このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

書評(平成18年04月24日)

『物理学の歴史』
(竹内 均著・講談社学術文庫)

  著者の竹内さんが亡くなられてから、何年になるだろうか。確か、1,2年前の気がするが、最近は私も歳をとったせいか、年月が経つのが速いので、もしかしたらもっと前だったかもしれない。

 私は、(購読はしていないが)科学雑誌Newtonのファンである。中能登町鹿島図書館においてあるので、月に1,2度訪ねては、読むことにしている。竹内さんは、その編集長を亡くなる間際までしていた。私が住む石川県の隣・福井県出身の方だ。昔は、よくNHKの教育テレビ他に出ていて、独特なしゃべり方で話す方でしたから、覚えている方も多いことでしょう。私も、昔から竹内さんのファンでした。

 昨日日曜は、私は午後から暇でした。やることもないので、何か気楽に暇つぶしできる本はないかと、蔵(実は我が家には、白漆喰の20畳2階建ての蔵があります(自慢です(笑))に入り、そこの書棚を探していたら、この本が目につき、夕方から読み始めました。そして途中、睡眠をはさみ、先ほど読了した次第です。

 数学嫌いな人には、ちょっと気が重くなる本かもしれませんが、大学受験で数学の試験を受けたような人なら(文系でもOK)、それほど抵抗感なく読める本です。私は、科学系統の本なら、逆にこれくらい数式がないと、どうも体がむず痒くなる気がします。アメリカの科学書などは特に、極力数式を使わないで科学の面白さを紹介しようとする(たとえばホーキンスさんの宇宙関係の本など)ので、どうもこの傾向が強いです。

 この本の中の「ケプラーからニュートンまで」の章や、光学や電磁気学の歴史の箇所は、ある程度、数学ができる人には、極力数式を省いた科学入門書よりは、わかりやすいのではないでしょうか。物理学のごくごく基本の事柄が書かれ、現在科学にあまり縁のない人が、大人になってから、久しぶりに科学的なものを味わうには、手ごろな本でです。読むのが遅い人でも、5,6時間もあれば十分に読める本だと思います。

 ところで私は、この本を読み始める前は、以前に読んでいない本だと思っていたのですが、本の巻末の解説のところに、鉛筆書きで薄く「1991年6月8日午後11時58分千葉県市川市のアパート自室にで読了By(私の名前)」と記してあった。どうも物覚えが悪くなってしまったものだなあ、と思う今日この頃であります。

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