このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

雲海の思い

館長と愉快な仲間達を乗せた船は一刻一刻と淡路島へと進んでいく。
空は青く澄んで、館長の疲れた心を包んで癒してくれる美しさであった。
そんな青空を眺めていると大きな雲の一団がやってきた。
「やあ!雲さん。今日はどこから来たんだい??その白さが僕の青さで一段と
輝いてるから、僕もこの青さを増すことが出来るよ」
「青空さんがいるから僕もこの大空を自由に旅することが出来るよ。
明日はどんな所が僕を待ってるかはわからない。でも、僕は青空さんが
一生懸命その青さでいる限り、安心してどこにでも行けるんだよ」
とそんな会話が聞こえてきそうな雰囲気に思わず自分も一緒になったような
気がした瞬間、この一枚をフィルムの中に収めている自分がそこにいた。

風景は好きだけど、上手く撮れないと悩む人は沢山いる。館長もはっきり言って
風景は上手ではないし、写真が上手だとは思っていない。
むしろ、写真のことは誰よりもわかっていないだろうと思っている。
でも、難しい理論を知っていたから、いい写真が撮れるのか?
いいカメラを持っているからいい写真が撮れるのか??
それは絶対に違うと館長は思う。感動しきった心で向かう風景は
普通に見ている風景では見れない顔を見せてくれる。
そんな心から映し出した写真こそ、本当に感動を呼び起こす一枚であるし、
名も無き民衆の芸術ともいえる写真の真骨頂ではないだろうか?
館長も無名の写真家の一人として、この感動の心を呼び覚まし、この一枚を
与えてくれた偉大なる自然に感謝し、さらに彼らの心を映し出していける
写真家に成長しようと誓った夏の日であった。

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