このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

書評(平成19年02月4日)

『理科年表読本 地震』
(安藤雅孝・吉井敏尅編・丸善)

 3時間もあれば十分によめる本である。地震というと地球物理学という言葉が浮かび、物理学の粋(すい)を集めた学問という感じがするが、それだけに一般向けの本としては、そのような数式だらけの本は無理なのだろう。この本では数式などは一切出てこない。

 プレートテクトニクス理論も、簡単に紹介されている。そういえば高校の地学も、物理や化学と比べると随分簡単だった記憶があるが、相当高等な数学や物理でも学ばないと、研究できない分野なのだろうか。そのせいか教科書自体の内容が面白くなく、受験科目としては選択しなかったのを覚えている。
 それはまあいいとして、とにかくこの本は理科年表読本とはいえ、文系出身の人でも、容易に読める本となっています。

 1993年発刊、つまり神戸大震災のほんの数年前に書かれた本で、そういう意味ではちょっと古い本である。震度の数え方も少し前のものである。でも地震の基本的なメカニズムに対する考え方はそれほど変わっていないようだし、私ら素人というか一般向けにはこれで十分だと思う。

 私自身は高校時代に、P波、S波は習った記憶はあったが、表面波、自由振動などは習っていなかったように思う。また3種のプレート境界の違い、つまり発散境界、収束境界、トランスフォーム断層の詳しい違いや、リソスフェア(岩石層)、アセノスフェア(軟弱層)の性質の違いによって深発地震の奇妙な異常震域を説明できることは初めて学んだ。

 自分の頭の中の知識を再整理及びメンテナンスするつもりであったが、この程度が素人の予備知識として適当なところであろうか。私としては、もっと詳しいことを知りたかったが、まあ地震の入門書としては、これで良しとしておこう。

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください