このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

書評(平成19年01月09日)

『鷹姫さま お鳥見女房』(諸田玲子著・新潮社)

  この記事は、紹介する本を図書館(七尾市立中央図書館)へ返してしまってから書いている。つまり売る覚えで書いているので、あまり詳しいことは書けない。ご了承願いたい。

 ちょっと手抜きもしたい。インターネット上(Amazon.co.jp)の「BOOK」データベース及び「MARC」データーベースの紹介文を転記する。
(「BOOK」データーベースより)
妻としか分かち合えない苦しみと痛みがある—。将軍家の鷹狩りを司り、裏で諸藩の不穏な動きを探るお鳥見役。二年余も家をあける苛酷な務めは夫の心に暗い影を残した。長男に持ち上がった縁談、ままならぬ次女の恋模様、父の知られざる過去…。妻として母として女として珠世の気苦労は深く重い。家庭のぬくもりにひたる大好評シリーズ第三弾。
内容(「MARC」データベースより)
将軍家の鷹狩りを司り、裏で諸藩の不穏な動きを探るお鳥見役。二年余も家をあける苛酷な務めは夫の心に暗い影を残した。妻として母として女として、珠世の気苦労は深く重い。家庭のぬくもりにひたるシリーズ第3弾。

 お鳥見役については、同シリーズの第一弾「お鳥見女房」や第二弾「お鳥見女房 蛍の行方」の紹介文でも色々書いているので今回は省略したい。
 今回も前向きで素敵な妻を演じる主人公珠代を中心に、矢島家の者達が色々な事件や問題に遭遇それを乗り越えていく。
 前作の最後で、隠密任務を終えた夫・伴之助が無事帰ってくるが、彼は帰ってきても人間が変わってしまい寡黙になり暗い影をいつも帯びるようになった。それでも妻の思いやりのある優しい対処に少しづつ心を開いていく。
 また前作の伴之助の失踪で立ち消えてしまったかと思われた長男の久太郎の縁談が、父の帰還で思いがけず再開。相手は勿論前の時と同じ家、今をときめく老中水野忠邦の鷹匠を務める家の娘で鷹姫と呼ばれる男のような気性の娘だ。縁談も娘のたっての希望であった。男装の姿で参加した鷹狩の場で、久太郎を何度か見かけ、見初めて申し込んできたものであった。
 次女君江も、次男の久之助の友人と相思の関係で、婚約が決まる。
 また以前この矢島家に居候していた源太夫も、(前回作では沢井多津と結婚するが)今回は仕官が決まる。
 矢島家にとっては、家族をめぐる事件が色々とおきためまぐるしい一年を描いた第3弾といえようか。

 このシリーズは当分続くのであろう。
 次作以降目をはなせないのは、1つには一旦縁談を断ったがまだ色々と置きそうな伴之助と鷹姫との関係がどうなるのかだ。また祖父を訪ねてきた娘(名前は忘れた)と久之助との関係も気がかりである。
 他には、矢島家の者ではないが、今回いい脇役を演じた一人、前作でも登場したしゃぼん玉で子供らを遊ばす男(これまた名前をド忘れ)が登場する。彼は、忽然と現れ忽然と姿を消す、場を急に和やかにしてくれる楽しい存在であり、住処もわからぬ謎の存在でもある。彼の今後も注目したい。

 今回も、どんな困難があっても前向きに明るく生きる主人公珠代に魅入るとともに、いつのまにか作中の登場人物を応援している自分に、かなりこの作品に嵌ってきたなあと感じた次第です。

(この本は七尾市立中央図書館(ミナクル3F)から借りてきた本です)

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