地中熱空調を研究しているのだが、
既設の空調システムにつないだときのメリットが、「冷房側」でなかなか出てこない。
大規模施設などの空調の場合、屋上にある冷却塔で以って、冷媒水を気化蒸発させて、
気化熱で以って冷却をしている。
この冷媒水を、地中熱からやってきた冷媒との熱交換で以って冷却するような
システムに変えようとしても、実はあまり電気代の削減には繋がらない。
裏を返して言えば、冷却塔での気化熱方式は、相当COP(投入電気に対して
得られる熱エネルギーの比率)が高いのか?
一方、「暖房」側は、これは単純に重油やガスの削減に直結し、
高いコストパフォーマンスが得られる。
どうも研究する限り、地中熱システムは、
「既存システムと比較して、暖房時には高いパフォーマンスが期待できるが、
冷房時にはあまりパフォーマンスが見込めない」ということなんだろうか?
もともと地中熱に対して「都市のヒートアイランドを緩和する有効な手段」という
イメージを抱いていたので「冷房側で高いパフォーマンスを発揮するはず」と考えていたのだが、
この結果はいささか意外であった。
だから、地中熱は東北以北(特に北海道)で普及が進み、一方東京以南では
普及が見られないのか・・・
※北海道などの場合、空気式ヒートポンプが使用できない、という事情も
あるようですが。
山口の会社が、一般家庭向け地中熱システムを販売しているが、
一般家庭の場合、冷房は冷却塔方式じゃなく、コンプレッサー方式だから、
地中熱導入メリットが大きくなるのか・・・よく分からん。
ヒートアイランド防止で地中熱を東京以南の大規模施設で導入普及させたいのなら、
「冷房側でいかにメリットを生み出させるか?」を研究した方がいいと思うのだが、
そもそも地中熱研究者が北海道に偏在しているからなあ・・・
東京のオフィスビルなど、下手すれば通年で冷房使用している。(つまり、冬でも冷房) |