★意味ない行政ガイドライン 「温泉法 温泉掘削ガイドライン」。
温泉法では、都道府県知事の判断により、
「他の温泉に影響を与えると判断される場合」に、新規掘削の不許可が
できる、と定めている。
このため、群馬県などの自治体では、一律に
「源泉からXメートル以内では、源泉側の同意がないと新規掘削を認めない」
との県ガイドラインを策定して、新規掘削を不許可としてきた。
しかし、「実際に影響があるかどうか、の個別判断を行なうことなく、
一律に距離規制を課すのは不合理」として、群馬県水上町で
新規掘削不許可決定を不服とした行政訴訟が起き、群馬県は1審2審いずれも
敗訴してしまった。
http://onsen.xii.jp/article/1480806.html
同様の訴訟が石川県でも発生して、これまた1審で行政が敗訴している。
・・・で、所管する国(環境省)が、これを受けて
「県知事は判断基準として、距離規制の概念を導入しうる」とする
「温泉法の国レベルのガイドライン」を作成した。
http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2009/02/07/4106333
しかし、小生の感想は「無意味なことをしているなあ」
というのは、環境省がやったことは、温泉法の改訂でもなく、
政令や省令の改訂でもなく「ガイドライン」の改訂でしかない。
つまり、今まで県が自主ルールでガイドラインを策定していたのを、
「もう少し偉い存在、と思われている」国がガイドラインを作ったから、
「新規参入業者よ、県のガイドラインは守れなくても、国のガイドラインは
当然守るでしょ?」と思わせる、ということ。
しかし「所詮はガイドライン」である。
「既存源泉への影響を立証することがなく、距離により一律に規制を課すのは
過剰規制」という問題は、そのまま残る。
つまり、仮に「国のガイドライン」が公布された後でも、新規掘削業者から
「国のガイドラインに基づく不許可決定は不当」とした行政訴訟を起こされたら、
結局は行政が敗訴することは「目に見えている」。
なんでこんな意味のないことを、環境省は行なうのか?
「国のガイドライン」なら、行政訴訟で楯突く新規掘削業者が減るとでも思ったのか?
因みに、このガイドラインは、地熱発電関係者には極めて不評であることも付記しておく。
「地熱発電普及の足を引っ張っている」
「自然公園法よりも悪法」(法律じゃないから、悪ガイドライン)と酷評されている。 |