このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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大前駅ホームにて

渋川—中之条—群馬原町—川原湯温泉—長野原草津口—万座・鹿沢口—大前
 草津よいとこ一度はおいで、の草津温泉へのアプローチ路線です。「温泉」と名のつく駅名も随所に見られます。上野から高崎線・上越線経由で特急が直通してきます。基本的にはローカル線で、短編成の電車がのんびりと山岳路線を上り下りする様子が見られます。特急は万座・鹿沢口までの乗り入れで、ローカル各駅停車も一部のみ終点大前まで乗り入れます。
 日本一短い樽沢トンネルもこの路線の名所として有名です。が、国土交通省が進めるダム建設のため、このトンネルがある箇所も含めて沿線が水没することが確定しています。ダムが完成した際には新線に付け替えられることになっています。
<乗車記>
 上越線から両毛線に入る185系普通に乗り込み、とりあえず前橋まで行くことにした。新前橋での乗り換え案内を聞いていると、「吾妻線大前行き…」という言葉が耳に入った。吾妻線は特急も入ってくる観光路線であるが、基本的にはローカル線である。その性質ゆえか、運転区間が限られるのである。普通列車も途中の長野原草津口折り返しか、終点の一つ手前の万座・鹿沢口折り返し、特急は全列車万座・鹿沢口折り返しである。高崎〜大前間直通列車は1日わずか4.5往復しかない。
 新前橋で衝動的に185系から降り、ホームで吾妻線電車を待つことにした。新前橋駅の脇には電車区があり、185系や107系、211系などが身体を休めていた。やって来た吾妻線電車は115系。セミクロスシートの車内には、地元乗客の他に明らかに観光目的とわかる客がちらほら見受けられた。吾妻線は単線の山岳路線で、駅名を見てもそこかしこに温泉があるような印象を受ける。ドア脇のロングシート部でうたた寝を決め込むつもりだったのだが、そのはす向かい、車端部のロングシートに転がっていた中学生くらいの女の子3人組がやかましいこと。無理して背伸びしてやがんな、という服装もそうだが、シートにふてぶてしく座る姿や吐き捨てるような喋り方などを見るともなしに見ていると、トシを感じずにはいられない。挙げ句の果て口笛で合奏を始めたものだからうたた寝どころの騒ぎではない。
 しかし、おかげで樽沢トンネルを見ることが出来た。これも有名な、全長72mの日本一短いトンネルである。吾妻線の紹介写真と言えば、ここをくぐる185系特急の写真がメジャーだ。ただこの付近はダム工事のため近い将来水没することになっており、車窓を良く見るとそれらしい工事が谷のあちこちで行われているのが見えた。こうして吾妻渓谷の様子を眺めているうちに電車は長野原草津口駅に到着し、例の3人組は降りていった。彼女たち以外にも多くの乗客がここで降りてしまった。恐らくは駅前のバス乗り場から温泉行きのバスに乗るのであろう。この駅名、平成3年11月までは「長野原」駅だったのだが、「草津よいとこ一度はおいで」の草津温泉の連絡口であることから改称された。…ちなみに私は「草津温泉」というのは滋賀県にあると思っていた。…え、知らない方がおかしい? 常識? だって滋賀には草津線があるやんかぁ!!
 …気を取り直して。長野原草津口を過ぎると、さらに山を分け入る感じで電車は進む。線路脇にはまだ雪が残っている。だいぶ標高が高いのだろう。羽根尾駅には側線が何本もあった。昭和57年3月までは貨物扱いをしていたそうで、その名残りのようだ。羽根尾以降は単線である。特急が折り返す万座・鹿沢口駅も一面一線の配線(見た感じ昔は交換可能駅だったようだ)で、もちろん終点大前駅も一面一線だ。先ほどから珍しいものを羅列している気がするが、「万座・鹿沢口」という駅名も、中点が入った名称が正式名称という、恐らく全国唯一の駅名である。(まぁ、福岡(天神)という正式名称なんかもあるけど。)
 大前駅では6分停車で折り返し。運転士と車掌がゆったりとエンド交換を済ませ、電車は逆向きに動き出した。終点まで乗っていた乗客は観光客もしくは鉄道ファンのようで、私と同じくそのまま折り返した人の方が多かった。
 長野原草津口駅や川原湯温泉駅で団体さんを乗せ、電車は高崎へと降りて行った。今度こそ私はうたた寝を楽しむことができた。
[03.04.01乗車] 

(駅案内)渋川—金島—祖母島—小野上—小野上温泉—市城—中之条—群馬原町—郷原—矢倉—岩島—川原湯温泉—長野原草津口—群馬大津—羽根尾—袋倉—万座・鹿沢口—大前
(その他)全線電化単線、地方交通線

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