このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

名馬・あの瞬間

平成6年「安田記念」
優勝馬ノースフライト

 「安田記念」は、平成5年から国際競走になりました。 日本のG1では、「ジャパンカップ」に続いて2つ目の外国馬への開放と いうことで、話題を呼びました。

 そして、その翌年の平成6年には、前哨戦の「京王杯スプリングカップ」 も国際競走となりました。外国馬がステップレースにも出走できるように なったのです。

 その平成6年は、前哨戦の「京王杯スプリングカップ」に、海外のG1級の 馬が大挙参戦し、1着から4着までを独占。日本の競馬界に衝撃が走った レースでした。

 そんな中で迎えた「安田記念」。「京王杯」の結果から、今年は外国馬が 強いだろうという雰囲気で、単勝の上位人気は外国馬が独占。1番人気が 「京王杯」を勝ったスキーパラダイス、2番人気がヨーロッパでG1を4勝 しているサイエダディとなりました。共に牝馬で、「安田記念」の長い歴史の 中でも1番人気、2番人気が共に牝馬というのは珍しいことでした。

 ただ、迎え撃つ日本勢にも2頭強力な馬がいました。サクラバクシンオーと ノースフライトです。

 バクシンオーは、マイルの勝鞍こそないものの、1400m以下では敵無しの 絶対王者。前走の「ダービー卿チャレンジトロフィー」でもワンサイドの圧勝 劇を演じており、目下のデキの良さなら1600mのG1でもと期待されました。

 ノースフライトは、G1勝ちこそないものの、それまで重賞を3連勝中。その 内容がどれも圧勝ばっかりなのと、府中に強いトニービン産駒ということで、 こちらも日本のファンは打倒外国馬という期待を込めていました。 ちなみに、バクシンオーは3番人気、ノースフライトは5番人気でした。

 レースの方は、3年連続の「安田記念」出走となるマイネルヨースが例に よってハイペースで逃げる展開。

 人気のヨーロッパの牝馬2騎が中段で控える中、日本期待のバクシンオーは 上手く好位で折り合う展開。折からの雨が、道悪が苦手なこの馬にはかなり の不安材料だったのですが、何とか良馬場のままレースができて、この馬にも 力が出せる馬場状態。

 そしてもう1頭の日本期待のノースフライトの方は、いつもなら先行馬群に いるのですが、この日はスタートが悪かったのと、展開がメチャメチャ速かった こともあって、後ろから数えて何頭目かという後方待機策。こんな後ろで いいのか?という不安もありましたが、もしかしたらこれは直線でごぼう抜き かも!という密かな期待もできるポジションでした。

 レースの方は、最後の直線に入ると、俺が主役だ!とばかりにバクシンオーが 先頭に!それを追いかける外国勢は、人気の牝馬2頭はイマイチ動きが悪く、 なかなかバクシンオーに追いつけない・・・。

 そんな中、道中は一番後ろにいたノースフライトが、直線で大外に持ち出すと、 そこから物凄い末脚で一気に伸び、残り200mでバクシンオーに並びかけ、 日本ファンが一番期待していたバクシンオーとフライトの2頭が抜け出す 展開。これは、日本馬のワン・ツーだ!

 しかし一騎打ちにはならず、マイル戦ではバクシンオーよりも断然距離適性のある ノースフライトがあっさりとバクシンオーもかわしさると、後は独走でゴールイン! 悲願のG1初タイトルの瞬間でした。

 そしてバクシンオーが粘る2着争い、こっちはもっとビックリする結果が 待ってました。何と、道中は最後方にいた人気薄のトーワダーリンが、 大外から豪快に伸びて2着に入ったのです。

 結果的に、日本のそれも牝馬2頭がワンツーフィニッシュということで、 どんなに外国馬が強くっても、日本でやる競馬は日本馬が強いんだ!という ことを思い知ったレースになりました。

 ちなみに、バクシンオーは、やはりマイルでは最後の踏ん張りが利かずに 4着。外国勢では、雨が大好きというドリフィンストリートがしぶとく伸びて 3着に入ったものの、期待された牝馬2頭は、スキーパラダイスが5着、 サイエダディが7着と惨敗・・・。ともに、前走の「京王杯」のあと、東京競馬場に 滞在しての参戦だったのですが、長期遠征に伴う調整の失敗がモロに出た感じで、 確かスキーパラダイスは大幅な体重増での出走だったように記憶しています。

 また、古馬のG1で、牝馬が1,2着を独占したのも非常に珍しく、そういった 意味でも印象に残るレースでした。

 勝ったノースフライトは、ベガやホクトベガと同期で、活躍馬の多い世代の 1頭でした。特にマイル戦に強く、「安田記念」「マイルチャンピオンシップ」 の両マイルのG1を制覇。それ以外でもマイルの重賞を中心に重賞を4勝も した名牝で、マイル戦に限っていえば、日本競馬史上最強の牝馬ではないかと いう声も多いです。

 また、この年はナリタブライアンが3冠を達成したということで、JRA賞の 「年度代表馬」部門は、ナリタブライアン一色になったのですが、ただ1人だけ ブライアンではなくノースフライトに票を入れた記者がいました。おそらく、 国内の同世代の馬相手に勝ちまくった馬よりも、外国の強豪相手に勝ったこの 「安田記念」の内容の方が素晴らしい!ということだったのでしょう。 自分も、ブライアンの3冠も印象に残りましたが、ノースフライトの大活躍も 印象に残る1年でしたね。自身が果たせなかった年度代表馬の夢は、是非子供 に頑張ってもらいたいです。

戻る

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください