このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
1.輸入の大まかな流れ
1)輸入商品の決定ず、どの国からどのような商品が輸入されているかを、政府やJETROの刊行物等を利用して調べる。そして、輸入商品が絞られてきたら、その国の業界紙を取り寄せて、メーカー名や貿易商社名を確認する。
その他のポイント
輸入商品の関税額の確認をしておかないと、商品の販売策を決定する上で大事な価格設定に大きな狂いが生じる。又、十分な市場調査をしておかないと、大きな在庫を抱えることになる。
2)取引先の発見
JETRO(日本貿易振興会:Japan External Trade Organization)、商工会議所などを利用すると良い。最近では、インターネットで捜す方法も流行。
取引先の発見方法
①JETRO,日本の商工会議所(Chamber of Commers and Industry)、銀行などの紹介・斡旋機関を利用 |
②海外の商業会議所(Chamber of Commers)に問い合わせをする |
③商工人名録(Directory)には、世界の主要貿易関連業者の名前が記載されている。Kelly's Manufacturers and Merchants Directoryが有名 |
④海外または日本国内で開催されている見本市(Trade Fair)を利用する |
⑤海外出張をする |
⑥広告、宣伝メデイア(海外の業界紙、新聞、週刊誌)を利用する |
3)信用調査
信用調査の調査内容;調査内容の「3つのC(Three C's)」
①Chracter:相手先の社風 →相手先の信用調査の結果→信用状態良好→輸入交渉開始 |
②Capacity:相手先の営業能力 |
③Capital:相手先の資本 |
相手先の信用調査の他に、相手国の政情、経済状況などについても的確な知識が必要 |
4)輸入交渉
交渉手段:FAX、TELEX、レター、電話、インターネット等
輸入交渉の5大ポイント:価格、数量、品質、納期、支払条件
5)売買契約の締結
輸入者と輸出者との間で何回かの交渉 →契約の成立→輸入者は売約書(Purchase Note)の作成
6)許認可などの申請・輸入取引き開始までに必要な書類の準備
ア)輸入は「原則自由」ですが、貿易関係法により、さまざまな規制があることに注意しなければなりません。あらかじめ専門家に聞いたり、税関で調べておくことが必要になる。
イ)輸入取引き開始時までに必要な書類
(1)輸入報告書(I/R:Inport Report)
輸入者は500万円を超える商品を輸入するときは、輸入報告書を作成し、外国為替銀行に提出する。この輸入報告書は、輸入実績等の資料に使用されています。なお、①代金の全部について決済を必要としない貨物を輸入する場合と、②輸入貿易管理令第14条の特別に該当する貨物を輸入する場合については、輸入報告書を提出する必要はありません。
輸入報告書の記入事項
①報告者名 | ②関税番号 | ③原産地および国コード |
④外国為替金額→USドルで表示、それ以外は( )で表示 | ||
⑤決済予約 | ⑥報告月日 | ⑦報告銀行店舗名 |
(2) | 信用状開設依頼書(下記) |
(3) | 輸入承認申請書(Inport License)→(必要なときは)通産省へ提出 |
(4) | 輸入手続依頼書(Import Instructions) |
(5) | 外国為替売約票(Forward Exchange Selling Slip) |
(6) | 予定保険申込書(Application for Provisional Insurance) |
7)L/Cの開設依頼
L/C→信用状(Letter of Credit)の略
輸入契約で、信用状(L/C)で決済を行う事を決めたら、輸入者は、自社の取り引き銀行に対して、信用状の開設を依頼します(費用がかかる)。銀行は、輸入者に代わって輸入代金を支払うことを保証する。
輸入信用状開設依頼書(Application for Letter of Credit)
<上記の書類に必要な記入事項>
①信用状番号 | ②信用状通知方法 | ③通知銀行 | ④信用状有効期限 |
⑤信用状開設依頼者 | ⑥受益者 | ⑦金額 | ⑧インボイス(送り状)について |
⑨船荷証券について | ⑩保険証券について | ⑪分割船積 | ⑫積み替え |
⑬特別条件 |
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8)海上保険の契約
輸入契約を結んだ時の貿易条件がFOBやCFRの場合は、輸入者側で、海上保険の手続きを行う。どのような保険をかけるかは、輸入する商品の性格や輸入経路、輸入手段等を十二分に考慮して行う。輸入者は海上保険に関して、しっかりとした知識が絶対不可欠。
9)外国為替の予約
為替相場の危険回避の方法の一つとして、外国為替の予約がある。輸入者は、外貨建て契約の場合、外国為替の予約を行う。
10)船積通知(Shipping Advice)の受領
輸入者は、輸出者より船積み終了後、船積通知を受け取る。船積通知→TELEX、FAXなど。
後日、Invoice(送り状)、Packing List等の書類が郵送されて来ることもある。
11)貨物の到着案内
貨物到着案内(Arrival Notice)の記載内容
①輸入者名 | ②日付 | ③本船名 | ④輸出者名 | ⑤到着予定日 |
⑥B/Lナンバー | ⑦船積み港 | ⑧荷卸港 | ⑨荷渡地 | ⑩品名 |
⑪数量 | ⑫重量 | ⑬メジャーメント(寸法、長さ、幅) | ⑭CFSサービスチャージ |
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船会社からは、荷受人たる輸入者宛てに、貨物到着案内が送られてくる。これにより、本船の入港予定日を知ることができ、輸入通関手続き等の準備を開始する。
12)書類の到着通知受領(銀行から)
輸入が信用状取引で行われた場合は、船積書類が信用状発行銀行に送られてくる。輸入者は、信用状発行銀行から、貨物を引き取るのに必要な、船荷証券(B/L)が含まれた書類が到着したことの通知を受けます。輸入者は、このB/Lを入手するために輸入決済の準備を始めます。船荷証券(B/L:Bill of Lading)
13)輸入決済
輸入者は、貨物を引き取る為に船積書類が必要。自己資金が十分にあるときは、その場で手形を決済し、船積書類を入手しますが、 自己資金に余裕の無いときは、輸入ユーザンスと呼ばれる代金の支払いを延ばす方法を利用する。
輸入ユーザンス
①シッパーズ・ユーザンス(Shipper's Usance)
輸出者が期限限定付為替手形を振り出し、輸入者に対して支払猶予を与える方法で貨物を後払いの送金ベースにする方法もあります。
②為替ユーザンス(自行ユーザンス・本邦ローン)
輸出者が振り出した手形の対外決済を日本の外国為替銀行が行い、輸入者に対しては、外貨の貸し付けを行うものです。輸入者は、銀行に外貨建約束手形を振り出します。
③外銀ユーザンス(アクセプタンス方式)
期限付きの輸入信用状に基づき、海外の銀行(輸出地及びロンドン、ニューヨーク等の主要な金融市場にある銀行)を支払人とした期限付為替手形を振り出して、輸出地の銀行に買い取ってもらうものです。他にも、為替ユーザンスの期日以降もさらに金融を受けるはね返り金融や、外貨による為替ユーザンスを受ける変わりに円金融を受ける直はねがあります。
14)輸入書類の受領
輸入者は、手形を決済し貨物を引き取るのに必要な船積書類を入手します。入手後ただちに、書類が契約どおりか十二分にチェックします。問題がなければ、船積書類のなかのB/L(船荷証券)に裏書きをし、必要な書類を整え、専門業者に連絡し通関などの依頼を行います。
15)海貨・通関業者へ依頼
通関手続きなどは、専門業者である海貨業者・通関業者に依頼します。輸入者は、銀行より入手した船荷証券、Invoice(送り状)、Packing Listの他に、必要があれば原産地証明書(Certificate of Origin)、輸入承認証(Inport Licence)、カタログなどを整えて依頼します。この時点で、必要書類が完全に揃っていないと、スムーズな通関手続きが出来なくなります。
16)D/O交換
荷渡指図書(D/O:Delivery Order)
輸入者より依頼された海貨業者は、まずB/L(船荷証券)を船会社に提出し、引き換えに、荷渡指図書(D/O)を手に入れます。この荷渡指図書(D/O)は、貨物の荷渡しを船長または船内荷役業者宛てに指示したものです。このD/Oと引き換えでないと貨物を手に入れることは出来ません。
17)貨物の荷揚げ
コンテナ船には、2種類のコンテナ貨物がある。
①FCL(Full Container Load)貨物:コンテナ1本単位の貨物 |
②LCL(Less than Container Load)貨物:コンテナ1本に満たない小口貨物 |
本船からの荷揚げ後は、船会社の指定する荷役業者(通称:ステベ)がコンテナからの貨物の取り出しを行います。ステベとはStevedoreのこと。
18)保税地域搬入
輸入しようとする貨物は、原則として保税地域に搬入しなければならない。保税地域に搬入後、通関業者は搬入の確認をとり、輸入通関手続きを行う。
保税地域(Hozei Area)の種類→現在5種類
①指定保税地域(Design Hozei Area:DHA)
国や地方公共団体の土地や建物を大蔵大臣が指定したもので、貨物の蔵置期限は原則として1ヶ月。
②保税蔵置場(Hozei Warehouse:HW)
税関長が許可した私営のCFS・CYなどの場所が多く、ここは輸出入貨物の税関手続きに利用されています。従来の保税上屋、保税倉庫を一緒にしたものです。1994年に保税蔵置場と改名した。貨物の蔵置期間は原則として3ヶ月ですが、これを超える場合は、IS(ImportStorage)の承認をとる必要がある。
③保税工場(Hozei Manufacturing Warehouse:HMW)
税関長が許可した場所で、外国貨物の関税を保留したまま、外国貨物の加工・製造・改装・仕分けなどができる。貨物の蔵置期間は原則2年。
④保税展示場(Hozei Display Area:HDA)
国際博覧会や見本市などで外国貨物を展示するために、税関長が許可した場所で、貨物の蔵置期間は1ヶ月。
⑤総合保税地域(Integrated Hozei Area:IHA)
輸入促進のため外国貨物の蔵置・加工・展示など総合的な活用可能。税関が許可したところです。貨物の蔵置期間は原則2年です。
19)輸入通関
貨物を輸入するときは、税関に輸入申告をして許可を受ける。この手続きを通関と呼ぶ。通関は、税関長の免許を受けた通関業者(Customs Broker)が、輸入者に委任され代行します。通関業者は、輸入者より入手した書類(Invoice、Packing-List)を参考に、輸入申告書(Inport Declaration)を作成します。輸入申告書を作成するとき注意することは、輸入貨物に対してどの関税を適応するのか、どの税率がかかるのかということ。 輸入申告が作成されると、通関士により内容が審査され、税関に対して申告が行われます。
輸入申告書(I/D:Inport Declaration)の主な記載事項
①代表税番 | ②あて先税関 | ③申告年月日 | ④申告番号 | ⑤輸入者名 |
⑥搭載船(機)名 | ⑦船(取)卸港 | ⑧輸出者名 | ⑨ケース・マーク | ⑩品名 |
⑪申告価格 | ⑫関税額 | ⑬内国消費税 | ⑭原産地 |
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20)税関の検査・審査
税関は、輸入の申告が行われると、その内容を十分に審査します。必要に応じて現品の検査を行うことがある。この検査には、見本検査、全品検査、一部指定検査がある。また、検査する場所により、現場検査、検査場検査、本船・艀中検査などに区別される。
21)関税納付
輸入通関の特徴の一つは、輸入商品に関税や消費税などの税金がかかることです。関税・消費税は、輸入コストの中でも大きなウエイトを占めます。輸入者は、事前に輸入する商品にどれくらいの関税や消費税がかかるか調査しておく必要がある。また、関税の計算方式を知っておくことも重要である。
22)消費者のもとへ
輸入者のもとへ商品が届く。輸入者により、企画・検討された輸入商品が、さまざまな会社や関係機関の手を経て、最終的に消費者へわたる。
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