このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

書評(平成18年12月10日)

『(イラストオペラブック2)魔笛』
(原研二(解説)・モーツァルト)  

  この本は、イラストオペラブックの第二弾の『魔笛』である。第1弾は、プッチーニの『トゥーラン・ドット』で読んだが、このコーナーでは特に紹介していない。ブログで簡単に 『(イラスト・オペラブック)トゥーラン・ドット』 を紹介しているので、興味のある人はどうぞ。

 「魔笛」は私が、20年ほど前初めて最初から最後までみたオペラである。
 1991に、モーツアルト没後200年ということで、色々催しものがったが、その数年後映画の「アマデウス」を観てからモーツアルトのファンになった。カールベーム指揮のモーツアルトの曲のCDを片っ端に買った。ベートーヴェン、ショパンなど他の偉大な作曲家の曲と違い、(精神的に)構えて聞く必要は無く、自然体で聞けるのが良かった。彼によって編曲された、どの楽器の、どの音にも、何の違和感も感じないような、自然の流れのようなメロディの素晴らしさに、天才性を実感して、単にファンというだけでなく、その虜になっていた時期もありました。

 「魔笛」を観たのは、「アマデウス」の映画が流行った時期からさらに少し後だったように思います。日本語でのオペラが公演され、思った以上に面白く、オペラとは意味がわかるとこんなにも面白いのかと思ったことを覚えています。

 私は、「魔笛」の中でも特に鳥刺しのパオパゲーノとパパゲーナが合唱するあの有名な場面など大好きである。パパパパパ・・・・・・・と高い声で歌う部分は、本当に何か非常に楽しい気分になる。そのせいか主人公のタミーノよりも、パパゲーノの印象の方が強い。私の素人の感想はこの辺で終わりとして、話の内容をちょっとだけ紹介しよう。

 不思議な国に迷い込んできたタミーノという王子が、夜の女王に頼まれ、自分の娘パミーナをザラストロ(ゾロアスターのこと?)という神官の長にとらわれており、そこから救い出しに向かう。タミーノは、夜の女王に見せられたパミーナの絵姿に一目ぼれし、了解する。途中パパゲーノという鳥かごを背負った鳥刺しとひょんなことから出会う。女王はタミーノには魔法の笛、パパゲーノには銀の鈴を与え、ザラストロの城に向かうよう命じる。途中、何度か三人の童子に出会い、道標となるような注意事項のような知恵を与えられ、それをタミーノはきちんと守り、困難を乗り越えていく・・・・・・

 下手糞な粗筋の紹介だが、ざっとこんな内容である。話自体は、この本を読んだだけでは、そんなに面白いと感じないかもしれない。しかしオペラとして観ると、たとえ話の内容がわからなくても楽しくなるようなオペラなのである。でも外国語の劇だけに、話の内容は一応知っておいた方が、鑑賞の為にはいいに決まっている。他にも色々と関連知識も知っていれば、それまた良いだろう。

 「(イラストオペラブック1)トゥーランドット」と同様、この本の裏にも、ドイツ語の台詞が全て記されているし、その対訳もある。それをコピーして、オペラを観ながら対訳を読むのもいいかもしない。また「魔笛」の元になった話の原作者ともいわれるシネカーダーの劇と魔笛との関係た、モーツアルトの生涯、魔笛の伝説の舞台、ハマリ役の役者についても書かれている。また魔笛のCD、DVDなども紹介されている。オペラ「魔笛」を見るのは、非常に手ごろなガイドブックだと思う。

 今年は、モーツァルト生誕250周年ということで、これまた色々催しものがったが、この本も、そんなモーツアルトブームの一つとして出版されたのかもしれない。この本にはCDが本来添付されているのだが、残念ながら心得の良くない人がいたらしく、図書館の人の話によると、誰かが抜いて持って行った(つまり盗んでいった)らしく、添付されていなかった。できればドイツ語でもいいから、もう一度観たかったのだが・・・

(この本は中能登町鹿島図書館から借りてきた本です)

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください