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乗ろうよ!飯田線!

日本海呼称問題


1.日本海呼称問題について

1992年、第6回国際標準化会議において突然、
韓国代表団が「『日本海』という名称が一般的になったのは、 20世紀初頭の朝鮮半島における日本の拡張主義・植民地主義の結果である」と表明し、
日本海を「東海(トンへ)」へ名称を変更するべきだと主張しました。

また韓国側は「昔から北東海域(日本海部分)は『東海』と呼ばれていたが、
1928年の国際水路局のガイドライン(S-23)初版刊行時に韓国の承諾もなしで一方的に
日本海(Sea of Japan/Japan Sea)を登録した」
「日本人は軍国主義的であり、当該海域も自己の所有概念で『日本海』と呼んでいる」 「現在において、複数の国にまたがる海域で一沿岸国の国名の入った海はない」と主張し、
日本海の名称変更を要求しています。


2.再燃する日本海呼称問題

1992年の突然の韓国の要求は世界各国の理解を得られませんでしたが、
韓国では官民一体となって「『日本海』という世界的間違いを正そう」と
民間団体を組織し、世界の地図会社やマスコミなどに 『東海(East Sea)』と
表記するよう執拗な抗議活動を行いました。

また韓国政府は1995年まで「日本海」を使用し続けていましたが、1995 年改訂の
海図において初めて「東海(East Sea)」と表記します。

1998年、韓国は第15回国際水路会議(IHO)の場で「日本海」と「東海」を併記するよう要求しましが、
この無茶苦茶な要求に議長は取り合いませんでした。

このIHOの決定に韓国民は激しく反発し、
「この決定は民族差別だ」「韓国と日本の国益の差が民族差別を助長している」と表明し、
『朝鮮民族の栄光のためにも世界的に広まった日本海を東海にしなくてはならない。』(朝鮮日報)と
大々的に報道します。
これに韓国政府も動かされ、IHO理事を韓国に呼び説得裏工作を強めました。

2002年4月に行われた第16回国際水路会議において韓国側はまた日本海名称変更を要求します。
これに日本側は反論しましたが、8月、IHO理事は参加各国の「日本海部分は白紙にする」と通告します。
この決定に対して日本国内では「日本海、あくまで守り抜きたい」(産経新聞)など失望の声、
また韓国内では「東海単独表記へ一歩前進」(東亜日報)「半分成功、悪くない」(朝鮮日報)など
喜びに沸きました。

日本は日本の窓口である海上保安庁を通じて抗議し、IHO理事に撤回と理解を求めます。
また世界各国から疑問の声を多く寄せられ、9月19日にIHOは同案を撤回します。

IHOは技術的な集団であるため、非常に政治的な問題である日本海呼称問題に手を焼いています。


3.韓国の主張への疑問と「日本海」の正当性

私は日本海の呼称について研究をし、日本海は正当な呼称であるという結論に至りました。
ここではまず韓国は大きな歴史誤認を指摘しておきたいと思います。
「日本海」という名称は、元々、イタリア人宣教師・マテオリッチ(Matteo Ricci)が
1602年に表した「坤輿万国全図(World Atlas)」に初出したと言われ、
以降、17世紀から西洋の地図によく見られるようになります。

さらに18世紀になり時計クロノメータが発明され、島や大陸の正確な位置を測定して
地図を作成できるようになると、おぼろげだった日本近海の地形が地図学者や探検家などに
知られるようになり、大航海時代には多くの地図で「日本海(Sea of Japan/Japan Sea)」が
使われるようになり、国際的に広く定着しました。

韓国は「東海」は昔から使われていたが、日本の日露戦争(1904年)の勝利により
「東海」という名称は次第に消え、日韓併合(1910年)で決定的に「日本海」になった。と主張しています。
しかし、先のも書いた通り、「日本海」は1700年代にはほぼ100%で表記され
日韓併合が行われた1910年には「日本海」は国際名称として確立されていました。
日本政府は国際的に広く定着した「Sea of Japan」という名称を受け入れたに過ぎず、
韓国の「日本海は植民地支配主義の残滓」という主張は全くのデタラメである事は
火を見るよりも明らかです。

また韓国は「複数にまたがる海域で一沿岸国の国名の入った海はない」と主張していますが、
ノルウェー海、フィリピン海、インド洋など日本海以外にも約20を数え、韓国の主張には無理があります。


4.韓国の主張する「東海」への疑問

この韓国の主張する「東海」という名称は朝鮮半島から見て東の海、すなわち「東海」という
非常に独善的な考え方から命名された名称です。

証拠として韓国内では東シナ海を「南海」、黄海を「西海」と表記しています。
このような独善的な名称が国際名称として価値がないのは明らかであり、
また韓国は日本海だけ「東海」と改めるよう要求しているのは、ただ単に「日本憎し」という
感情論を主張しているに過ぎず、このような要求が仮に認められるような事があれば
世界の海洋名称に混乱をもたらす悪しき前例となってしまいます。

韓国は「『東海』は昔から使われてきた」と主張していますが、
未だかつて「東海」と表記された地図は1つも発見されていません。


5.わが国の基本的立場

日本政府は「日本海」は国際的に単一の名称として既に確立されており、
国際的に、また歴史的にも正当な名称である以上は変更には応じられないとしています。

また2000年に日本政府が世界60ヶ国の市販されている世界地図を確認した所、
実に97,2%の地図で日本海(Sea of Japan/Japan Sea)または現地読みで日本海と単独表記されており、
東海と表記された地図は0%でした。(日本海と東海が併記された地図は2,8%、いずれも日本海が主)
また追加調査で世界の教科書も97,2%で日本海が単独表記されており
世界で幅広く定着しており、呼称変更は地理学的混乱を招く可能性があるため
日本海をこれまで通り国際呼称とするよう求めています。

また韓国の執拗な抗議により一部の地図において「日本海/東海」と併記された事について
一国の主張によって歴然たる国際名称が変更されるようでは国際的混乱を招くだけでなく
後世に悪しき前例を残すことになってしまうため反対をしています。
政府は日本海の正当性を訴えたパンフレットを世界各国の地図会社やマスコミに配布し、
日本海単独表記へ理解と協力を求めていくとしています。


6.その後の経過

日本政府は韓国側と日本海呼称問題について話し合うため
水産行政の会議などに日本海呼称問題を取り上げるよう再三に渡り韓国政府に打診していますが
韓国政府は「日本側に代替案を示す意思がない」事を理由に拒否し続けています。
要するに韓国政府は「日本海」という正当の呼称を変える事を前提とした会議を要求しており
日本海が正しいと主張している日本政府としては到底受け入れられる内容ではなく
日韓会議自体、現在は中断しています。
日本政府は今後も粘り強く韓国側に会議開催を要請していくそうです。


7.もっと詳しく知りたい方へ

このページは簡潔に述べたもので、もっと詳しく知りたい方は下のHPをどうぞ


海上保安庁「日本海呼称問題」
日本・外務省「日本海呼称問題」
古地図から見た日本海論争についての考察
「日本海・東海関連記事」を日本語で読む

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