■「神戸ルミナリエ」開催の経緯
『神戸ルミナリエ』は、阪神・淡路大震災犠牲者の鎮魂の意を込めるとともに、都市の復興・再生への夢と希望を託し、1995年12月に初めて開催されました。イタリアのアートディレクター、ヴァレリオ・フェスティ氏と、作品プロデューサー、今岡 寛和氏が「夢と光」(イタリア語:“Dei Sognie della Luce”) をテーマにデザインを行ったこの年のルミナリエは、約15万個の電球を使用した総延長約790メートルの作品が12名のイタリア人スタッフによって旧外国人居留地に設置されました。会場には11日間でのべ254万人を超す観客が来場し、ロマンチックな神戸の夜に灯った荘厳な光の芸術に連日感嘆の声があがり、震災で打ちひしがれた神戸の街と市民に大きな感動と勇気、希望を与えました。
また、経済的にも予想をはるかに上回る波及効果を残し、閉幕直後から、復興が遅れていた集客観光関連産業をはじめとする経済界および市民から継続開催を求める強い声が寄せられ、冬の集客観光促進事業の柱として、また、都市と市民の希望を象徴する神戸の冬の風物詩としての定着をめざすことになりました。
「讃歌一輝けるときを求めて」(イタリア語:“Ode per il tempo di luce”) を作品テーマに会期を14日間に拡大して開催した翌1996年はのべ約385万人、「大地の星たちに捧げる」(イタリア語:“LE STELLE DELLA TERRA”) を作品テーマに開催した一昨年 (1997年) は14日間でのべ約473万人、「光の星空」(イタリア語:“FIRMAMENT DI LUCE”) を作品テーマに開催した昨年 (1998年) は15日間でのべ約516万人 (いずれもメイン会場のみ) の来場者が訪れ、毎年、前年度を大きく上回る成果を残しています。
1997年7月には震災復興を先導するイベントとして国の復興特定事業に選定され、また、同年4月には地方自治体法施行50周年を記念して全国52新聞社と財団法人地域活性化センターが実施した「ふるさとイベント大賞」において選考委員特別賞を受賞するなど各方面から多大な評価を得ています。
■ルミナリエとは
「ルミナリエTM」−。イタリアの「電飾」の意味に由来する、アートディレクター、ヴァレリオ・フェスティ氏と神戸市在住の作品プロデューサー、今岡 寛和氏による“光の彫刻作品”です。
さまざまなデザイン様式の木製アーチの構造体に色とりどりの電球による彩色が施されたこの光の彫刻は、その設置デザインによって三次元的な芸術空間を創造するもので、アーチ型構造体を道路上に設置した「Galleria (ガレリア)」と呼ばれる遠近感のある回廊と「Spalliera (スパッリエーラ)」と呼ばれる光の壁掛けなどで構成されます。
“光”は闇の恐怖に対峙し、喜びや安全を導いてくれる象徴です。花火や送り火、かがり火に代表されるように、文明や風俗を問わず、人々は古来から“光”に夢や希望を託してきました。「ルミナリエ」は、光そのものがもつ数々の魅力に今日的な意義と精神性が込められた光の芸術作品です。 |