このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

連帯責任とは、いったいどのようなものか?


 選抜高校野球大会に出場が決まっていた敦賀気比高校が、部員の起こした無免許事故により その連帯責任を問われ、大会を約2週間前にして出場が取り消しになった。 過去、敦賀気比高校以外にも出場が取り消しになった事例があり、列挙すると 次のようになる。

年度学校名理由
 35浪華商(大阪)系列校にからむ刑事事件
 52門司東(福岡)野球部員の試験免除問題
 58浪華商(大阪)同校生徒の恐喝事件
 65高知商(高知)野球部員の暴行事件
 67津山商(岡山)元部員らによる婦女暴行
 71北 海(北海道)元サッカー部員の暴行事件
 71三田学園(兵庫)同校生徒の暴行事件
 75門司工(福岡)同校生徒の婦女暴行未遂
 84池 田(徳島)野球部員らの飲酒運転事故
 84函館大有斗(北海道)野球部員のひき逃げ事故
 85明徳義塾(高知)校長代理が売春防止法違反   
 87東海大浦安(千葉)元野球部員の傷害事件
 89岩 倉(東京)野球部指導者の暴行事件
 92上 宮(大阪)前野球部監督の体罰
 92神戸弘陵(兵庫)野球部員12人の喫煙

 以前から新聞の片隅に、部員の飲酒・喫煙で対外試合1ヶ月禁止とか、部員の暴力で 部長が謹慎処分などという小さな記事を目にしてきた。 なんで高校スポーツの中で、野球だけはこんなことがあるんだろう、と みなさんは不思議に思わなかっただろうか?
連帯責任とはどのようなものか。
日本学生野球憲章において、次のように定められている。

第二十条 日本学生野球協会は、部長、監督、コーチ、選手又は部員に学生野球の本義に違背し、
 又は違背するおそれのある行為があると認めるときは、審査室の議を経て、その部長、監督、
 コーチ、選手又は部員に対しては、警告、謹慎又は出場禁止の処置をし、その者の所属する野球部
 に対しては、警告、謹慎、出場禁止又は除名の処置をすることができる。部長、監督、コーチ、
 選手又は部員にこの憲章の条規に反する行為があると認められるときも、同様である。

② 部長、監督、コーチ、選手又は部員に野球に関する個人としての非行があったときは、
 その部長、監督、コーチ、選手又は部員について前項前段の規定を準用する。但し、こ
 の非行が、学生野球の健全な発達を阻害し、又は阻害する おそれがあると認められる
 ときは、その者の所属する野球部についても前項前段の規定を準用する。
  部長、監督、コーチ、選手又は部員の野球に関しない個人としての非行であっても、
 その非行が、学生野球の健全な発達を阻害し、又は阻害するおそれがあると認められるときは、
 その者の所属する野球部について第一項前段の規定を準用する。

個人の起こした問題が、チームの問題として絡んでくる。
よく考えたら変ではないだろうか?
個人の問題ならば、高野連がその人を含むチームを罰するのではなく、学校側がその個人の 休学・退学なり、チームの大会出場停止を決めればすむことなのではないだろうか?

この問題を考える際、重要と思われるのは、高校野球はただの高校スポーツでは ないという点であると思われる。 なにせ、公共放送であるNHKが全国大会を全試合生放送し、ニュース・新聞などでもデカデカと 取り上げるのだから。
他の高校スポーツに比べ、それだけ社会に与える影響というのは大きい。 野球部の活躍に伴い、その高校の名前は全国に知られることとなる。 (悪く言えば、学校の名前を「売る」ために野球部を強化する学校すらある)

我々は、高校球児は純粋でひたむきであるべきだ、なんていう理想像を 勝手に描いている。 連帯責任は、その社会・世間の期待に応えるべく、個人の起こした問題はチームの問題、 だから大会に出場できなくなることもあるんだよ、という一種の「脅し」とも取れないこともない。
そもそも、日本高等学校野球連盟(高野連)は日本高等学校体育連盟(高体連)とは 全く関わりをもたない、独立した団体である。 したがって、インターハイの競技種目に野球はない。 (国体には公開種目として高校野球があるが)

日本の高校野球は、特殊性をもっていると言わざるをえないだろう。
「高校野球」というひとつのスポーツとして成り立っているのである。
実際、「どんなスポーツを見るのが好きですか?」という質問に対して、 「高校野球」と答えた人は37.1%で「プロ野球」(58.7%)についで2位、 「バレーボール」(24.0%)、「プロサッカー」(23.2%)をも上回った (読売新聞世論調査「見るスポーツ」より)。
高校野球を見たあとにプロ野球を見ると、別のスポーツを見てるかのような感じを覚えることもある。 (私だけだろうか?) 金属バットと木製バットの違いはあるのだが、ほぼ同じルールの下で行われているのに・・・・。
この社会の高校野球に対する期待がなくならないかぎり、 連帯責任という制度はなくならないのでは、と私は思うのである。


 

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