先週、地熱発電の特集をしていた。
NHKのまとめ方は「初期費用がかかるのが、日本で普及がすすまない最大理由」
というまとめ方をしていた。
間違いではないが、短絡的なまとめ方である。
番組では「アメリカでは費用の3分の1がキャッシュバックされる制度があり、
それで相当費用負担が軽減されている」と取り上げていたが、
日本でもNEDO補助金は5分の1出るはずだし、この補助率は引き上げよう、と
いう動きが出ている。
送電線建設コストも問題点として指摘していたが、バイナリー型の場合は
送電線へも補助が出る、と聞いたことがある。
私見だが、番組の最後で申し訳程度に言っていた
「温泉業者の反対と環境省の自然公園内開発規制」の方が、コスト要因より
はるかに阻害要因になっているはずだ。
長崎県小浜の地熱計画は、NEDO調査では有望であったにもかかわらず、
温泉業者の反対で頓挫している。
つまり、採算性とは関係ない世界で、普及がストップしているのである。
送電線建設コストは、1万Kw級であっても10万Kw級であっても、さほど変わらないはずだから、
極力高出力を目指す方が効率は上がる(コストダウンになる)のは判りきっている理屈である。
しかし、熱水貯留層が「国立公園の方にもまたがって分布」していることが多いため、
「国立公園地下の熱水も含めて採取すれば10万Kwになる」のに、
「国立公園地下は触らないようにして、出力を3万Kw程度に留める」という開発の仕方を
しているケースが結構多い。
九州の八丁原は日本唯一の10万KW級だが、あれは当時の通産省と環境庁の「申し合わせ」
(自然公園内の地熱発電所建設凍結)の前に立地していた、という「既得権」に基づいて
高出力を保っているのである。
逆に言えば、環境省が自然公園地下の開発(地上は一切いじる必要はない、ナナメに井戸を掘ればいい)
を認めれば、一気に既存発電所を八丁原クラスにまで拡張でき、採算性が向上するのである。
そこまで取材し切れていないNHKクローズアップ現代は、小生に言わせれば「まだまだ」と言ったところだ。 |