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書評(平成18年03月19日)

『ねこのばば』(畠中恵著・新潮社)

  紹介するのは、またまたこのシリーズである。これで第3弾となる。図書館から借りてきた。
 話は今回も面白いのだが、・・・・・でもちょっと前作の第2弾の終わりあたりから、畠中さん、ちょっと変、ていう感じがする。

 お店の名前間違いて書いたり、この第3弾では、巻頭の作品に出てきた元・大むら屋にいた金次という者が、妖がまわりにいて、騒いだり物を食べたりしても、全然不思議に思わない、また一太郎や手代たち、また妖達も、それを不思議に思わないとか、矛盾している。作家の配慮の欠如というか注意不足のような気もする。
  一応、その作品の終わりで、金次が実は貧乏神で、普通の人間ではなかったということがわかったことになっているが、何か釈然としない。どうもこの作品の前後で作者に何かあったのでは、と思ってしまったのだが、これを読んだ他の方はどう思っただろうか。何も思わない??

 今回は「茶巾たまご」、「花かんざし」、「ねこのばば」、「産土(うぶすな)」、「たまやたまや」の5作品である。
 「茶巾たまご」は、大むら屋の長女が殺される話。
 第2話は「花かんざし」。一太郎が江戸広小路で拾った迷子・於りんの家を探していたところ、なんと、遠く離れた深川の材木問屋・中屋の娘だった。・・・・
 第3話は、「ねこのばば」。上野の広徳寺に捕まった猫又を取り返しに出向いた一太郎と手代たちが、そこで起きていた殺人事件を解決する話。
 第4話は「産土」で、犬神が長崎屋にくる経緯となった、前の奉公先の店での話。話の内容は、考えようによっては、というか話の書き方によっては、かなりゾクっとするような怖い話である。
 第5話は「たまやたまや」。幼馴染の菓子司三春屋の栄吉の妹・お春に縁談がもちあがった。親も乗り気だという。しかし一太郎に仄かな想いを抱くお春は、相手の庄蔵に条件を出した。大事な大事な煙管をなくしたからそれを探し出してくれたら、お嫁に行くと・・・・

 まあ私みたいにあまり細かいことにこだわらねば、十分楽しめる作品である。帯紙を見ると、なにやら映画化プロジェクトも進んでいるらしい。2004年の作品だから、もしかしたら、もう出来たか、作っている最中なのかな??
 今手元に第4弾「おまけのこ」がある。これから、また布団の中に入って、続けて読もうと思っている。



『おまけのこ』(畠中恵著・新潮社)

  この一週間ほどで、この「しゃばけ」シリーズを4冊読んだことになる。
 
 収録されている話は「こわい」「畳紙」「動く影」「ありんすこく」「おまけのこ」の5作品。
 各話のさわりを簡単に紹介。
 第1話の「こわい」。こわい(狐者異)は妖(あやかし)で、人からも妖から嫌われた存在だった・・・・
 第2話の「畳紙」はおしろいを包む紙のことらしい。自分の厚化粧に悩む紅白粉問屋・一色屋の孫娘・お雛の話。彼女の相談に乗るのが屏風のぞきというのがまたいい。
 第3話の「動く影」は、一太郎が十数年ぶりに影女を見た。それで幼い頃あった(まだ佐助も仁吉も長崎屋に来ていない頃にあった)、妖・影女にまつわる騒動を、思い出しかたるという内容。
 第4話は、「ありんすこく」。何とあの一太郎が、二人の手代に向かってある日、吉原の妓楼多摩屋の禿(かむろ)かえでを、足抜けさせるよ、と宣言。・・・・
 第5話。「おまけのこ」は、天城屋が長崎屋で買った真珠が、長崎屋の中で櫛職人に渡したあと、櫛職人が誰かに襲われて悲鳴とともに消えてしまった。鳴家(やなり)の小さな冒険も加わり、楽しい話に仕上がってます。

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