このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

国宝に落書きが・・・

国宝っていうのは字のごとく国の宝ですよね。

でも、その国宝に落書きがされているとしたら、どう思われますか?

じつはあるのです。 落書きのされた国宝が!

浄土宗の総本山、知恩院の三門がそうなのです。

知恩院 三門(ちおんいん さんもん)

京都市東山区林下町

浄土宗の開祖・法然上人の終焉の地に知恩院はあります。

徳川家康が、知恩院を母親の菩提寺と定め、大幅に寺域を拡張し、現在の規模に至っています。

それ故、徳川幕府との結びつきも強いのです。

知恩院 三門は、元和7(1621)年、徳川2代将軍・秀忠によって建立され、楼上に霊元天皇宸筆の
「華頂山」の額が揚げられています。

高さ約24メートル、横幅約50メートル、屋根瓦約7万枚を誇り、現存する木造の寺門では、
日本最大で、見る者を圧倒しています。

寺の「さんもん」は、普通「山門」といいますが、知恩院では「三門」といいます。

それは、この門を「空門」、「無相門」、「無作門」の三つの解脱門にたとえているからです。

解脱門というのは、心に迷いがありながらも涅槃に入るため解放されようとする者が通らなければ
ならない門で、これら三つの解脱門を知恩院では寺門として凝させたということなのです。

そのため、戸口が三つあり、柱間が五つの「五間三戸二階ニ重門、入母屋造本瓦葺」という
構造形式なのです。

知恩院 三門

う〜ん、大きすぎて収まりきらん・・・

三門の楼上へ上がるには恐ろしく急な階段を上るのです。

斜面も急なのですが、階段の段差が・・・

危険なため、先の人が上り終えるまで、次の人は下で待っているように係員に注意を受けます。

さて、楼上へ到着する頃には、すっかり息も切れていますが、楼上では麒麟・天人・楽器などが
極彩色で描かれた鏡天井、金襴巻の梁や柱に囲まれて、中央に大きな釈迦如来像、その両脇に
人の背丈ほどの大きさの十六羅漢像に圧倒されます。

この眺めは、天界浄土を現しているそうで、三門の外観を見る限りでは、楼上にこのような世界が
広がっているなどとは想像もつきません。

しかし、この天界浄土の世界にそれはあるのです。 何がって?

このページのタイトルにもなっている、落書きが・・・

極彩色に彩られた壁をよく見ると、何やら墨で書かれた文字が・・・

たくさんの人々が参拝した日付・住所・名前などを書き込んでいます!(江戸時代後期あたり
の書き込みが多かったかも)

この落書きは参拝記念か? ご利益がちゃんと受けられるように自宅の住所を書いたのか?
などと想像してしまいますが、これら落書きを含む三門全体が国宝なのです!
(もちろん、現在は落書きしちゃダメ!)

知恩院 三門の内部は通常非公開なのですが、春と秋に特別公開されることがあります。

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