このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

農業・グルメブレーク28・農業集約がなぜ自給率上昇に繋がる?

(なんでも掲示板 07年08月 投稿済)

まち・むら・そしてたびのページのトップへ戻る

コーヒーブレーク目次に戻る

農業・グルメブレーク トップに戻る


この文章への感想・反論・コメントは なんでも掲示板 で受け付けています。



農業の素朴な疑問  投稿者:スルッとKANTO 投稿日:200785()15390

 

 

 

日経を読むとよくわからん。

「日本の食料自給率は40%台で危機的である。」
経済マンセーの日経が食料自給率を心配するのはいささか「?」な気はするが、
まあ自給率は高いほうがいいと思うので、それはそれで同意するとして、
「だから意欲ある農家に農地を集約して、大規模農業を展開すべきだ」

・・「????」

なぜここで使われる接続詞が「だから」なのか?

農地を集約化することによって、農産物が効率的に生産されて、国内農産物の
価格が安くなって、輸入品との価格競争力が増す、という点はあるのかもしれない。

しかし、「人手を集約することによって、農業生産力が増える」ということは
「ありえない」

日本に未開拓地がたくさん残っているのならともかく、日本の土地は有限なのであり、
農業生産量を増えるには、「単位面積辺りの生産力を増やす」しかない。
アメリカやオーストラリアの「航空機による粗放的農業」だと、「農家1軒辺りの生産量」
は増えるが「1ヘクタール当たりの生産量」は減るに決まっている。

結局のところ、「1ヘクタール当たりの生産量」を増やすには、人手をかけて
きめ細かい農業を行うしかないのである。
ましてや、中山中村の棚田ではなおさらだ。

「農産物を安くするために大規模農家を増やす(=農家の絶対数を減らす)」というのは、
筋の通った話である。
しかし
「国内自給率を上げるために大規模農家を増やす(=農家の絶対数を減らす)」
というのは、論理的に破綻している。

 

 

 


食料自給率  投稿者:ぱっくんちょ 投稿日:200785()16483

 

 

 

今の小規模農家のままだと経営が苦しくなって農家が減ってしまい、作物量も減り、その結果として食料自給率が落ち続けますよね。大規模農家化を進めれば、小規模農家の時よりも総作物量は減少しますが、経営的には安定させることができるので、総農地面積や総作物量の減少に歯止めをかける、つまり食料自給率の低下をストップさせる可能性はあります。

 


ぱっくんちょ様、どもです  投稿者:スルッとKANTO 投稿日:200785()16521

 

 

 

つまり休耕田の増加(農地の10%に匹敵すると言われている)に歯止めがかかるから、
自給率があがる、と。

そのようにうまく行けばいいのですが。

この辺の事情をあじあ号様に解説お願いしたいのですが、夏バテでダウンしているそうです。


 

大規模農業を展開  投稿者:あじあ号 投稿日:200787()215555

 



 

 

「日本の食料自給率は40%台で危機的である。」
「だから意欲ある農家に農地を集約して、大規模農業を展開すべきだ」
なぜここで使われる接続詞が「だから」なのか?

「人手を集約することによって、農業生産力が増える」ということは 「ありえない」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なるほど。では、御説明しましょう。

まず、農地の集約化により、粗放的農業を行うつもりはありませんし、日本の現在の大規模農家が粗放的かというとそんなことはありません。
(これで話の大部分が終わってしまうのですが。
 でも、スルットkanto氏のような知識人が、誤解されているとは正直がっかりしたなあ。まあ、農業事情は都市住民には判らなくなっているのでしょう。)

まず基礎知識(本題と外れてしまうが)として、食料自給率ですが、昭和40年度にカロリーベースで73%でしたが、現在は約40%です。
その原因は、耕地の減少、利用率の減少(=裏作をしなくなった)、人口の増大もありますが、これらの要因は、おおむね単収の増大でカバーされています。
では、下がった最大の理由は何かというと、日本人が畜産物を食べるようになり、そのための飼料を輸入したことに起因します。
したがって、食料自給率の急激な上昇は、畜産物の消費量を下げない限り、困難です。
あとは、飼料を国内で生産する余地があるので、その面で努力すること。
また、下げないようにすることとしては、耕作放棄地が生じないようにすることです。
そのためには、農地の集約化と共に、農業技術の向上による単収向上や高付加価値農産物の生産による輸入農産物との競争力強化という方策もあります。
なお、余り知られていませんが、過去30年、世界の農業は、農地面積は余り増加せず、単収増加で生産量を増大してきたのです。

>農地を集約化することによって、農産物が効率的に生産されて、
>国内農産物の価格が安くなって、輸入品との価格競争力が増す。

結局これに尽きます。
小規模農家は、営農を長く行うことが期待できない高齢者や農業外所得の多い兼業農家が多く、大規模農家と一緒に保護しようとすると、結果として、農地が大規模農家に集約できず、恒久的に農業を行う大規模農家の経営に悪影響があるのです。飛び飛びの農地では機械化が極めて困難です。
例えば、稲刈りは秋の一定期間内に終わらせないといけませんが、稲刈機で稲刈りをしている時間よりも、移動にかかる時間が遥かに長いのです。
そして、小規模農家が農業を止め、大規模農家の経営が苦しくなると、いよいよ耕作放棄地が生じてしまいます。

では、財政的なことを考えず、小規模農家と大規模農家を補助金と国境措置(=関税や輸入数量割り当て)で保護すればいいのではという意見もあるでしょうが、財政的な問題は別として、WTOFTAで、生産刺激的な補助金(生産量に応じて支払われる補助金等)については規制と削減が求められており、また、関税率の削減も求められており、今後の農業政策は、WTOFTA上認められる制度でなければならず、結局大規模農家に集約せざるを得ないのです(これを話し出すと、本が出来てしまうので、これくらいで)
なお、日経がこのような農地集約化の記事を書くのも、今後のWTOFTA交渉で、農業保護のため、工業品の輸出交渉が不利になることを警戒しているのでは、ないでしょうか。

これに対し、最近選挙で勝ったある政党は、小規模農家と大規模農家を共に保護することを公約に掲げています。
財政的な問題と今後の貿易交渉という要因がなければ、これが一番簡単、確実で、農家の支持も得られます(得られた?)が・・・・。
本当に政権を取ったらどうするのだろうか?
大臣の金の流れやバンソウコウを批判するのはかまいませんが、本気で政権をとるつもりなら、やっていいことと悪いことがあると思いますよ。

長文御免

 

あじあ号さんは農業に詳しいのですね  投稿者:少子化対策 投稿日:200787()22370

 



 

 

アメリカやオーストラリアは粗放的で機械化に適した作物を栽培しています。
途上国は人海戦術です。日本の農業は今後どのような戦略が考えられますか?
今の農政だと米だけは高価格で買い取るので栽培が集中し過剰になっています。
米以外にアメリカなど遠方からの輸出に適さない鮮度が求められて
それでいて人手に頼らなく途上国にはできない資本力、機械化が必要な
農業ってあるのでしょうか?

 


れ:あじあ号さんは農業に詳しいのですね  投稿者:あじあ号 投稿日:200787()22422

 

 

 

>今の農政だと米だけは高価格で買い取る
いや政府は買い取ってませんが・・。国境措置で外国からの輸入には制約がありますが。
>米以外にアメリカなど遠方からの輸出に適さない鮮度が求められて
>それでいて人手に頼らなく途上国にはできない資本力、機械化が必要な
>農業ってあるのでしょうか?
こっちが聞きたい。考えてよ

 


re  投稿者:少子化対策 投稿日:200788()001558

 

 

 

>こっちが聞きたい。考えてよ

ベルギーだかオランダはビニールハウス農業が盛んらしいですけど。
いずれにせよ、日本の耕地面積で国民を食わせることができないのだから
将来起きる食物の高騰の前に海外の農家と長期契約を結ぶべきだと思います。
EPA交渉のとき食料の輸出規制を無くし、国内と同条件にするように
交渉すべきでしょう。

 


食料輸出義務  投稿者:あじあ号 投稿日:200788()211629

 

 

 

>将来起きる食物の高騰の前に海外の農家と長期契約を結ぶべきだと思います。
>EPA交渉のとき食料の輸出規制を無くし、国内と同条件にするように
>交渉すべきでしょう。
よくその御意見は頂きます。
WTO
等でそのような交渉がなされたこともありますが、輸出国が食糧不足の時でも
輸出規制をしないことの確約をしたがらないので、実現困難です。
あと、「我が国は自国民が飢えていても必ず食料を輸出します」という約束を
貴方は、信じます?政府が信じて言いと思いますか?
第2次大戦中、日ソ中立条約を信じたアホな政府がありましたねえ。

 

 

 


おーい管理人  投稿者:あじあ号 投稿日:200788()215212

 

 

 

スルッとkantoさん、どうですか?納得できないですか?
私も、都市住民が現代の農業事情に疎い(なのに知っていると思いこんでいる人が
相当の知識人にも多い)ことで色々参っているので、どうかなあと思います。
もっと細かい話もしようかと思いましたが、農業掲示板になるので止めます。

 

 

 

備蓄  投稿者:少子化対策 投稿日:200788()225019

 

 

 

>「我が国は自国民が飢えていても必ず食料を輸出します」という約束を
貴方は、信じます?

約束が出来ないなら日本が高関税で農産物を守る言い訳になりますね。

世界的な飢饉が起きれば別ですけど、北米、南米、豪、仏と供給国は
各地に分散されてます。
安全保障を考えるなら二年分くらい穀物を備蓄すればいいと思いますけど。

 

管理人は超多忙なんですが  投稿者: スルッとKANTO  投稿日:200789()000725

 

 

 

農業については、法人による農業経営を認めたり、
農地の賃貸借(つまり、小作農復活)を認めたり、という規制緩和は
してもいいんじゃないか、と思う。

大規模化が目的、というよりは、効率化のため。

今では農民自ら、税金の申告とか資材発注とか庶務的な業務とか、
手がけている訳で。

これが法人化して分業化すれば、農業会社の総務部や経理部が
そこんところを代行してくれるので、効率化できる。

本来JAがその辺やってるのかもしれないが、法人組織化すればもっと効率化できる。

あと法人化すれば「社員募集」をする訳でして、後継者を見つけやすい。
今の個人農夫だと、なんとなく「世襲」が前提となってしまうので、
非農家の若者からの就農が、期待できない。

 

 

 


レス 投稿者:あじあ号 投稿日:2007810()225140

 

 

 

>農業については、法人による農業経営を認めたり、
かなり認めているんですけどねえ。株式会社も農地を借りて農業出来ますし。
>農地の賃貸借(つまり、小作農復活)を認めたり、という規制緩和は
>してもいいんじゃないか、と思う。
30年前から認めていて、どんどん緩和して、推進してきたいるのだけど。

うーん。農水省のぎょうPRは全然ダメだなあ。

 

 

 


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください