このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

名馬・あの瞬間

平成6年「NHK杯」
優勝馬ナムラコクオー

 今週は東京競馬場で3歳馬のG1「NHKマイルカップ」が行われますが、 このレースができる以前は、この週の東京では「ダービー」のトライアルの「NHK杯」が 行われてました。今回は、その「NHK杯」のお話です。

 平成6年の3歳クラシック路線は、ナリタブライアンが断然のムードでした。 ブライアンが3冠を獲るのかどうか?クラシック本番を迎える前から、そんな 空気の流れる年でした。

 しかし、もう1頭忘れてはいけない強豪馬がいました。ナムラコクオーです。

 重賞競走で圧倒的な内容で勝ち続けてきたコクオー。血統的に距離に不安が あるので、3冠全部は無理だろうけど、少なくとも実績のある2000mの 「皐月賞」ならブライアンといい勝負ができるだろうとみられていました。

 ところが・・・、「皐月賞」のレースの週、突然ナムラコクオーが「皐月賞」を 回避とのニュース。なんと、競走馬としては致命傷といわれる屈腱炎を発症。 屈腱炎にかかると、軽くて半年、一番ひどい場合は競走能力喪失で引退を 余儀なくされるというやっかいな故障で、これでナムラコクオーのクラシックは 終わった、と同時に、3冠を目指すナリタブライアンから見ると、皐月を 獲る上での最大のライバルが消えたってことで、見るほうのファンからして みたら、本当に楽しみがなくなってしまってガッカリのニュースでした。

 しかししかし、屈腱炎にかかったはずのコクオーの足は、翌日には腫れが 治まるという奇跡的なことが!本当に屈腱炎だったのか?と疑うしかない くらい奇跡的に腫れがひいて、コクオーは数日後には完全に調教を再開。 「皐月賞」に出れなかった鬱憤を晴らすべく、この「NHK杯」に出てきました。

 ま、本来ならナリタブライアンと2強と呼ばれるくらいの存在なわけで、 距離も守備範囲のここなら実力は断然。そんなこともあって、文句なしの 1番人気。

 で、このレース、もう1つ重要なことがありました。いつもコンビを組んでいた 上村騎手が騎乗停止で乗れなかったことで、何と替わりに乗ったのが、 ライバルのブライアンの主戦の南井騎手でした。南井騎手の側から見たら、最大の ライバルに直接乗るわけで、そういう意味でもかなり注目されたレースでした。

 レースの方は、いつもよりも後ろ目からいったコクオー。ただ、前走の 「弥生賞」ではスタートで出遅れたこともあってそれが心配だったのですが、 スタートは今回は決めて無難な滑り出し。

 途中、微妙に掛かり気味になるものの、南井騎手が上手くなだめて、 終始先行馬を見る形で折り合い、いよいよ最後の直線に。

 ここで外に持ち出したコクオーは、南井騎手がゴーサインを出すと、 一気に先行馬を交わして先頭に。

 後は、後ろから追い上げるヤシマソブリン以下を全くモノともせずに、 完璧な内容での圧勝!この内容を見ていると、やっぱり「皐月賞」での ブライアンとの対戦が見たかったなぁと本気で思うような強さでした。 ま、勝ったかどうかまではわかりませんが、少なくともゴール前では2頭の 一騎打ちになっていただろうなぁ・・・と、そう思わせるくらい強かったです。

 この後「ダービー」に出走したコクオーは、遂に王者ブライアンとの直接対決。 ・・・だったのですが、やはりこの馬に2400mは明らかに長く、 直線失速で6着と敗退。

 その後、今度は本当に重い屈腱炎を患ってしまい、しばらく休養する羽目に・・・。

 ただ、それでも1年以上のブランクがありながら、5歳時には重賞の 「プロキオンステークス」に勝利!

 結局、G1を勝つことはできませんでしたが、6歳になった後は、地方の 高知競馬に移籍して、なんと12歳まで現役で頑張りました。ちなみに、 高知だけで21勝しています。(32戦)

 今から思うと、この馬はダートの短距離が1番の得意分野だったんだなぁって思います。 芝では重賞を3勝で、いずれもぶっち切りだったのですが、どのレースも 時計の掛かる馬場だったのを見ると、時計の掛かる馬場の方が良かったみたいです。

 ただ、時計の早い競馬はほとんど未経験。もしかしたら、その スピードを一番活かせたのは、今みたいに馬場状態のいい芝コースでの マイルくらいのG1だったんじゃないかって思うときがあります。そうやって考えると、 「NHKマイルカップ」があと2年早く創設されていれば、ここでG1を 勝てたのかもしれないですね。

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