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エネルギーブレーク 7遮熱塗料の方が屋上緑化より優れている?

(なんでも掲示板 09年08月 投稿済)

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屋上緑化より遮熱塗料の方がエコノミー&エコロジーでは?

 投稿者:スルッとKANTO  投稿日:2009819()212433

 

昨日の日経地方版で、
「都心各区が遮熱塗料への補助制度を実施している」との記事がありました。
以前から遮熱塗料について気になっていたので、その経済効果を少し調べてみました。

遮熱塗料「シスタコート」について、
http://www.eco-rt.jp/tosou/3-kouka.htm
において、23,000㎡の屋根に遮熱塗料を塗布した場合の経済効果が出ています。

これによれば、
イニシャルコスト=115,000千円、
ランニング電気代節約効果=27,000千円/年(CO2考慮外)
です。
投資回収=4.3年。
以上は補助金なしの計算ですが、補助金が入ればもっと有利になります。

一方、屋上緑化の場合、
http://green-fellow.jp/eco_solutions/okujyou/okujyoukeizai.htm
の「500㎡に屋上緑化を行った場合」の試算では、
ランニング節約効果=夏季243千円+冬季218.7千円=461.7千円/年
23,000
㎡に直すと21,238.2千円/年となり、
「遮熱塗料よりランニングメリットは低い」となります。

一方、イニシャルコスト=最安のセダムで15千円/㎡なので、
15千円/㎡×23,000㎡=345,000千円なので、
「遮熱塗料の3倍のコストがかかる」ことになります。
因みに投資回収=16.2年。

純経済的には、遮熱塗料事業の方が、屋上緑化より有効になります。
(電気代節約効果がある=CO2削減効果がある=CO2削減メリットも享受できる)

また、遮熱塗料の方が、天井耐荷重を気にしなくても良い、というメリットがあります。
屋上緑化については「建物の寿命を延ばす効果がある」とされていますが、
これは遮熱塗料についてもいえることです。

屋上緑化が遮熱塗料より優れていると思われる点は

・生態系の維持
・景観創出(心理的効果)
・洪水時の保水機能
・話題性(=資産価値アップ)

などですが、残念ながら、これらは数値化できません。

純経済的には、そしてCO2的には、遮熱塗料の優位は否定できません。

 




遮熱塗料

 投稿者:まる  投稿日:2009819()233934

 

メーカー(特に中小、ベンチャー)のデータは、話半分に聞いておく方がよいことが
多いです。

とはいえ、遮熱塗料が夏の冷房代の削減に寄与することは、間違いないと思われます。
ただし、冬の暖房代は増えるのではないのでしょうか。プラスマイナスが計算しにくい
のですが、電気で暖房する場合は、夏の冷房より、冬の暖房の方が費用がかさむことが
多いので、トータルコストは慎重に計算する必要があると思われます。

 




というか

 投稿者:まる  投稿日:2009819()234230

 

温度に応じて、高温時に遮熱、低温時に熱を透過するという
インテリジェントな遮熱塗料を研究テーマにしていたこともあるのですが、
67℃がその転移点だったので、非実用的なのと、重金属を含んでしまう
などの諸問題がありまして、実用化には至っていません。

 




遮熱塗料その後

 投稿者:スルッとKANTO 投稿日:20091116()200025

 

 

 

以前話題にした遮熱塗料について、某大手にヒアリングしたところ、
「断熱材を使用しない工場では経済的メリット(=空調代削減)があるが、
 それなりに断熱材を使っているビルマンション戸建では、
 大した経済的メリットは得られない。」ということです。

つまり、屋上直下の躯体温度を10〜20℃下げることはできますが、
最上階室内温度は数℃しか下げることはできない。

ただ、断熱材やRCの躯体でシャットされた(=蓄熱された)熱は、
夜間になると放熱されることになり、これがヒートアイランドの原因になる。
遮熱塗料をビル等に塗布すれば、ヒートアイランド現象の緩和には寄与する
ことになるのですが、これは建物入居者には経済的には何の寄与もしない。

つまり、遮熱塗料を塗布することで外部非経済を緩和することはできるが、
それをビル住人の経済的インセンティブにすることができない。

なので、ヒートアイランド緩和のためには、政府・自治体が遮熱塗料塗布費用
(材も工も)100%負担する、というスキームにしないと、なかなか解決はしない。

ただ、実は遮熱塗料の最多出荷先は個人戸建向けらしい。
経済的には、断熱材があってかつ黒系屋根が多い戸建に塗布しても
大した経済的メリットは生じないのであるが、
「経済的メリットは度外視しても、環境に寄与したい」という個人が多い、ということか。

 


遮熱塗料概論 1

 投稿者:まる 投稿日:20091116()220116

 

 

 

太陽からの日射(可視光から近赤外線、遠赤外線を含む)は屋根やら、壁やら、ガラスやら
塗料に入射した場合、①透過する、②物質に吸収されて熱に変わる、③反射するの3つのうち
どれかの運命をたどります。

遮熱塗料とそれを塗る物体を想定する場合、①透過はまずないので、②吸収か、③反射の
いずれかになります。

物体が熱くなるのは、入射する光のうち②吸収の割合が高く、③反射の割合が小さいためです。

だから、高い遮熱効果を出すには、太陽から入射する光の波長領域においてできるだけ
反射率が高ければよいわけです。

あらゆる建材の反射率を概算した数値として「アルベド」があります。

アルベド(日射反射率)
 アスファルト 0.1
 新しいコンクリート 0.55 (古くなると0.3
 砂漠の砂 0.4

遮熱塗料によっては、新しいコンクリートのアルベドよりも低いものがあり、
その場合は遮熱塗料を塗ると逆効果になると思われます。

アルベドは反射率なので、一般に白っぽい方が高く、黒っぽい方が低いです。
私が疑問なのは黒系、灰色系の濃い色のついた遮熱塗料まで販売されていることです。

実際、銘柄をふせた試験を実施したとある論文では、遮熱塗料を塗った方が、
コンクリート打ちっぱなしよりも効果が低くなっていました。

で、いいたいことは何かというと、遮熱塗料を何に塗るかが問題で、
白っぽい素地に濃い色の遮熱塗料を塗ると、まったく意味がなく逆効果になることが
多い。

 


遮熱塗料概論 その2

 投稿者:まる 投稿日:20091116()22191

 

 

 

>>ただ、断熱材やRCの躯体でシャットされた(=蓄熱された)熱は、
>>
夜間になると放熱されることになり、これがヒートアイランドの原因になる。
>>
遮熱塗料をビル等に塗布すれば、ヒートアイランド現象の緩和には寄与する。

遮熱塗料が、「ヒートアイランド現象の緩和に寄与する」というのは、間違いです。
遮熱塗料メーカーの宣伝文句に過ぎません。何の理論的根拠も、データもありません。

先に述べたように、遮熱塗料は、日射を吸収させず、反射させる作用をもつものです。
いわゆるエネルギー保存の法則ですが、反射した日光のエネルギーは周辺の大気に
吸収されることになるので、ヒートアイランド現象を起こします。

温まった物体が冷めるときに放射するのは、普通の反射と違って、赤外線なので
宇宙空間にまで放射できる可能性がありますので、むしろ昼間温まった物体が
夜間に放射する方が、ヒートアイランド現象に関与する可能性は小さくなるのでは
と思います。

 


Re: 遮熱塗料概論 その2

 投稿者: くろだ  投稿日:20091117()190325

 

 

 

>先に述べたように、遮熱塗料は、日射を吸収させず、反射させる作用をもつものです。
>
いわゆるエネルギー保存の法則ですが、反射した日光のエネルギーは周辺の大気に
>
吸収されることになるので、ヒートアイランド現象を起こします。
>
>
温まった物体が冷めるときに放射するのは、普通の反射と違って、赤外線なので
>
宇宙空間にまで放射できる可能性がありますので、むしろ昼間温まった物体が
>
夜間に放射する方が、ヒートアイランド現象に関与する可能性は小さくなるのでは
>
と思います。

ちょっと変な気がします。

地上まで届く日射は大気に吸収されずに地上まで届いたのですから、
同じ波長で反射すれば大気に吸収されずに宇宙まで届くはずです。

一方、日射で温まったことによる赤外線の放射は波長が違いますから
大気に吸収される可能性があります。

CO2
等による温室効果はこの差によるものと記憶しています。

 


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