このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
整備新幹線として建設された、東北地方の大動脈たる新幹線です。大宮〜盛岡間がいわゆる「大宮暫定開業」として開業したのが昭和57年のこと。以後上野延伸、東京乗り入れを果たし、2002年12月には八戸延伸によってついに青森県に到達しました。途中駅で分岐するミニ新幹線を含め、バラエティ豊かな列車が頻繁に行き交う路線です。東京〜大宮間は上越新幹線との二重戸籍区間ゆえ、上越新幹線「とき」「たにがわ」及び長野新幹線「あさま」が走ります。福島では山形新幹線「つばさ」が分岐し、盛岡では秋田新幹線「こまち」が分岐します。2006年3月18日のダイヤ改正で、東京駅での発着番線の限定がなくなり、21〜24番線のいずれにも発着するようになりました。
東北新幹線自体の列車種別は三本立てです。ただし、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」のように、停車駅パターンで区別されているわけではありません。東京〜八戸間を直通する最速達かつ全車指定席の列車(一部仙台〜八戸間及び東京〜盛岡間運転)が「はやて」で、秋田新幹線「こまち」を併結して運転するのはこの「はやて」のみとなります。大宮〜仙台間及び仙台〜盛岡間無停車が基本で、いくつかパターンが分かれます。最も停車駅が少ない列車では八戸・盛岡・仙台・東京のみ停車という列車もあります。東京〜那須塩原・郡山間の区間列車が「なすの」で、各駅停車の通勤需要列車といった風情です。そしてそれ以外の列車が「やまびこ」。大きくくくれば東京から仙台もしくは盛岡に達する列車が全て「やまびこ」なのですが、停車駅パターンが極めて多彩で(「はやて」登場で随分と棲み分けが進みましたが)、全区間各駅停車の「やまびこ」も存在します。
東京口での輸送需要に対応するため2階建て新幹線「Max」も運転されています。そもそもの鉄道用語で言えば「2階建て」というのは、2つの行き先の列車が併結されて途中駅まで運転され、分割されてそれぞれの目的地に向かうことです。仙台行き「Maxやまびこ」と山形・新庄行き「つばさ」が福島まで併結して走り、分割されるのはまさしく「2階建て」なのですが、Maxは車両そのものが2フロアを有しています。8連+8連の16連で運転した場合は世界最大の着席定員を誇る列車になってしまうというのだから物凄い話です。2階席から眺める景色も格別ですが、1階席から見上げるホームの風景も独特のものがあります。
<乗車記>
青森から乗り継いだ「つがる2号」が三沢を発車した。終点八戸まではあと10分強である。車内を巡り、チームメンバーに新幹線自動改札の説明をしておく。乗車券と新幹線指定席特急券を投入してあとは列車に乗るだけ、と。青森を出て1時間もしないうちにまた乗り換えである。「第12回YOSAKOIソーラン祭り」の帰り、月曜の講義に間に合いたい33人が寝ぼけ眼をこすりつつ八戸駅のホームに降り立った。当初より、八戸駅での「7分」乗り継ぎには不安があった。疲労のたまった30人余をてきぱきと行動させるのは至難の業なのだ。
ホームを歩きながらメンバーに声をかけ、改札前でまた「コレとコレ通して、11番線の列車乗ってね〜。あんま時間ないよ〜。」と告げる。33人の大所帯で、しかもいつも一緒に活動している同じサークルのメンバーだけではないので、こういった案内にはひときわ気を遣わねばならない。極力スムーズにことを運ばねば…。その甲斐もむなしく、八戸駅の新幹線乗り換え改札はまごつく乗客で溢れ返っていた。「つがる」からの乗り換え客は年配の方も多く、自動改札に慣れていない人も多かったようである。駅員が肉声で「11番線、はやて2号東京行き発車します!!」と繰り返しアナウンスし、ホームに発車メロディが鳴り渡る中で「ごめん、急いで!階段下りて左側、開いてるドアから乗って!」…という具合になってしまった。
ようやく、といった感じでE2系1000番台のドアが閉まり、列車はスムーズに動き出した。さすがに加速の良さには目を見張るものがある。新線区間ゆえ動揺も極めて少ない。しかもこの区間は最新技術のデジタルATC採用区間、この列車は途中停車はしないが、ATCによる減速があるとしても極めてスムーズに行われるはずだ。気にかかるとすれば盛岡以南の、先日の地震で被害を受けた区間だけだ。車内を見渡してメンバーが全員いるかどうか確認する。「29、30、31、32……1人おらん……」驚愕。まさか……。「あ、いたいた!!」……ホッ。
途中盛岡停車で仙台まで1時間20分ほどである。メンバーの中には1限からテストがある人も多かったようで、そこここで眠気と戦いながらノートや教科書を拡げる姿が見られた。かく言う私も講義メモを広げて2限に行われるテスト対策をしつつも、新線区間の観察にも余念がなかった。かつて東北本線時代の旧沼宮内駅を通った時、脇に建設中であったいわて沼宮内駅舎を見上げて「こんなとこに新幹線駅ができるったい…」と思ったことを思い出したりした。
盛岡まで30分。秋田からやってきた「こまち2号」を後部に連結し、発車。以前、水沢江刺から上りのMaxやまびこに乗ったら一ノ関で「はやて・こまち」退避があった。風圧でE4系Maxの大きな車体が揺すられたのも驚きだったが、E2系「はやて」とE3系「こまち」の車長の違いから、ジョイント音が明らかに違って聞こえたのが面白かった。「はやて・こまち2号」は8時13分定刻、仙台駅に滑り込んだ。あっという間、としか言いようがない。どうも新幹線で長距離を移動すると、その速さに魂がついてこないような気がする。ホームではかなりの人がこの列車を待っていた。我々の席も入れ替わりに誰かが座るものだったのかも知れない。「お疲れ〜、勉強できた?」などと仲間に声をかける背後で、「はやて・こまち2号」が次の停車駅東京(!)を目指し軽やかに発車していった。
[03.06.25更新]
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |