれ、人間から不当(?)に嫌われ者となっているカラスに愛着さえ抱き、カラスフリークとなり、ついにはこのように本まで書くことになったようだ。 カラスの賢さは、この本でも出てくるのだが、横浜のJR東日本東海道線への置石事件や、仙台の自動車にクルミ割りをさせるカラスなど、ここ10年か20年ほど前から特に注目を集めているような気がする。私は、昔数学者の矢野健太郎の本の中でも、カラスが、数を原始人並みに確か10(位)まで数えられることを読んだ記憶がある。 この本の中では、九官鳥のように人の言葉を真似るカラスや、台風の時、サーファーのように風乗りに興じるカラス、その他種々のゲーム(遊び)感覚を持つカラス、真夏の日に人に公園の水飲み場の水を出させるようせがむカラス、運送会社で「オーライ、オーライ」をしてトラックを誘導するカラス、このような魅力あふれる多くのカラスが紹介されています。 また個々のカラスではなく、愛妻家で子煩悩、純潔主義的性格、団結心強い性格、美意識強くリサイクル精神旺盛な性格、カラスの意外で興味深い様々な生態というか性格が紹介されています。 またカラスにとりつかれた人々、町、またカラス関連グッズなどカラスに纏わる話が他にも色々書かれて、読んでいくうちに自分もどんどんカラスフリークになっていくような感じがしてしまいました。 私と同様の昭和30年代後半生まれの方には、同世代的感覚で描かれた表現・内容などにウンウンと頷ける箇所も多いと思います。そうでない方にも、おかしく笑えてそれでいてカラスの生態を楽しく学べる非常にいい本です。ぜひ一読をお薦めします。 |
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