このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
マンガ逍遙
7.「わずかいっちょまえ」 星里もちる
徳間書店・刊 (エンターブレイン再版) 全1巻
初出 徳間書店 少年キャプテン H2・2/3月号〜10月号
この作者さんについては以前紹介しています。よって作風などの部分に関しては別項を参照して頂ければ、と思います。
で、このマンガだけを採りあげてわざわざ特集を組むのにはそれなりの訳がありまして、、、まあ率直に言いますと、一番好きだから以外特記すべき理由がないようにも感じますが(笑)。
どうでも良いマクラはこのくらいにして解説に移りたいと思います。
作者さんが後書きで述べられているとおり、これは「名作物」と位置づけられるべきマンガでしょう。それまで少年誌で築き上げてきた、テンポのよいギャグ路線からは一線を画しており、子どもを前面に立たせておりながら、社会の問題に痛々しく迫っています。
受験戦争、様々な差別。もちろん、これはこのマンガの本線とは離れたものでしかありませんが、一つ一つの問題を揚げながらも主人公・わずかの成長に少しずつ寄与していく様が、実に読ませる作品としてこの作品を名作たらしめています。
取っつきにくさをなくすための要素として、わずかをとりまく動物たち(マッハ号(犬)・マッハ号2号(ウォンバット))や恋心のゆくえなどが所々に話の潤いを見せていますが、それは人の心の強さともろさを見せていく、ものがたりの本筋と喧嘩することなく、楽しく読ませます。
現在の作者が得意とするシリアスな人間ドラマの源流がここにあると言えるでしょう。コメディと伝えたいことのバランスも最もとれている作品ではないでしょうか。私的には、作風も絵柄もこの頃(90年代前半期)が一番好きです。
当コーナーではこれから順次(気が向いたら)マンガ作品を紹介していきたいと思います。
基本姿勢としては、
・好きな作品しか紹介しない
・何度も読んだものしか紹介しない
・自分が所有している(つまり、それだけの価値があると自分で思っている)ものしか紹介しない
という三点を挙げます。
ま、紹介の九割九分は作品リスペクトになると思いますので、かるーい気持ちで読んで下さい。
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