このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

マンガ逍遙

8.「BARレモンハート」 古谷三敏 ファミリー企画
 双葉社・刊 1〜19(2003.12月現在)
 初出 双葉社 週刊アクションピザッツ S59?〜 まんがタウン、ピザッツで同時(月刊)連載中
    
 マンガで人情を描く、ということは決して必ずしも難しい行為ではありませんが、それを主軸として貫き通すことはほぼ不可能に近い偉業ではないかと思います。。
 このマンガ家、古谷三敏さんは人情をテーマに一貫してマンガを作り続けている希有な人であると言えます。
 例えば小学館系で連載されていた「寄席芸人伝」。これもまた名作に数えられるべきマンガですが、この作品の中では落語という、ある程度ストーリーとして出来上がった作品群から設定のアレンジと視点の変更等を加え、独自のストーリーを生み出してます。これに対し、当作品「BARレモンハート」では、体系化が難しい酒が持つ歴史、またはその銘柄特有のエピソードを用いたという点で、より難しい「人情話の表現」に取り組み、更なる高みに達したのではないかと思います。
 オムニバスという形態をとりながら、レギュラーキャラクターは不思議なくらい少ない(マスター、松田さん、メガネさんの3人)ところも特徴です。数回でキャラクターを覚えることが出来、またキャラを知らなくてもストーリーを楽しめるように出来ているのは、作者である古谷さんの力量がなせるわざと言えるでしょう。
 このマンガには人情の表現とともに、普段一般に知られていない(または別角度で語られることが少ない)酒のガイドブックというもうひとつの側面があります。酒の種類、銘柄ともに正統派のガイドとしての役割を担っているのではないでしょうか。ただ、BARと書かれているので、どうしてもカクテルやウヰスキーなどに重心がよりがちなのは、醸造酒好みの私としては残念なところです。
 お酒が好きな方、または人情話が好きな方は是非お読みになることをおすすめします。

 当コーナーではこれから順次(気が向いたら)マンガ作品を紹介していきたいと思います。
 基本姿勢としては、
 ・好きな作品しか紹介しない
 ・何度も読んだものしか紹介しない
 ・自分が所有している(つまり、それだけの価値があると自分で思っている)ものしか紹介しない
 という三点を挙げます。
 ま、紹介の九割九分は作品リスペクトになると思いますので、かるーい気持ちで読んで下さい。


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