このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

(武舎煙火工業)

花火師武舎祥之さんに聞く


「花火に生きる」
花火は夏空を彩る火の芸術として、江戸時代から多くの人を楽しませてきました。 現在日本の花火芸術は世界一優秀とされています。  花火が最初に出現したのは12世紀の中国とみなされていますが、これは爆竹やねずみ 花火に近いものでした。球形でしかも多彩な花を咲かせる丸玉を完成させたのは日本です。  武舎煙火工業は、戸倉上山田温泉から東信一帯であげられる花火のほとんどを製造、大 会のプログラム作り、打ち上げも行っています。一夜のために1年をかける花火師はいつも 華やかな花火の裏にあって表に出ることはありません。 「主役はあくまで花火です」と、花火師・武舎さん。が、今年の夏は「打ち上げ現場は戦場 です。発射音が大きいからどなり合い。終わった後は満足感と安堵感でぼう然です。」 の言葉を胸に収めておきたいですね。  花火には打ち上げ花火と仕掛花火があります。打ち上げは昼物と夜物に分かれ、夜物は ポカ物(柳・しぐれ・小花など)、割物(菊・牡丹・残月入など)、立火(菊とら・輝光とら)、 昇り付(笛付など)等種類が豊富。色の変化も混えて全種類、火薬や作り方が違います。 毎年地道な開発が行われ、色にもその年の流行があります。思わず声があがる作品は、優れた 手工芸品ともいえるでしょう。 「今年は輝きの強い色を作りました。よーく見てください。」  薬剤を配合して作る星の製作日数は、小さい星一つに2〜3週間。大きなものは1〜2ヶ月。 玉皮張りは1〜3週間。それも晴天に限ります。  花火師には細心の注意力、厳しい根気、冷静さ、豪放さが要求されます。この積み重ねが 花火師の心意気を育てます。「大変ですが、やっぱりおもしろいですよ。」  事務所には無事故の表彰状と、諏訪湖、名古屋の煙火大会優勝のトロフィーがたくさん 並んでいました。
(週刊上田 1990.8.4 から)

トップへ戻る

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください