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名馬・あの瞬間平成４年「天皇賞（春）」 |
| 平成４年の春の「天皇賞」は、２頭のスーパーホースの初対決で、大いに 盛り上がりました。 メジロマックイーン vs トウカイテイオー。 古馬の長距離のチャンピオンのマックイーンに、無敗で「皐月賞」「ダービー」の ２冠を獲ったテイオー。レースの注目は、どの馬が勝つのかではなく、 この２頭のどちらが勝つのかにほぼ集中していました。 共にステップレースは圧勝。特にテイオーの方は「ダービー」のレース後に 骨折が判明して、半年以上のブランクがあったにも関わらず、 故障明けとなった前走の「産経大阪杯」 では、そんなのを全く感じさせない圧勝。未だ負け知らずが続いてるだけに、 どこまで連勝を伸ばせるのか？と余計注目を集めました。 レースの展開の予想としては、マックイーンと同馬主のメジロパーマーが ペースメーカーを務めてハイペースな展開。そして直線では早目にマックイーン が先頭に立ち、それをマークしていたテイオーが差せるのかどうか？ ほとんどそれだけが注目される中、私はこの３２００ｍという距離なら マックイーンの方が強いだろうという見解で、マックイーン有利と予想しました。 ３０００ｍ以上の重賞を３勝（うちＧ１を２勝）しているマックイーンに 対して、テイオーの方は２４００ｍまでしか経験がない。その辺がテイオーの 死角の１つで、それが出るんじゃないかって思ったからです。 ま、今から思うと、競馬を見始めて１年経つかどうかだった頃の予想なわけで、 かなり単純に考えてるのが凄いなぁと思いますが、専門家の意見もかなり そういうのが多かったので、マックイーン有利派から見ると、テイオーは 距離が持たないだろうと、テイオー有利派から見ると、マックイーンは強い んだけど、時々取りこぼすことがあるのに対し、テイオーは負けたことがない、 というのが、それぞれを支持する大きな理由だったんじゃないかって思います。 スポーツ紙だけでなく、一般紙にもこの２強の初対決の記事が載りまくった １週間が過ぎて、いよいよレース当日。単勝の人気の方は、テイオーが１番人気で、 マックイーンが２番人気。当然の如くこの２頭に人気が集中して、馬連の オッズが２倍を切るという状況。 そしていよいよスタート。・・・というとき、突然マックイーンの武豊騎手が 下馬するというハプニング。どうしたんだ？と思ったら、落鉄だそうで、 スタート地点で鉄を打ち直すということに。今から思うと、スタートする前で 良かったなと思いました。 そんなこともあって、定刻よりかなり遅れてのスタート。ゲートが開くと、 予定通りメジロパーマーが飛び出す展開。そしてマックイーンが先行馬を 見る形で中段に待機すると、テイオーはマックイーンを徹底的にマーク。 さらに、伏兵と見られていたカミノクレッセ、イブキマイカグラがテイオーを マークする展開に。 レースが動いたのは２週目の３コーナー過ぎ。何と、３コーナーの山越え の上り坂のうちにマックイーンがスパート。当然マックイーンをマークしていた テイオーもそれに続き、早くも予想通りの一騎打ちムードに。ただ、まだ 残りが６００ｍ以上もあるところでの仕掛けなだけに、これは仕掛けが早いのでは？ とも思いましたが、４コーナーでは完全に先頭に立ったマックイーンが、 さらにスパート。 そして、マックイーンをマークしていたテイオーに、テイオーをマークして いたカミノクレッセも追いついて、この２頭が打倒メジロマックイーンを 果たすべく最加速、と思いきや、テイオーの方はバテて止まってしまい、完全に マックイーンの独走状態に！ 沈んだテイオーに替わってカミノクレッセが必死にマックイーンを追いかけるも、 全く差は縮まらず、マックイーンが圧勝でゴールイン。前年に続く優勝で、 春の天皇賞では史上初の連破を達成しました。 ２着にはカミノクレッセで、３着にしぶとく伸びたイブキマイカグラ。 テイオーは結局５着に敗戦。やはり、距離が長かったのか？それとも、 故障明けの調整不足だったのか？レース後には、再び骨折が判明してで、 最悪な結果でした。 ま、というわけで、終わってみたら期待された２強の一騎打ちにはならず、 マックイーンの圧勝に終わってしまった「天皇賞」。私的には、レース前に これだけ盛り上がって、レース後もいろいろと分析をしたレースは、 そうはないということで、本当に印象に残っています。 戦前に一騎打ちが予想されたレースで、実際にそうなった時と、そうは ならなかった時とがあるのですが、そうならなかったレースの代表格が この「天皇賞」じゃないかなって思います。 後から見ると、早いのではと思われた山の上りでのスパートも、 マックイーンの物凄いスタミナを考えると、他の馬を潰すための一番 確実な作戦だったということです。この競馬をされたら、全く太刀打ちできないぞ、 ということで、これまで取りこぼしの多かったマックイーンが、絶対に負けない 王者になるんじゃないかって予感させる新戦法でもありました。 メジロマックイーンは、お爺さんのメジロアサマ、お父さんのメジロティターンが 共に「天皇賞」を勝っているということで、父子３代で「天皇賞」を 勝った馬です。これは今のところ史上唯一の記録です。 他に、「菊花賞」「宝塚記念」も勝ってＧ１は４勝。 それも、１年に１つずつ勝ったので、４年連続でＧ１を勝ったのが凄かったです。 これも史上初めての記録でした。 あとは、引退した当時は、生涯獲得賞金額が史上１位でした。この記録は、 １位で入線しながら最下位に降着になってしまった４歳秋の「天皇賞」の 分を考えると、もっと凄い記録になっていたのになぁ、と思います。 どちらにしろ、数々の記録を打ち立てた名馬で、早めに先頭に立って 押し切るというレーススタイルと共に、とにかく印象に残る名馬でした。 願わくば、ここまで来たら史上初の父子４代での「天皇賞」制覇を 見てみたいです。１頭でいいから超大物が出て欲しいところですね。 |
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