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書評(平成18年05月03日)

『野望の峠』(戸部新十郎著・徳間文庫)

  「野望の峠-新宮十郎行家、源氏棟梁への非望」、「破顔−最後に笑った国盗りの雄・北条早雲」、「一眼月の如し−名参謀・山本勘介の誤算」、「けむりの末−戦国の鬼・服部半蔵の涙」、「天下と汚名の間−明智光秀、無謀な行動の結末」、「感状−渡り奉公人・結解勘兵衛の最期」、「放れ駒−関が原の行方を決めた小早川秀秋の裏切り」の7つの短編が収められている。
 
 本の裏表紙には「己の野望を遂げるため、生命を賭して戦乱の世を駆け抜けていった戦国武将たち。・・・・(7人の武将の名)・・・——彼らの哀感迫る人間群像を、歴史小説の第一人者が活写した傑作集。」と内容が紹介されている。
 うーーん、どうも今深夜なので眠い。手抜きして転記しただけだが、まあ内容については、これだけ書かれていれば、だいたいの想像がつくだろう。

 このコーナーを書評と大げさに銘打っているので、感想を少し。先ほど裏表紙のコメントに‘己の野望を遂げるため・・・・・'とあったが、「服部半蔵」に関しては、彼についての描写などみると、野望のようなものはあまり感じられなかった。しかし自分としては、この中では一番良かったし、半蔵に興味が沸いた。この『野望の峠』に収められた「服部半蔵」が、後の大作『服部半蔵』の前駆的作品となったそうだが、短編のせいか半蔵の姿が少しぼやけてイマイチどういう人物であったかわかりにくい点もあるが、それでも氏が描く半蔵に何かしら惹きつけられるものがあったのだ。
 大作『服部半蔵』も読んでみたくなった。

 戸部氏は、このブログでも何度か書いたが、私の地元・七尾市出身の作家である。地元の作家の中では、私は彼が一番好きである。しかしつい数年前、平成15年8月13日に享年77歳で亡くなった。墓地も七尾市の妙観院にあるという。地元では「千日参り」や「七不思議」、精巧な「弘法大師像」(像の内臓などまで造られている)で知られた有名な寺である。
 私も機会があったら、お参りしてみようと思う。 

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