このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

名馬・あの瞬間

平成11年「京都ジャンプステークス」
優勝馬トキオワイルド

 「unbelievable!」(アンビリーバボー!)

 日本語に訳すと、「信じられない!」

 私は、本当にビックリすることが起こると、日本語ではなく、なぜか英語で 「アンビリーバボー!」と叫んでしまいます。

 そして、思わず「アンビリーバボー!」と叫んでしまうくらいビックリ することが、競馬を見ていても時々あります。本当に意外な馬が勝ったり、 馬券に絡んだりで「アンビリーバボー!」な結果は1年に何回かはあるのですが、 レースの展開が「アンビリーバボー!」だったということでは、平成11年の 記念すべき第1回目の「京都ジャンプステークス」が忘れられないです。

 その前に、JRAの障害戦のお話から始めます。 平成11年という年は、JRAが 障害競走の大改革を行った年でした。障害の重賞競走にもグレード制を導入 したり、それまであった「400万下」の条件戦を廃止して、未勝利戦を 勝ち上がった馬は全てオープン馬にすることによって、オープン戦や 特別競走、重賞競走の出走馬を増やそうと番組上の改革を行ったり、 障害戦限定のファンファーレも用意したりしました。

 それと同時に、「中山大障害」以外の全ての重賞競走の名称を変更しました。 前年までは「京都大障害」として行われてきた京都の障害の重賞は、 春のレースが「京都ジャンプステークス」、秋のレースが「京都ハイジャンプ」 と名称変更。春の方は、距離もそれまでの3930mから3170mへと 大幅に短縮されて行われました。ちなみに、春の「ジャンプステークス」が (G3)に、秋の「ハイジャンプ」が(G2)に格付けされました。

 そんな記念すべき第1回目の「京都ジャンプステークス」。出走馬は 13頭。それまでの障害の重賞競走というのは、10頭出てくることがほとんど なく多くのレースが1桁頭数だったことを考えると、出走馬を増やすために 行った「400万下」条件の廃止は効果大だったですね。この文章を書くに あたって、当時のテレビ中継のビデオを見直して見たのですが、司会の人が、 「こんなに頭数が多いのは珍しいです。」って紹介していました。

 人気の方は、先に行われた「阪神スプリングジャンプ」を勝ったファイブポインター が1番人気。以下、カブトフドオ、イチバンリュウと続きました。

 そしてレースです。以前までの3930mだった「京都大障害」の頃は、 向正面にある「大障害コース」には、2週目で入ることになっていたの ですが、距離短縮された今回からは、いきなり1週目から大障害コース に入ることになりました。

 京都の大障害コースには、名物の「飛び上がり飛び降り台」 (通常の障害と違い、1段高くなった台が用意されていて、馬はそこに 来るとまず飛び上がって台の上に載り、3完歩、ないしは4完歩で そこから飛び降りるという障害。飛び降りるタイミングを合わせるのが 難しく、たいていここで歩幅を合わせるためにスピードが鈍ります。たまに、飛び降りるときに 落馬する馬もいます。)があって、 京都の障害の重賞では一番のお楽しみなのですが、距離が短縮されたことに より、このお楽しみ以外の部分が短縮されて、見ていて「いいな!」って 思いました。以前は、同じ所ばっかひたすら回っていて、見ていていらいら するようなコースだったからなぁ・・・。

 その名物のコースは、各馬無事に通過。そして、勝負の2週目へ。 ここで、人気の2頭、ファイブポインターとカブトフドオの2頭が抜け出して、 2頭でどんどん後続を引き離す展開。そのまま、3コーナーと4コーナーの 中間にある最終障害に突入。2頭共に行きっぷりも良く、これはこの2頭の完全な マッチレースになるな!って感じだったのですが・・・、

 なんと、2頭揃って落馬!

 最後の障害を飛び越えた時に、2頭で一緒に張り合っていたせいか、共に勢いが 付き過ぎた格好になって、着地でバランスを崩してしまい、2頭とも落馬 してしまったのです!

 そんなわけで、完全な一騎打ちムードだったレースは一気に一転して、後続馬に いきなりチャンスが訪れました。

 そんな中、落馬した2頭をしぶとく追いかけていたイチバンリュウと シンメイライコウが抜け出して直線に入り、実力上位のイチバンリュウが貫禄で 振り切るところに、中段でずっと待機していたトキオワイルドが強襲。

 そして、粘るイチバンリュウをかわしてゴールイン!重賞初制覇を 達成しました!2着にはイチバンリュウ、3着にシンメイライコウ。

 トキオワイルドは、本来なら北沢騎手が乗る予定だったのですが、前日に 負傷してしまい、急遽熊沢騎手が乗ったのですが、見事なまでのピンチヒッター でしたね!この馬は、結局重賞勝ちはこれだけだったので、そういった意味では、 競走馬人生最大のハイライトだったと思います。

 それにしても・・・、最後の障害で先頭を行っていた2頭が揃って落馬 っていうのは、今までにこれ1回しか見たことないです。先頭を行ってる 馬が最後の障害で落馬したとか、ゴール前で競走中止したというのは、 ごく稀ではありますが、見たことはあるのですが、2頭揃っての落馬って いうのは、本当に珍しいことです。まさに「アンビリーバボー!」な 展開で、ただただ唖然としていたのを忘れることはできないですね。

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