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ルーマニア編
(ギュルギュウ〜オラデア)
 


7月18日 絵画のような街(ギュルギュウ〜ブカレスト〜ブラショフ)

ブカレストは都会だった。列車は少し遅れて櫛形の終着駅へと滑り込んだ。駅はソフィヤと比べると圧倒的に賑やかで、駅構内には大きなマクドナルドさえあった。駅に降りるとさっそく闇両替屋がやってくる。「両替所はクローズだ」と言ってくるのだがやっぱり嘘だ。

今日の目的地はブカレストではなくこの先のブラショフなので、さっそくチケット売場でブラショフ行きのチケットを買う。というのも西からやってくる白人ツーリストからさんざん「ブカレストは危ない」と聞かされていたのと、大した見所も無さそうだったからだ。そんなわけで、ちらりと駅前通りを見てから列車に乗り込んだ。

ブラショフはルーマニア第二の都市らしいのだが、駅が近づいても周りは見渡す限りの小麦畑だった。やがて列車がスピードがかなり落ちた頃、街らしい街が現れた。ブルガリアにしてもそうなのだが、やはりこの辺の国の人口というのはアジアと比べると格段に少ないのだろう。

列車から降りた3秒後にもう民宿の客引きから声がかかった。早口で次から次へとまくし立ててくる。そう、彼女が噂に聞くマリアだ。なんと最近は片言の日本語まで操るようでなかなか商売熱心だ。

圧倒されるまま連れて行かれたアパートはなかなか清潔で快適そうだった。何よりもキッチンがあるので日本から送られてきたみそ汁や紅茶を入れたり出来るのがうれしい。

軽くシャワーを浴びると寝不足も物ともせずに市内へと飛び出した。ブラショフの旧市街は今まで見たどの街よりも中世の趣がある。とはいってもまだここはヨーロッパの玄関口なので当然のことなのだが、とりわけ中央広場周辺は古い教会や街並みがそのまま残っていて、まるでジグソーパズルの中にでもいるようだった。

ヨーロッパで思い出したのだが、車の運転マナーが格段に良くなっている。トルコはまだアジアで結構交通マナーが悪い。時々狭い道で歩行者が端に寄らないと、クラクションをならしながら威嚇的にわざとスピードをあげて突っ込んで来たりする奴らがいるのだが、ブルガリア以降は逆に道路を横断しようとしただけで、車が止まって道を譲ってという事がごく普通にある。

あとブルガリアと比較すると、ラテンのルーマニア人はかなり陽気に見える。そして言語がラテンに近いせいか、英語もブルガリアに比べるとかなり通じる。街の若者は結構英語をしゃべるし、店屋のおばさんやウェイターも英語の数字とか簡単な単語ぐらいならまず問題なく通じる。旧市街にあるショッピングセンターもブルガリアと比べるとかなり品数も多くて近代的だ。

そんな一方でルーマニアの物価は結構安い。熱帯魚が泳いでいるようなイタリアレストランで、パスタとビールを一本飲んでも200円ほどだ。驚くのはトルコで450円ぐらいしたビッグマックセットが何と180円で食べられてしまう。今までいろいろな国のマクドナルドへ行ったがこれは新記録だ。

街並みをながめつつ、黒の教会、白の教会といった見所もいろいろと回ってみた。黒の教会はとりわけ大きくて、中には巨大なパイプオルガンが据え付けられている。そして夕方からコンサートがあってので聞きに行ってみた。教会の中で流れるパイプオルガンの音がなかなかいい雰囲気を出していた。ただ演奏レベルの方はお世辞にも「すばらしい」と呼べる物では無かったが、たったの60円ほどでパイプオルガンのコンサートが聞ける何てなかなか良い国だと思う。

ともかくルーマニアはブルガリアよりも少し旅がしやすそうでホッとしている。
 

 
シギショアラの中央広場
奥に見えるのが黒の教会
 


7月19日 ドラキュラ城(ブラショフ)

昨夜から降り始めた雨は期待も空しく降り続いていた。とはいうもののそんな大雨でもなくしばらくすると小降りになってきたので出かけることにした。行き先はもちろんブラショフ最大の名所「ブラン城」別名ドラキュラ城だ。このブラン城はワラキア公の居城で、3代目ヴラドが敵兵を処刑するのに串刺しにしたりしたので、それが小説「吸血鬼ドラキュラ」のヒントになったらしい。

ブラン城はブラショフから20キロほどでバスも頻繁に出ているのだが、丁度運悪くターミナルに着いた時に入れ違いに出発したらしく1時間ほどアウトガラで待つことになった。

しばらくして地元のお姉さんが「バスが来たわよ」と教えてくれ、早速乗り込んだ。片道たったの1万レバ(50円)だ。そういえば昨日マリアが「バスで行くと全部で$3かかるけど、私が$5で車を手配してあげる」とか調子の良いことを言っていた。悪い人ではないのだが、あまり彼女の誘いに乗るのは止めようと思った。
ブラショフからしばらく畑の中を延々と走っていく。時々教会を中心とした赤い屋根の小さな集落がぽつぽつと見える。最初はえらく感動したのだが、ブルガリア以来小さな集落はどこもこのような感じで、そしてこれから先の東ヨーロッパも同じ様な感じらしい。50分ほどかかってたどり着いたやや大きめの集落がブランの街だった。

バスを降りると目の前の高台の上に小さなお城が見える。城は山の先っぽにそびえるようにして建っていて、さぞかし満月で雲が少しかかったような夜には怪しげに見える事だろう。入り口でチケットを買って中に入ったのだが、自分の前にどうみても40才ぐらいのユダヤ帽をかぶったおじさん二人が「学生2枚だ」とか言ってなにやら料金でもめていた。やれやれ。

入り口の近くは一応博物館になっていて、トランシルバニア地方の昔の家が時代別に建ててある。ただ家が建ってるだけで展示は無いに等しく単独では訪れる人はたぶんいないだろう。丘を登っていよいよブラン城だ。外から見た感じは何と言うことは無かったのだが、内部は寝室や家具、そして巨大な熊の開き(カーペット)置いてあっていい雰囲気だ。お城を想像してくる人にはがっかりかもしれないが、ワラキア公の住居として考えると充分満足できる。

しばらく城のあちこちを見ていたのだが、天気はあいにく朝から降ったり止んだりで、雨足も強くなってきたのでブランの街を後にすることにした。

ブラショフに戻ると昨日行けなかった展望台のある山頂まえロープウェイで登ってみた。上から見るブラショフの街はさぞかしいい感じだろうと思っていたのだが、何と山からは木が邪魔でほとんど街が見えなかった。唯一見えるのがロープウェイを降りたホームなのだが、ここは通常立ち入る事は出来ないので全く下を見る事が出来ない。ほんとに展望台ぐらい整備して欲しいものだ。

少しガッカリしたものの、ロープウェイの上り下りの間に見おろす街並みはなかなかの物だった。
 

 
ブラン城の中庭から
 


7月20日 雨のトランシルバニア(ブラショフ〜シギショアラ)

ブラショフは小さいなりにも都会で、街並みは中世っぽくてなかなかいい感じなのだが、トランシルバニアの森というには少しイメージが違う。そんなわけで目指す先は人口3万人の小さな街シギショアラ。

マリアはビジネスなので「日帰りで行く方が便利だ」とか言っていたが、情報ノートではみんながみんな「泊まるべし」と書いてあったので期待も高まる。うだうだしているうちに結構時間が経ってしまったので結局10時半の列車に間に合わなくて1時間ほど待つことになった。

列車はブラショフを離れると本当にもう何もない畑の中を延々と走り続ける。畑の中に時々小さな集落が見えるが、どの集落も高い塔のある教会を中心として広がっていた。

シギショアラはこれまた小さな街で、駅前はもう閑散としていて古い家が建ち並んでいるだけだった。少し離れた地区にアパートの立ち並ぶ住宅地があるのだが、基本的にブラショフの街には新市街というのが存在しないようだ。

ホームに降りるとさっそく二人の客引きにつかまった。一人はおじさん。もう一人は高校生で、マリアの息がかかっているらしく、ちゃんと連絡をもらっていたらしい。どっちも条件は同じようでなかなか決めることが出来なかったのだが、何となく少年の方に着いていく事にした。

案内された家は本当に旧市街の時計台の目と鼻の先にある古い住宅だった。一応中は綺麗にしてあってソファーやテーブルもある広い部屋だった。これで一泊$5はなかなかお得だ。とりあえず極度におなかが空いていたのでさっそく街にでて食事にした。

しかしあいにく天気が悪く、街を歩いているうちに雨が降り出した。最初は小降りだったのだが、次第に大降りになってきて、閑古鳥の鳴いているほとんど廃墟と化した小さなデパートで雨宿りをした。

結局中心の広場を歩き回るぐらいで一日が終わってしまった。
 

 
シギショアラのシンボルの時計塔
 


7月21日 丘から見下ろすと(シギショアラ)

朝起きると雨は上がっていた。この分なら観光出来そうなので、もう一泊する事にした。少し肌寒いので長袖を着てでかける。

昨日はいまいち家と街の位置関係がつかめなかったのだが、昨日あれほど大回りしていった街の広場は家の丁度裏側だったらしく、家の前の坂道を昨日と違って登っていくと、すぐに街のシンボルの時計台にたどり着いた。ここからは街が一望とは行かないが、高台になっていていい感じで見渡せる。

ドラキュラのモデルのワラキア公ドラクルの家とか観光名所はこの丘の上に集中している。丘の上は小さな小道がたくさんあって迷路の様になっているのだが、歩いて回っても20分ほどで全部の道を歩いて回れるほど小さな所だ。

時計台の下をくぐって街へおりる道はなかなか趣があった。石畳の道の端には木の屋根があって雨がしのげるようになっている。まるでおもちゃの様な街だ。

あと特徴的なのは屋根をおおっているオレンジ色のれんがが、この辺りではうろこのように丸くなっているのだ。まるで街全体が神戸異人館通りといった感じだろうか?ブラショフよりも家並みも古くてずっと味がある。

旧市街をうろついた後はまちの反対側にある丘に登ってみた。途中までは家並みの間の階段を上っていく。途中で黒ずくめの服の家族に会った。どうやら葬式帰りなのだが表情はおだやかで暗さはまったくなかった。きっとお年寄りが寿命を全うして亡くなったのだろう。

家並みを抜けると今度は畑が現れた。急な砂利道をどんどん登っていくと草の生えた丘が見えてきた。結構急なのだが丘をどんどん登っていくと目の前にシギショアラの旧市街が広がった。それは森の中にひっそりたたずんでいるようだった。

しばらくすると太陽も出てきて少し暑いぐらいだった。しばし丘の上でぼーっとして、何度目かの鐘の音を聞いてから町へ降りることにした。夕方に少しだけ雨が降ったのだがしばらくすると日が射してきて東の空には虹の橋が架かっていた。
 

 
時計塔へと続く坂道
 


7月22日 トランシルバニアは今日も雨(シギショアラ〜クルージナポカ〜オラデア)
 
出発する日になって天気が良くなってきた。少し悔しい着もするが、まあ昨日もそこそこ晴れたので良いことにしる。何よりも天気のせいで滞在を一日延ばしたので町の細かいところまで見えてよかった。

荷物をパッキングして、まだ列車の時間までしばらくあったので最後に町をふらついてみることにした。これがなかなか大当たりで、何だか飾り付けをした車が多いなあと思っていたら、結婚式の行列に出くわした。

新郎新婦の後に友達や親族が、そして一番後ろには太鼓とサックスを持った人が4人ほど。陽気な音楽に合わせて歩いていく。町の人達も当然顔なじみなのでみんなから祝福を受けている。最近身の回りで結婚とかが多いのだが、やはりこういうお祝い事は見ているこっちまでうれしくなってしまう。

昼過ぎに町を後にした。列車は相変わらずトランシルバニアの田園風景を走っていく。そんな風景にも少し飽きてきてそのうちうつらうつら眠ってしまった。寝たり起きたりを繰り返しているうちに、今日の目的地クルージナポカへと到着した。

ここへ来た理由は特にないのだが、ハンガリーに向かうのに丁度いい中継点なのと、近くにハンガリー人だけの小さな村があるという事なのだが、天気はあいにく悪くそしてバス停へ行っても次のハンガリー行きのバスは明後日まで無いらしいと言う事だった。

さすがにここに2泊はきついので色々考えた末、夜中の1時20分の列車でハンガリーのブダペストへと向かう事にした。まだまだ7時間ぐらいあるのでやって来たトラムに適当に乗ると町の中心らしいところにたどり着いた。

地図も何も無いのだが遠くに教会が見えるのでそっち歩いていくと、なかなか古くて歴史のある街並みだった。さっそく教会の中に入って見るとここでも結婚式だった。これがルーマニア聖教方式なのかどうかは分からなかったが、司祭が火のついた炭火のような物を振り回して火の粉を飛ばしながら何やらぶつぶつ言っていた。バックには男声4重奏がついていて、リズムの無いゆっくりとした賛美歌を歌っていた。

そして式は終わったのだがそれでもまだ8時前なので、仕方なくこんな所にもあるマクドナルドへ入ってお茶を飲みながら本でも読んで時間をつぶすことにした。そして11時ぐらいに駅に戻ると待合室は結構な人だった。これだけ人がいれば駅で一泊というのも安全そうなのだが、やはり今夜の列車で行くことにした。

ルーマニアというのは1時間前からしか切符を買えないらしく、1時間丁度前に窓口に行くのだが、そのおばさんが全く使えず、結局国際列車の切符を発券するのに30分以上かかってしまった。しかも列車番号を間違って書いたらしく、後で追いかけてきて書き直された。(その間窓口は閉鎖)

やって来た列車はこれまでと違って2等座席がほとんどのローカル国際列車だった。最初はこれだけの人数が2等に乗ると混むだろうなとかおもっていたのだが、実際はコンパートメントは4人で、残りの3人もオラデアまでに全員降りていっていつものように長椅子を寝台にして眠ることが出来た。

国境審査はもう手慣れた物で、ああやって来たなという感じだったのだが、ハンガリー側の審査が終わってパスポートを見ると何と!どこにも入国スタンプが無い。押し忘れたのか?と思って慌てて追いかけていくとあっさりと「日本人は要らないんだよ」と言われた。でも「スタンプ欲しいのか?」と言われたので「うん」と答えるとガシャッと押してくれた。もうここは西側諸国なのかも知れない。

国境駅を出発するとまもなく陽が昇ってきた。ついにハンガリーだ。
 

 
結婚式の行列
 


 

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