このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

八坂神社や今宮神社など、疫病除けにご利益のある神社でお札などを受けると、
「蘇民将来子孫也」という文字が書かれていたりする。

蘇民将来さんの子孫ってどういうこと?って思ったことはありませんか。

「備後風土記」には次のような話が伝わっています。

武塔神(むとうのかみ・スサノヲノミコト)が南海路へ向かわれる旅の途中、
裕福な家庭を持つ巨旦将来(こたんしょうらい)に一夜の宿を乞われました、
巨旦将来は、にべもなく断ってしまいました。

一方、巨旦将来の兄にあたる蘇民将来は、貧しいながらも武塔神を暖かく迎え入れ
心を込めてもてなしました。

武塔神は大変喜ばれ、「疫禍あれば茅の輪を作り門に懸けよ」とおおせられました。

その後、疫病が盛んに流行ったので、蘇民将来は教えられたとおりに茅の輪を
揚げました。

すると、疫病は蘇民将来の家を避けて行き、一家は災厄から逃れることができました。

こうして、蘇民将来の一族は護られ、彼の子孫は後々まで大いに栄えたということです。

これにちなんで、「蘇民将来子孫也」の札をつけた茅輪や杉葉を門口に揚げておけば
疫厄除けとなり、一家は繁盛すると言われています。

また、八坂神社にも次のような伝説があります。

話の内容はほとんど同じですが、蘇民将来へのお礼としてスサノヲノミコトは
「蘇民将来の子孫として茅の輪を腰につけた人は代々、疫病を免れさせよう」と約束した
となっています。

ちなみに、巨旦将来の子孫は皆、絶えてしまったそうです。

蘇民将来は、八坂神社境内にある疫神社(えきじんじゃ)の祭神になっており、
蘇民将来の子孫としてのしるしが粽なのだそうです。

祇園祭のあいだ、八坂神社から授与される粽には、この伝説を伝える「蘇民将来子孫也」
と記された護符がついてきます。

また、祇園祭に奉仕する人々は、「蘇民将来子孫也」の護符をつけた小榊守を必ず
身に付けることになっています。

祇園祭のお神輿でも中御座・東御座・西御座の神輿の担ぎ手たちは皆、腰に
「蘇民将来子孫也」の小榊守をつけています。

さらに、氏子の家々では、「蘇民将来子孫也」の護符をつけた粽を1年間、門口に飾って
疫病除け、厄除けを願っています。

粽は、今は笹の葉で作られていますが、そもそもは「茅巻」の意味らしいですよ。

茅がやを巻いて輪にした「茅の輪」を腰につけた者が、スサノヲノミコトとの約束である
蘇民将来の子孫であるのです。

八坂神社境内にある疫神社
蘇民将来が祀られている

疫神社

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