このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 
スイス・アルプス編
(バーゼル〜ティラノ)
 
 


9月5日 湖畔(バーゼル〜クール〜サンモリッツ)

朝起きておどろいた!やられた!! 僕をのせた貧乏人座席車両だけが切り離されてバーゼルの駅にぽつんと取り残されていた。朝5時過ぎの事だった。

どうやら途中のストラスブールでパリからの列車を連結するはずなので、きっとバーゼルで乗り換え出来ると思っていたのだが、どうやらもっと手前で切り離されて貧乏列車だけが別のホームに引っ張ってこられたらしい。

仕方ないので別の列車でチューリッヒ方面を目指すのだが、案内モニターに表示されたホームへ行こうとしたら、何と途中に税関があった。ここはスイス領内なのだが便宜上フランス側ホームというのがあって、そこに到着した乗客は駅の税関を通ることになっているらしい。

無事スイスに入国して列車に乗り込んだのだが、これ又作りが最悪だった。椅子が直角なのは仕方がないのだが、余分なヘッドレストが付いていて頭が前屈みになってしまう。そして横にもたれようとしてもヘッドレストが邪魔でさらに変な角度が付いているので横にもたれると頭が前に傾いてしまうのだ。これを設計した人は、一度でも自分で座ってみたのだろうか?まったく。

しかしそんな最悪な椅子も物ともせずうとうと、そして気が付けばチューリッヒでたくさんの人が降りていって、僕はまたガラガラの列車でクールまで揺られることになった。

クールに付いたときにはあいにくの空模様で雨がバラバラと降り出した。とりあえずユースの受付が開いているうちに電話をかけないと、と思ってさっそく電話機をさがす。ここはちゃんとクレジットカードで電話出来るし、駅にもATMがある。人もフレンドリーだし、あのベルギーから来ると全く天国だ。

受付のおねーさんは、まるで留守電のテープのような綺麗な英語を話したので、本当に留守電かと思ってもう一度聞き直してしまった。どうやら今の季節はそれほどでもなく、ベッドは余裕で空いてるらしい。「夕方4時以降に来てね」とあっさり宿の確保ができた。

そこから狭軌の鉄道に乗り換える。一瞬鉄道会社が変わったのでパスが使えなかったらどうしよう?と思ったのだが、どうやらその会社もインターレールでOKなようだ。出発してしばらくするとこれまでと打って変わって「アルプス」という感じになってきた。

あちこちに羊が放牧してあったり、木で作った家や両手鎌で草を刈るおじーさん。そして列車は険しい山を物ともせずループを繰り返してどんどんと登っていく。そして2時間ほどで湖の畔、サンモリッツへと到着した。

こういう自然系はニュージーランドを隅々まで見ている自分としてはわりと普通の風景なのだが、それでも久しぶりの雪山や緑は美しかった。なによりもこの湖がとても透明で鴨なんかが泳いでいていい感じだった。そして僕はYHに荷物を置いて湖を一周することにした。

湖は見かけよりもずっと大きくて、ゆっくり歩いていると2時間以上かかってしまって、結局YHに戻ってきた頃にはチェックイン出来る時間になっていた。早速レセプションにいくと、フィンランド以来の超フレンドリーな受付のおねーさんがいて、チェックインしながらいろいろ無駄話とかこの辺りの事を教えてもらったりした。

部屋におちつくとさっそくシャワー。そして窓からの風景を楽しみながらたまっていた日記を書いたりしてゆっくりした。このYHは日本円で2000円ぐらいと少し高いのだが、何と朝食はおろか夕食まで付いていてこの値段はスイスでは上出来だ。

夕食を食べてから談話室の様なところに行くと日本人の女の子が二人いて、少ししゃべっていると更にスイス人二人と日本人の男女一人づつがやってきて、みんなでコーヒーを飲みに行くことになった。しかしこのコーヒーというのがスイスコーヒーと言う奴で、かなり多量のブランデーが入っていた。夜はこの季節でも寒くてまったく体の芯まで暖まるという感じだった。しばらくすると受付のおねーさんもやって来て、おしゃべりは閉店まで続いた。

なんだか久しぶりにこういう刺すような寒さというのを感じた。
 

 
サンモリッツ湖
 


9月6日 世界の車窓から(サンモリッツ〜ティラノ〜トリノ)

昨日もみんなから言われたのだが、猛烈なスピードだ。もうだれも僕を止められない(笑)。正直なところもうヨーロッパを何処を見ても感動しなくなってきた。それが僕の足をますます加速させる。そして今日も一気にイタリアまで下ることにした。

ここからイタリアへはローカル線の列車が走っているのだが、ノルウェーで会った女の子によると、ここはかなりのお薦めらしい。ヨーロッパを回り尽くしている彼女が言うのだから結構期待が持てる。

早起きして朝食を食べて駅へ向かう。時間は調べなくても結構な本数が有るらしいので適当に行くことにした。そしてホームに着くとまもなく発車する列車があってうまく待たずに乗ることが出来た。列車は団体客も多いのだが、団体は団体専用の車両を連結しているのでほとんど影響は無い。

出発するといきなり山の中へと入っていく。ループしながらどんどん登っていって、しばらくすると雪を頂いた大きな山が視界に入ってくる。その間も標高は上がる一方で、僕はディアボレッツァというロープウェイの接続駅で列車を降りて上の方まで登ってみる事にした。

ロープウェイは見事に1500円以上してしまったのだが、その景色はそれだけの価値は充分あった。ロープウェイで上までのぼると目の前にピッツベルニナが見える。そしてその他の峰々はもちろん眼下には大きな氷河が広がっていてなかなかの眺めだ。ただ風がかなり冷たくて、手袋をしていないとすぐに手がかじかんで動かなくなってしまう。ノールカップ以来でネパール製の手袋を着けた。

ロープウェイの次はまたまたお薦めのアルプグリュムという駅で降りてみる事にした。ここは駅の下が崖になっていて、その向こうには大きな氷河が見える。氷河からは何本もの滝が落ちていて、下の方にはどこかで見たようなミルク色の湖が見える。他には何もないのだが次の列車までの1時間ぐらいずーっとみていても飽きない景色だ。

アルプグリュムから下は景色も単調で眠くなってきてうつらうつらする事もあった。この辺りから表示がイタリア語になってきて、建物の感じもがらっと変わってくる。そしていよいよ終点のティラノだ。

ティラノは当然イタリアなのだが、ここも便宜上スイス側ティラノ駅と言うのがあって、駅の出口が税関になっている。当然だがここもパスポートを見せるとあっさりと通り抜けることができた。

ティラノから列車を乗り継ぎミラノへ。途中モンツァとか結構聞き慣れた地名があった。そしてミラノで「これからどうしよう?」と思ってのだが、とりあえず夜行でローマと言うのがよさそうだ。しかしミラノからの列車でローマへ行く車両は寝台車だけで、座席車にのるとまたまた変なところへ連れて行かれてしまうらしい。そこで僕はもう少し先のトリノまでコマを進める事にした。

トリノに付いてすぐに時刻表をチェックするとこっちはばっちりローマ行きの座席車両がある。結局ミラノもトリノも駅前を少しうろついたぐらいで何も見ないままなのだが、まあ全ての道はローマへ続くとも言うしそれもいいだろう。

列車は空いているとも混んでいるとも言えないぐらいで、とりあえず僕は横になって眠れるだけのスペースを確保する事ができた。夜中ホモのイタリア人が乗り込んできて、アプローチしてくるのには参ったが、何とか追い払って座席車ではあるが寝床を確保してたっぷり睡眠をとることが出来た。
 

 
サンモリッツ〜ティラノの
ベルニナ線の車窓から
 


 

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